VOL.115【場合の数攻略】 -まとめ-
最近は海外に活躍の場を求める人が増えてきているように思います。
スポーツの世界でもメジャーリーグで当たり前のように活躍する選手がいますし、サッカーの超名門チームと契約した10代の選手もいます。
アメリカの弁護士の資格を取る人もいれば、海外に飲食店をオープンする人もいます。
昔から道は拓けていたのかもしれませんが、我々の時代はチャレンジしようという発想そのものがあまりなかった気がします。
今の若い人たちは活躍の場がたくさんあり、そういった意味では羨ましい限りです。
ただし、海外で活動するためには、言葉の問題をクリアしなければならないこと。
また、ライバルが世界中にいるとも考えられることには注意しなければなりません。
いずれにせよ私たちは世界に通用する人材の育成という意識を持って、子供たちを指導していかなければならないと考えています。
さて、【場合の数攻略】も今回が最後となりました。まとめていきたいと思います。
①「場合の数」の特殊性
当たり前ですが、入学試験で大切なことは点数を取ることです。
問題を解いて点数を取るということは、「時間を点数に変えること」と捉えることができます。
このように考えると、試験で一番まずいのは「時間をかけたが得点できなかったケース」であると言えます。
そしてそうなる可能性が最も高い分野が「場合の数」なのです。
なぜそうなるかというと、ひとつは検算のしにくさにあると思います。
これが「文章題」であるならば問題文の条件に当てはめて確認することができますし、「図形」ならば見た目を判断材料にすることができます。
ところが「場合の数」はいったいどれぐらいになるか見当もつかなかったりします。
例えばVOL.112の<例題1>にしても、少し条件が変わっただけで答が6・12・27(通り)と異なってきますし、<例題3>は、おおよそ何通りになるのかのイメージがなかなか湧かないことでしょう。
また、「場合の数」には罠のようなものが潜んでいることも多いです。
同じくVOL.112の<例題2>がその例で、集中力を欠けばすぐにダブってしまうことでしょう。
そのほかにもVOL.113の<例題3>がダブってしまい、<例題4>が見落としてしまうことが多い例です。
以上見てきたように「場合の数」は「危険」な分野です。
いきなり得点源にしようとはせず、基本からコツコツと積み上げていくことをお勧めします。
そして本番では決して深追いしないことが肝心となります。
②「書き出し」と「計算」のバランス
これはどれだけ深い学習ができているかで変わってきます。
できれば「計算」で解きたいのですが、学習の深さが中途半端だと、必ずといって良いほど間違えます。
ですから普段の学習で自分がどのレベルの問題までなら「計算」でサッと答を出せるかを掴んでおき、それよりも難しいものに関してはまず「書き出し」というバランスを身に着けたいところです。
また、①で「検算」のしにくさについて書きましたが、「計算」と「書き出し」で答が一致したならば、それが正解である可能性はかなり高いと言えます。
そういったことからも「計算」と「書き出し」のどちらかに偏るということがないように注意し、それぞれの解法の長所を生かせるようになりたいですね。
③問題文の読み取り ~タイプを見抜く~
VOL.112で「問題文の読み取り」について詳しく解説しましたが、「国語力」の重要性について理解していただけたでしょうか。
「算数」が担当する「問題文の読み取り」は、自分のフィールドに引っ張り込む部分で、必要に応じて手を動かす(書く・描く)べきであることは書きました。
さて、問題文が何を言っているのかがわかった後ですが、どのようなタイプかで分類する必要があります。以下にいくつか例を挙げます。
◎「順列」「組み合わせ」の計算で処理できるタイプ(工夫して持ち込めるものも含む)
<例題1>
A、B、C、D、Eの5人が真横に並ぶときAとBがとなり同士になるような並び方は何通りありますか。
<解答1>
A、Bを1人とみなします。
{A,B}と{B,A}の並びがあるので2倍します。
4×3×2×1×2=48(通り) …(答)
◎「場合分け」をすればそれぞれが「基本問題」となるタイプ
<例題2>
4、5、5、6、6の5枚のカードがあり、この中から3枚を選んで3桁の数をつくります。
6のカードは9としても使えるとき3桁の数は何種類つくることができますか。
<解答2>
場合分けをします。
i)5、6ともに1枚使い→(4,5,6)と(4,5,9)
3×2×1×2=12(種類)
ii)5を2枚使い
3×3=9(種類)
→455,545,554,655,565,556,955,595,559
iii)6を2枚使い
①66 99
3×2×2=12(種類)
②69→(4,6,9)と(5,6,9)
3×2×1×2=12(種類)
以上より
12+9+12+12=45(種類)
◎前の結果を利用するタイプ
<例題3>
「○」か「×」のどちらかの記号を真横に8個並べるとき、何通りの並べ方がありますか。
ただし「○」は3個続けては並べることができず、「×」は2個続けては並べることはできないものとします。
<解答3>
2番目以降の最後の2個で分類した表を作ります。
(答)16通り
◎余事象が利用できるタイプ
※余事象についてはVOL.4の今週の1題の解説を参照のこと
<例題2の別解>
4,5,6,9が3枚ずつあったならば
4×4×4=64(種類)
つくることができますが、ここからつくれないものを引きます。
i)3つ同じ
4種類
ii)669、699
3×2=6(種類)
iii)4を2枚使い
3×3=9(種類)
以上より
64-(4+6+9)=45(種類)…(答)
※<例題2>は余事象を利用して答を出し、時間に余裕があったら場合分けをして検算するというやり方がベストでしょう。
◎表が安全確実なタイプ
<例題3>
さいころを2個ふるとき、2つの目の積が6の倍数になる確からしさを求めてください。
<解答3>
表をつくります。
表より
15 6×6 = 5 12 …(答)
④他分野との融合
VOL.113で「図形」との融合について詳しく書きましたが、それ以外にも「数の性質」や「規則性」(VOL.110がその例)との融合問題も視野に入れておく必要があります。
いずれにしても「分野」における「苦手」は致命傷となりかねませんので、「基本」は十分に身に着けておかなければなりません。
「算数」は分野ごとに学習を進めていくのが普通です。
しかし、最終的にはその分野の垣根が取払われていくようなところがあります。
そのようなレベルに到達したならばきっと「算数」は得意科目になっているでしょうし、最後の難関である「場合の数」の攻略に目処が立ったと言えるのではないでしょうか。
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今週の1題平面図形と場合の数
難易度★★★★★
正九角形ABCDEFGHIがあります。
この九角形に対角線を何本か引き、内部がいくつに分割されるかを考えます。
例えば2本の対角線ACとCEを引けば、内部は3個に分割され、ACとBDを引けば4個に分割されます。
(1)内部が3個に分割されるような対角線2本の選び方は何通りありますか。
(2)内部が5個に分割されるような対角線の選び方は何通りありますか。
解答が表示されます