VOL.338【新シリーズ】 ― 中受流証明4 ―
今回は灘2日目の問題を題材として中受流証明をやってみたいと思います。
まずは問題を見てください。今年の4番です。
何を証明するかというと,(2)の左の方にある三角形が直角二等辺三角形であることです。
実際の入試では証明を要求されているわけではないので,「直角二等辺三角形」と決め打つ方が得策だった可能性が高いですが,時間の余裕がある今はしっかり学ぶとしましょう。
(1)を普通に解き,それを利用して証明を行い,おまけで(2)を解くことにします。
〈解説〉
(1) △AEFが直角二等辺三角形ということは∠Eが直角ですからAE=EFになります。
また,∠AEFが90°なら
∠AEB+∠FEC=180°-90°=90°
また
∠AEB+∠EAB=90°
なので
∠EAB=∠FEC
よって直角三角形の合同条件を満たすので
△ABE≡△ECF(斜辺1鋭角相等)
CE=4cm
EB=1cm
DF=3cm
求める面積は
5×4-(5×3÷2+4×1÷2×2)=8.5(cm2)・・・(答)
〈証明〉
〈図1〉
〈図1〉は(2)の図中の点に名前をつけたものです。内接する半円の中心がM,内接する円の中心がOです。このとき,△MGOが直角二等辺三角形になることを証明します。
〈図2〉は(1)の図に点Eから辺AFに垂線を下ろし,その交点Qを通る長方形RSECを作図したものです。
仮に〈図1〉の△MGOが直角二等辺三角形であるならば,長方形JGPNは〈図2〉の長方形RSECを裏返して3倍に拡大したものになります。
〈図2〉
RQ+QS=4(cm)
SE-RF=RQ-QS=1(cm)
より
RQ:RF=(4+1):(4-1)=5:3
よって〈図1〉の△MNOの辺NOと辺NMの長さの比が5:3なら△MGOが直角二等辺三角形になります。
以下NO:NM=5:3であるものとして進めます。
NO+NM=NO+OP=12(cm)・・・①
NO-NM=PG-NM=3(cm)
NO=(12+3)÷2=7.5(cm)
NM=12-7.5=4.5(cm)=OP
また
GP+PH=12(cm)・・・②
①②より
OP=PHとなるのでOは確かに内接円の中心になっています。
以上より
△MGOは直角二等辺三角形です。 〈証明おわり〉
(2) 最初の□に入るのは4.5・・・(答)です。
〈図3〉
〈図3〉は〈図1〉に補助線を加え点に名前をつけたものです。点Mと点OからそれぞれLGに垂線を下ろし,その交点をTとUとします。また,LGとMOの交点をSとし,SからGHに下した垂線との交点をVとします。
〈図3〉で
△MST∽△OSU(2角相等)
その相似比は
MT(半円の半径):OU(円の半径)=3:4.5=2:3
よって
MS:SO=2:3
となります。
ここで△KGHと相似である△SGV(2角相等)のSVとGVの長さを求めます。
SV=4.5+7.5× 3 2+3 =9(cm)
GV=7.5-4.5× 3 2+3 =4.8(cm)
よって二番目の□である
辺HK=12× 9 4.8 =22.5(cm)・・・(答)
いかがでしたでしょうか。
証明方法はほかにも色々とありそうですが,紹介した方法がなかなか面白かったので,今回採用しました。
算数は楽しみながら学習できると,どんどんできるようになりますよ!
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
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今週の1題整数
難易度★★★☆☆
次の式のA~Hに数字を入れて計算をします。
(式) A×B×C×D E×F×G×H
A~Hに入れることができる数は,{12,14,16,18,20,24,26,28,30}です。
(1)計算結果が整数になるとき,その最小値はいくつですか。
(2)計算結果を既約分数(仮分数)であらわしたときの分母が16になりました。その時の分子として考えられるものを全て求めてください。
解答が表示されます