VOL.343〈分野別〉知識の確認3 ― 場合の数 ―
今回は「場合の数」についてやっていきます。この分野については知識で片付けようとする姿勢はマイナスになる恐れもあるのですが,きちんと身に着ければ武器になるので,踏み込んでいきたいと思います。
「初級」
◎残りが自動的に決まる場合は無視できる
〈例題〉
500円玉,100円玉,50円玉が十分にあるとき,1000円の払い方は何通りありますか。
〈解説〉
500円玉で場合分けして,50円玉は無視します。
ⅰ)500円玉×2 ⇒1通り
ⅱ)500円玉×1 →100円玉…0枚から5枚なので ⇒6通り
ⅲ)500円玉×0 →100円玉…0枚から10枚なので ⇒11通り
1+6+11=18(通り)…(答)
※表にまとめて解く受験生が多いでしょうが50円玉の枚数を書いたとしてもほぼ無意味なので,上記のやり方がおすすめです。
「中級」
◎分けるときは仕切りを利用する
〈例題〉
7個の大福をA,B,C,Dの4人に分けようと思います。全員が最低でも1個もらうとき何通りの分け方がありますか。また,もらわない人がいても良いとすると,何通りの分け方がありますか。
〈解説〉
仕切りを入れる考え方を使います。7個の間の6か所のうち3か所を選び仕切りを入れると4つに分かれますから,順にA,B,C,Dと分けることで対応が完了します。
例
○¦○¦○¦○¦○¦○¦○ ⇒ ○|○ ○|○|○ ○ ○( A1個,B2個,C1個,D3個)
6個の中から3個を選ぶ組み合わせなので
6×5×4 3×2×1 =20(通り) …(答)
また,0でもよい場合は大福7個と仕切り3個の並べ方に対応します。
例
○ ○ ○ ○ ○ ○||| ⇒ ○||○ ○ ○|○ ○ ○ (A1個,B0個,C3個,D3個)
10個の中から3個を選ぶ組み合わせなので
10×9×8 3×2×1 =120(通り) …(答)
※一応一般化しておきます。
A個をP人に分ける
・全員最低1個 ⇒(A-1)個の中から(P-1)個を選ぶ組み合わせ
・0個がいても良い ⇒(A+P-1)個の中から(P-1)個を選ぶ組み合わせ
「上級」
◎かく乱順列は前の結果を利用する
〈例題〉
A,B,C,D,E,F,Gの7人が1通ずつメールを送った結果,全員が1通ずつメールを受け取りました。このようなメールの送り方は何通りありますか。
〈解説〉
いきなり7人だとハードルが高いので,少ない人数から順に考えていきたいと思います。
・2人⇒1通り
・3人→A,B,Cの3人で考えると「AがBから受け取った」とすると『BはCから,CはAから』と決まります。AがCから受け取った時も同様なので⇒2通り
・4人→A,B,C,Dの4人で考えます。「AがB,BがAから受け取った」とすると,残りは『2人のときと同じ』になるので1通り。「AがBから受け取り,BがAから受け取らなかった」とすると『3人のときと同じ』になるので2通り。よってAがBから受け取ったときは1+2=3の3通り。
他にCからとDから受け取るケースもあるので全部で
3×3=9(通り)
・5人→4人のときと同様に考えると
(2+9)×(5-1)=44(通り)
・6人
(9+44)×(6-1)=265(通り)
・7人
(44+265)×(7-1)=1854(通り)…(答)
※N人の場合
(前の前の結果+前の結果)×(N-1)
これで計算できることがわかりました。
2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 | |
2つ前 | 0 | 1 | 2 | 9 | 44 | |
1つ前 | 1 | 2 | 9 | 44 | 265 | |
N-1 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
計 | 1 | 2 | 9 | 44 | 265 | 1854 |
いかがでしたでしょうか。
「場合の数」はわかりきった問題以外は,樹形図等で書き出して本質を掴むことが大切になります。軽い気持ちで計算等に走るのはかなり危険なので,しっかりと経験を積むようにしてください。
正しい場所・タイミングで今回紹介したような考え方が使えれば大きな戦力になりますよ。
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