VOL.116【受験お役立ち情報】 -復習-
先日横浜の中華街で食事をしました。
中華料理は好きなものが多く、焼売や餃子は毎日食べても良いほどです。
そのお店は家庭的な雰囲気で、なぜか看板メニューが「カレーライス」でした。
「カレー」も大好物なので食べてみましたが、「カレー味の豚バラライス」といった雰囲気で、とてもおいしかったです。
この「カレー」はTVでも紹介されたそうで、アイデアの勝利を感じました。
これからの時代に求められるものは「柔軟な発想」なのかもしれませんね。
さて、前回の【受験お役立ち情報】は「テストの結果をその後の勉強にどのように生かすか」というテーマに対する回答のひとつを紹介しました。
今回は「復習」について考えてみたいと思います。
「復習」のやり方については色々な考え方があり、何が最善なのかは人それぞれとしか言いようがなく、難しいものがあります。
我々はそのような中、生徒の志望校や性格・能力などを考慮し、最適と思われるものを提案しています。
大抵の場合うまくいっているので、考え方の方向は間違っていないと自負しています。
ただ、私もまだまだ勉強しなければならない事は山ほどあります。
よい機会なので、世の中にはどのような「復習」の仕方があるか調べてみました。
以下、気になったものを挙げ、私の考えを述べたいと思います。
◎塾で習ったことはその日のうちに「復習」する。
確かにそれができれば理想的かもしれません。
ただ、その日のうちにやるのは時間的に厳しいこともあるのではないでしょうか。
先日も夜の10時頃ファミレスで食事をしていたら、親子(6年生と思われる)が「理科」の復習をしていました。
塾がある曜日だったので、塾帰りだと思われますが、子供の表情はかなりきつそうでした。
さすがに10時半過ぎには帰っていましたが、来年の本番まで気持ちを維持できるのかどうか少し心配になりました。
その日のうちに復習する根拠として「エビングハウスの忘却曲線」を持ち出しているケースがあったように思います。
これは時間が経てば経つほど復習に手間がかかることを示す曲線というふうに私は捉えています。
このグラフを読むと1時間後は44%、1日後は33%になっているのですが、これが誤解されている可能性があります。
よくあるのが1日後は33%しか記憶が残っていないというものです。
これは間違いで、正しくは「1日後に復習する場合は1回目の(100-33)=67(%)の労力が必要」ということだそうです。
また、記憶は「短期記憶(すぐ忘れる)」と「長期記憶(すぐには忘れない)」に分類することができるようで、受験勉強は「短期記憶」をいかにして「長期記憶」に変換するかが大切だと思います。
脳科学の本などで調べると、一時的に記憶を保存している器官は「海馬」であり、その保存期間は約1か月だそうです。
これは私の経験とも合致していて、1か月以内の復習(理想は3週間)は絶えず心がけています。
復習を何回か繰り返していると「短期記憶」だったものが「長期記憶」として定着するようです。
私は記憶力が良いほうではありませんでしたが、1度理解すると忘れることはほとんどありませんでした。
例えば、理科の物理分野は1度も復習をしませんでしたが、受験のみならず中学の間までは十分通用しました。
「理解」が伴うことでいきなり「長期記憶」として定着したのかもしれません。
【結論】
その日のうちの「復習」は悪いことではないが、その日のうちにやることの根拠ははっきりしない。
生活のリズムが乱れる場合や本人の負担感が重い場合は逆効果になる可能性もある。
私は時間に余裕があるときにやれば良いと思っている。
◎同じ問題集を10回やる
実は私も同じ問題集を繰り返しやることは生徒に勧めています。
ただし10回は多いと思います。
今まで何人も生徒を見てきて思うのは、3回目と4回目の違いが一番大きいということです。
ですから繰り返しの回数は最低4回、余裕があれば5回というのが私のお勧めです。
また、その問題集が生徒に合っているかどうか、また、そもそもその問題集が繰り返しに適しているかどうかという問題があります。
何でもかんでも繰り返せば良いというものではありません。
また、先ほど書いた「海馬」の保存期間の関係から、遅くとも1か月で終えられるようなボリュームでなければならないでしょう。
以下に繰り返しに適した問題集の特徴を挙げておきます。
- 問題数が少ない(薄い)
- 満遍なく全範囲をカバー
- 問題文がシンプル
- ややこしい計算をしなくても答がでる
- できれば解答用紙付き
次に、生徒に合った問題集のレベルですが、現在の受験生の実力・調子、志望校などを考慮して決定しなければなりません。
簡単な目安としては、正答率70%前後のものをやれば問題ないでしょう。
確かに繰り返しは効果があるのですが、困った問題もあります。
それは本人が答を覚えてしまうことです。
このことは精神年齢と関係していて、それが高ければ、答の数字がわかっていてもその場で解くということができるのですが、そうでないと解かずに答を書いてしまって効果がなくなってしまいます。
このことは算数に苦手意識を持っている生徒さんで起きることが多く、何らかの対策が求められました。
その解決策として私が行ったのは「数値替え」です。
これにより覚えた数字を書くだけという事態は防げるようになりました。
この「数値替え」したものは別の効果もありました。
計算が一番簡単になるようにしたもの(私はこれを日本一簡単な基本問題集と呼んでいます)が、最初に取り組む教材としてかなりのすぐれものになったのです。
今も「取り組みやすい」という評価をいただくことが多いです。
【結論】
問題集を繰り返すことは受験勉強の王道といえる。
ただし、どれをどのようなペースで何回やるかということは、指導者と綿密な打ち合わせをしながら決めていくのが良いと思う。
お勧めは3~4週間で1巡を4、5回繰り返し、その後レベルを上げて同じやり方をするというもの。
◎復習の際は間違えた問題だけをやる
これはとても効果的なやり方のような気がしますが、意外とうまくいかないことが多いです。
特に算数に苦手意識を持っているの生徒さんの場合、かけた時間に対する見返りがあまりないような気がします。
まず、繰り返し用の問題集に関しては「間違えたものだけやる」というやり方はお勧めしません。
繰り返し解くことの効果はいろいろあり、すでにできる問題を改めて解くこともそれなりに良いことがあるのです。
以下に繰り返しの際の狙いを挙げます。
①現時点で解けるかどうかの確認
②解けなかった問題の解法を学ぶ
③正解するということで算数に対する自信を深める
④やさしい問題であろうと計算して答を出せば、その分脳が鍛えられる
→ 逆に、わからなくてウンウン唸っているだけだと脳は全く働いていない。
⑤分野ごとに学習することによって位置付けを行うことができ、その分記憶が強化される
間違えた問題だけをやると①、③、④、⑤の効果が見込めません。
これはかなりの痛手ですね。
特に間違えた問題だけに取り組み、全然できないと③の逆になってしまいます。
このマイナスはなかなか取り戻すことができません。
次いで、正答率50%以下のチャレンジに近い問題集について考えてみます。
このような問題集は「応用問題」や「発展問題」が中心でしょうから初見ではなかなか正解できないでしょう。
後日間違えた問題だけをやろうにもかなり負担が大きいと思います。
ですから復習するとしたら「軽い復習」がお勧めです。
パラパラと問題を眺めるだけでも効果があったりします。コツは思い出そうと努力することです。
実は記憶が定着するのはこの「思い出した時」だそうです。
最後にテストの復習です。
さすがに間違えたところの復習は必須だと思います。
というよりもなぜ間違えたかの原因の特定が大切です。
これをしっかりやれば「得点力アップ」は確実です。
【結論】
間違えた問題だけ復習してその解法を身に着ければ、効率よく学力アップが図れると思われがちだが、実際はそんなに単純ではない。
テストに関しては間違えた問題の復習を中心にすべきだが、それは間違えた原因の特定が主な目的である。
間違えた問題だけの復習が適しているのは強いて言えばテストの復習で、「軽い復習」に適用することも可能。
世間一般で言われている復習法を3つみてきました。
受験生によってはピッタリくる方法もあったかと思います。
勉強は自分に合った方法を見つけるという側面がありますので、今回紹介したものを1度試してみてはいかがでしょうか。
【結論】にある私のお勧めを参考にしてくださいね。
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