VOL.108【図形に強くなる】 -まとめ-
【図形に強くなる】シリーズはこれで最後です。
今まで何を書いてきたかというと「基本の大切さ」についてが大半だったと思います。
特に「知識」を充実させることが重要です。
その際「なぜそうなるのか」の理解に真剣に取り組むことによって「論理的思考力」を獲得できる可能性もあるでしょう。
また、「作図」も大切で、何度も「図形」を描くうちに「図形的感覚」が鍛えられます。
さて、私としてはこのブログを読んでくれた受験生全員が「図形」が得意になってくれれば言うこと無しなのですが、なかなか、そうはいかないと思っています。
そのような人たちに向けた
「できるようになるためのヒント」
をいくつか挙げて、【図形に強くなる】のまとめとしたいと思います。
◎ヒント1 ~作図が苦手な人へ~
普通に字が書けるのであれば、作図はできるようになります。
苦手な人はズバリ「練習不足」が原因です。
「難しい作図」を沢山やれと言っているわけではありません。
「基本的」なことを普通にできれば大丈夫です。
例えば「まっすぐな線を引く」。
この練習をしたことがある人の方が少数派かもしれませんが、「引けない」のであるならばすぐにでも練習しなければなりません。
方眼ノートの場合、3目盛り分とか5目盛り分というように長さを決めて取り組めば良いと思います。
さらに斜めに線を引くほうが難しいですが、この場合はどの格子点を通るかということを意識すれば正確に描くことができます。
VOL.72の【ミニ講座】に「図形の移動」における作図の手順についてかなり詳しく書いてあります。参考にしてください。
◎ヒント2 ~何をどうしたらよいかのイメージがわかない人へ~
「図形問題」はひらめかないと解けないと思っていませんか。
確かにそういった面もあるかもしれませんが、「ひらめき」は自ら獲得するものなのかもしれませんよ。
まずやるべきことは、「形と解法を結びつける」ようなイメージで知識を充実させることです。
この「形と解法を結びつける」という部分が「図形」特有で、「特殊算」の解法を暗記するようにはいかない要因となっていると思います。
※ただし、「線分図」や「面積図」による解法は「図形的要素」も入ってくるので、ここでも「形」が重要になります。
ただ、考えようによっては、「図形」の方が「数量」よりも「形さえ見抜ければ後はすんなりいく可能性が高い」ともとれるので、是非とも「できる側」にまわってもらいたいのです。
「形」を頭に入れ、それと同じ「形」が問題の中から見つけられるように練習を重ねてください。
この場合は余計なものを取り去ったように見えるようにするトレーニングが有効です。
どうしてもそのように見えない場合は余計なものを除いて「作図」するという手があります。
ここでも「作図」が大切ですね。
次に、VOL.103にも書きましたが、「損にならない線を引く」というのもやってもらいたいことの一つです。
人間は失敗を恐れた途端、手が縮こまってしまう傾向にありますが、「損にならない線」はノーリスクで引くことができる上に何か良いことがあるので、躊躇なく引くことができるはずです。
例を挙げれば、「円」がでてきたのに「中心」をマークしないということはやめましょうということです。
そして、「中心」と「円周上の点」を結べば必ず良いことがあるので、それもサッと引いてしまいましょう。
その状態で「図形」を眺めれば、知識として結び付けてある「解法」が正解へと導いてくれるでしょう。
この流れはVOL.23で書いた「算数の極意」に通じるものです。
「脳」の働きを最大限に引き出すことを意識しながら練習してください。
◎ヒント3 ~図形に対する苦手意識が強い人へ~
「得意」か「苦手」かというのはあくまで本人の意識が作り上げているものです。
算数の場合は特に「苦手意識」があると問題が解けなくなってしまいます。
問題を正解するためには「解ける」というイメージが大切なのです。
ですから、「得意」と思うことは大いに結構なのですが、「苦手」と思うことは今この瞬間からやめることをお勧めします。
私は個人的には「苦手」なんてものはほとんど存在しないと考えています。
では、その正体は何かというと以下の2つがあると思います。
①他者からの刷り込み→本人がそれを鵜呑みにしてしまう
②勉強不足の言い訳→勉強不足が解消されずできないまま
①の例としてよくあるのが「お母さん」がテストの結果を悲観して、「苦手」という言葉を発してしまい、それを本人が聞いて「自分は苦手なんだ」と妙に納得してしまうようなケースです。
②の場合、最初は本人も言い訳として「苦手」を口にしていただけかもしれませんが、しばらくすると本当に「苦手」と言って良い位点数が取れない状態になっているケースです。
「苦手」なんていう言葉を口にするとロクなことはありません。
私が生徒を担当する場合、「勉強量」が不足している場合はそれを補いますが、そうでなければ特定の分野を意識するということはあまりやりません。
そのような状態(分野をフラットにする)をある程度続けていくと、少なくとも特定の分野に対する「苦手意識」のようなものはほとんどなくなります。
そして、私の影響度が上がれば当然のように「図形」が「得意分野」になっていきます。
ですから、親御さん、本人とも「苦手」という言葉は封印してください。テストで点数が取れなかったことと「苦手」は別物です。
「苦手」という言葉は口にしただけで損だという認識を持ってください。
そして、やるべきことを淡々とこなすことが大切です。
「努力は裏切らない」という言葉は本当だと思います。
【図形に強くなる】シリーズはいかがでしたでしょうか。
ここに書いてあることを実践していただければ、「図形」に対して自信が持てるようになっていくと信じています。頑張って取り組んでください。
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今週の1題角度
難易度★★☆☆☆
〈図1〉は四角形ABCDに2本の対角線を引いたものです。
(1)3点A、B、Dを通る円の中心はどこになりますか。
答だけでなく理由も考えてみてください。
(2)∠ADBを求めてください。
解答が表示されます