VOL.165【受験お役立ち情報】 -「過去問演習」と「普段の学習」-
夏休みも終わり、志望校対策が重要な時期になりました。
志望校対策で真っ先に浮かぶのは「過去問演習」です。
本ブログでも過去にVOL.129とVOL.136で取り上げましたので、まだお読みでない方は一度目を通してみてください。
参考になる点が多々あると思います。
さて、今回私が取り上げるのは、「過去問演習」と「普段の学習」についてです。
私が感じているのは以下のようなことです。
「算数」に関しては難関校になればなるほど「ただひたすら過去問を解けば良い」というわけにはいきません。
ところが、酷いものになると「過去問を10回繰り返せば受かる」なんてことを平気で謳っています。
まずはこのような「都市伝説もどき」に振り回されないようにしてください。
ちなみに前回(VOL.164)取り上げた「麻布の過去問を30回分やる」というのは、「普段の学習」で合格レベルの実力を身につけた上で、仕上げとして行うというイメージです。
数学風に言えば「普段の学習」が「必要条件」、「過去問演習」が「十分条件」といったところでしょうか。
正しい受験対策とは「過去問を分析して普段の学習の中で合格できるような学力を身に付ける」ことだと思います。
そして、この“分析”を誰が行うかというと、我々指導者ということになります。
私が秋以降、特に意識しているのは、入試本番で点数が取れるかどうかです。
以下のような項目をチェックしながら細かく戦略を練ります。
①出題されることが予想される難易度に対応できるかどうか。
「知識」が不足しているようなら早めに埋める。
「力」が不足しているならば取り組み方の部分から改善する必要があるかもしれない。
②解けるとしてスピードは足りているか。
足りない場合はどのようにしてスピードの向上を図るか。
③正確性が基準に達しているか。
こちらを犠牲にしてスピードを上げているようなら根本的な見直しが必要。
計算ミス・問題文の取りちがい等が多いようなら「集中力」を増すトレーニングの実施も検討する。
④試験特有の問題(時間の管理・解答順・取捨選択・確かめのタイミング)について自分なりのスタイルが確立しているか。
この練習は「過去問演習」が最適。
「普段の学習」において1問ごとに上のようなチェックをしているので、大抵の場合良い方向に進みます。
また、上の①は「過去問」を使えばはっきりとわかるので、その意味でも「過去問演習」は貴重です。
ただし、「過去問」で出題された問題と全く同じものは普通であればもう出題されません。
ですから、「普段の学習」を通じて、「未知の問題を自力で切り拓いていく力」をつけたいのです。
それが難しいならば、「ある考え方を別の問題でも使える柔軟性」を身につけたいわけです。
そうなると「過去問演習」に大きな問題点があることに気が付きます。
それは「解答・解説」です。
赤本等の「解説」の内容がよくないと言っているのではありません。
どのように解くかは個人差があるので、フィットしにくいことに問題があるのです。
「普段の学習」で学んだ解法と「過去問」をつなげなければ、本当に価値がある学習とは言えないと思うのです。
そしてそれができるのは「普段から一緒に学習している指導者」だけです。
「この問題は以前解いたあの問題の考え方を利用すれば見えてくるよ。」
といったヒントを出し、それで正解するようなやり方が望ましいと思いますし、それならば「力」がつくはずです。
私の場合はそうなることを見越して、問題を仕込んでおくというやり方をしています。
きちんと定着している受験生にとっては、気付きの多い授業になっていると自負しています。
ここでも「復習」が大切ということなのですが、どこまでいっても大事なのは「基本」ということなのでしょうね。
受験生の皆さんが「過去問演習」と「普段の学習」をうまく結び付けられることを願っています。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題年齢算
難易度★★★☆☆
AとBの2人は共に平成生まれです。
令和2年のある日(この日を基準日とします)、2人の年齢について調べてみたところ以下のことがわかりました。
✓基準日の2日前、AとBの年齢は共に5の倍数だった。
✓基準日の翌年のAの誕生日に、Aの年齢は7の倍数、AとBの年齢の和は5の倍数となる。
✓Bの誕生日は8月である。
✓平成29年9月のBの年齢は、基準日のAの年齢の約数である。
(1)Aの誕生日は何月何日ですか。
(2)基準日におけるAとBの年齢を答えてください。
解答が表示されます