VOL.164【ご質問フォーム】 -麻布の過去問対策-
【ご質問フォーム】より質問がありましたのでお答えしたいと思います。
【ご質問】
ブログを拝見致しました。
現在、息子は小学6年生で、麻布を志望しております。
「本校の受験生は過去問を最低20年、できれば30年やると良い」
とのアドバイスですが、算数だけでしょうか。
兄の時は○○中10年を購入しました。
麻布の場合、30年程度をオークションサイト等で探した方が良いのでしょうか?
【金田先生の回答】
ブログをご覧いただきありがとうございます。
麻布を目指す受験生のお手伝いをできることを大変嬉しく思います。
さて、ご質問ですが、本ブログのVOL.148をご覧になってのものかと思います。
まず、ご質問の趣旨が
「算数は30年分やるのは良いとして、他教科はどうなのか。」
ということと捉えてお答えします。
過去問演習は時間をとられます。
まして「麻布」は私の知る限る試験時間が最も長い学校ですから1年多くやるだけでも負担が大きいです。
それでも古い問題をやったほうが良いかどうかです。
国語と社会については、私は専門ではないので、名門会のベテランの先生に聞いてみました。
<国語>
基本的には、あまり古いものをやる必要性はそれほど高くないとのことでした。
ただし、勉強の素材としての価値が高いので、それを上手く利用できる指導者がいれば是非手に入れて欲しいということでした。
<理科>
VOL.91(まだお読みでないようなら是非読んでみてください)で取り上げた生徒さんとは20年以上やりました。
ただし注意が必要なのは時事問題(ほぼ天文分野)に関しては軽く流す程度にすべきなので、指導者がいた方が無難です。
理科は、記述の練習を沢山やりたければ、その分年数を増やす必要があるということになります。
なぜならば他校での代用が効きにくいからです。
<社会>
時事問題の影響を最も受けやすい教科です。
なので、古い過去問に関しては取捨選択が必要となります。
そして、練習量を増やすには近年の他校の問題で代用する必要があります。
上記2つの判断の巧拙が指導者の力量ということになるのでしょうね。
社会に関しては自分だけで20~30年やるのはお勧めできないということでした。
古い年度までやることのメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
<メリット>
✓単純に練習量が増える
✓記述対策は機会が少ない分貴重
✓良質な問題揃いなので、学習の素材としての価値が高い
<デメリット>
✓時事問題に関してはやる必要のない問題も多い
✓昔から内容が安定してる麻布と言えども、あまりに古いものは来年の入試との関連が薄くなっている可能性が高い
✓過去問は「もう出ない問題」と捉えることもできるので、他校の問題の方が価値が高いかもしれない
といったところでしょうか。
ここで、そもそも算数も30年もやる必要があるかどうかを考えてみたいと思います。
まずはそのあたりの事情についてVOL.33に記述がありますので、参考にしていただければと思います。
控えめに「少し多め」にやると良いと言っていますが、現在の私は当時よりもはっきりとものを言うことを心がけているので、ズバリ「最低20年」です。
ただ、最終的には「何年分やるか」は人それぞれとしか言いようがありません。
算数の実力が遥かに上であるならば、1年やれば十分ということもあるでしょう。
ただ、受験の準備とは何かというと、結局は
「どれだけ“自信”を携えて試験会場入りできるか」
ということだと思うのです。
「過去問を30年分やったんだから何も恐れるものはない」
という心理状態は入試では大きな武器になると思います。
今まで述べてきたことを参考によく考えていただき、オークション等で購入した方が良いかどうかを決定していただきたいと思います。
麻布は高い壁ですが、偏差値はあまり関係ない学校とも言えるので、自分を信じて頑張っていきましょう。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。