VOL.45計算の正しいやり方

計算の工夫


前回「計算」についてお話ししましたが、今回はその続きです。

「計算」といっても「計算問題」だけではなく、広く算数全般に関係する「計算」についてです。

前回の内容をまとめると次のようになります。

  1. 計算は今後の算数の出来を左右するくらい重要である。
  2. 計算練習を毎日行うのは受験生なら常識であろう。
  3. しかし、ただ練習すれば良いというわけではなく、「正しいやり方」を身に着ける必要がある。また、その時期は早いほど良い。
  4. にもかかわらず、きちんとした指導を受ける機会が意外に少ない。
  5. リアルタイムで修正してもらえる環境がベストなので、「正しいやり方」を身に着けるには個別に指導を受けるのが最も効率が良いと思われる。

そして今回は「計算の正しいやり方」について掘り下げたいと思います。

これから先のお話は「計算の規則はマスターしている」ということが前提となります。
普通に計算できるようになるまで、「計算ドリル」のような練習を繰り返すことは避けて通れません。
そして、ある程度の「量」をこなせば誰もが「計算」はできるようになります。

「計算」は誰もができますが、「正しいやり方」で行えているのはほんの一握りの受験生のような気がします。
この「正しいかどうか」の基準は「受験で結果が残せるかどうか」です。
例えば、どんんどん先の範囲まで進めていって「微分・積分ができます」となってもあまり意味がないわけです。

では「受験で結果が残せる計算力」とはどのようなものでしょうか。

それはズバリ「間違えない」ことです。そこに「スピード」が加われば鬼に金棒です。

一般的には計算が遅ければその分正確性は上がると見られているようですが、それは事実ではありません。
遅い方がむしろ正解率は下がるのです。
もちろん、自分の限界を超える速さで計算すれば正解は難しくなりますが、適正なスピードならば、「計算」は合って当たり前となります。

また、「暗算はミスするからダメ」、「筆算が安全確実」という認識も正しいとは言えないと思います。
「暗算」の力がないと苦労することは明白ですし、「筆算」のミスが意外なほど多いという事実もあります。

「計算力」を高めるためにはまず「暗算力」が必要です。
例えば「掛け算」を「筆算」で行う場合、繰り上がりを頭の中でやるということも一種の「暗算」です。
この「暗算」ができないと、計算の過程がかなり細かくなってしまい、それがミスの原因となることもあります。

「掛け算の筆算」についてみていくと色々なことがわかってくるのでもう少し考えてみます。

例えば3桁×2桁の「筆算」の場合、多いときは「掛け算(九九)」を6回、「足し算」を8回行うことになります。

その中でどれか一つでもミスしてしまうと不正解です。
ひとつの「筆算」でこれですから、1回のテストでの「計算」はかなりの回数になり、その全てを正解するというのは簡単ではないということがわかります。

また、繰り上がりの部分を「暗算」でやる場合、その数字を記憶しておく必要があります。
ほんの一瞬記憶しておけば良いのですが、時間をかけてしまうと忘れてしまうリスクが生じます。
そうなると大切なのは「テンポ」、「リズム」ということになり、「ゆっくり慎重に」という姿勢は逆にミスを呼び込むことになりかねません。

また、小学生に多いミスに「書き間違い」があります。
「筆算」は脇に書いて行うため「行き」と「帰り」双方でミスが起きます。
「筆算は安全」とはいかないのが現実だと思います。

私は指導する際、「筆算」は最小限にすることを徹底しています。
その分「筆算」でのミスは確実に減っています。
ただし、「筆算」を減らすには「計算の工夫」が必要になってきます。

ということで、「計算の工夫」について考えます。

「計算の工夫」で良く使われるのは「分配法則とその逆」です。
特に「3.14」の計算は「3.14」でくくることが必須になります。

「計算の工夫」でもう一つ重要なのは「分数」を使うことです。
「割り算」を「分数の掛け算」に直すことで、「計算の負担」を減らすことができます。

ただし、分数の利用は「意識」しないと上手くいきません。
今まで習ってきた公式は「÷」を使っていますから、それを全て修正しなければなりません。
後から習う「組み合わせの公式」などは分数になっていることが多いのが救いです。

また、「平方数」「三角数」「2の累乗」は覚えておくと便利です。

これら以外にも様々なテクニックがあります。
例えば「25で割るよりも4倍して小数点の位置を2つずらした方が良い」、「0.875は 78 にする」など便利なものが沢山あります。
そういったものに出くわしたときは逃さないようにしたいですね。

いろいろと書いてきましたが、実際の計算は生き物のようなところがあり、例外も多く存在するので、その場について教えてあげたいというのが私の希望なのであります。

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今週の1題計算の工夫

難易度★★☆☆☆

(1)

1辺が10cmの正方形と、たて12cm、よこ8cmの長方形の面積の差を考えます。
長方形の辺の長さは正方形に比べてたてが2cm長く、よこが2cm短くなっているので、面積は
2×2=4(cm
小さくなります。
このことを利用して、以下の計算をしてください。
4031×4031×4031-3968×4031×4094

(2)

7 8 = 1 1 1 1 ( ア < イ < ウ < エ )

① ア、イ、ウ、エが全て一ケタの整数であるとき。
② ア、イ、ウが一ケタの整数、エが三ケタの整数であるとき。

 

クリックすると
解答が表示されます

<解答>

(1)

15999039

(2)

① ア=3、イ=4、ウ=6、エ=8
② ア=2、イ=5、ウ=6、エ=120

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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