VOL.44計算
受験まで準備期間が1年あるとして、何から手をつけていけば良いか悩ましいものがあります。
果たして塾の復習だけをやっていれば良いのでしょうか。
日々の指導で感じるのは、「最近の受験生は計算に取られる時間が多すぎて、その分負担が増えている」ということです。
また、「計算」が苦手だと「算数」が苦手になることが多いです。
算数の本質は「理論的に考え正しい答を出す」ことだと思います。
特に重要なのは、「考える」ことなのですが、それよりも「計算」にエネルギーを奪われている受験生が多いような気がするのです。
「計算」の負担が減れば「思考力」の養成により多くの時間をさけるはずです。
ということで、今回は1年後を見据えて「今から始める計算の取り組み方」について書きたいと思います。
私が受験勉強を始めたのは小六の5月からなのですが、その時の感想は「計算問題すら正解できる気がしない」でした。
一般的な小学生からすれば受験レベルの計算問題はかなり難しいです。
それを素早くしかもミスなくこなすわけですから、今の受験生は立派です。
これから1年かけて「算数」を仕上げていくわけですが、科目の性質上「問題演習」は欠かせません。
答を出すためには必ず計算をしなければなりませんから今後1年で膨大な量の計算をすることになります。
ここで考えてもらいたいのが、その計算が遅かったり間違いが多かったらどうなるかということです。
本当にやりたいことに手が届く前に時間を取られてしまうことになりかねないですよね。
そのような事態は避けなければなりません。
また、計算が間違ってばかりだと、「算数」がつまらなくなってしまいます。
「解ける爽快感」など味わうことができません。
「算数」を嫌いになってしまうかもしれませんね。
以上見てきたように「計算」がきちんとできないと「算数」全体に悪影響がでる可能性が高いです。
「算数」のカギを握るのは「計算力」と言っても過言ではありません。
では具体的な「計算力の高め方」ですが、これは「量」と「質」の両面から考えなければなりません。
まず「量」についてですが、毎日一定量の「計算問題」を解く必要はあるでしょう。
特に「スピード」と「正確性」の両立というテーマがあるので、ある程度できるようになったらやめても良いという性質のものではありません。
受験の前日(当日)までやるものであると考えておいてください。
続いて「質」についてです。
じつは今回主にお伝えしたかったのはこちらです。
さきほど「計算練習」をやるようにという話をしました。
しかし、計算のやり方が良くなければ、練習の意味がないどころか逆効果である可能性すらあるのです。
これはどういうことかというと、まずいやり方で解いても練習にならないということです。
知らない歌をカラオケで何回歌ってもその歌がうまくならないように、自己流で計算の練習をしても効果はあまりないのです。
集団塾ではその性質上、一人ひとりの細かい計算の内容までリアルタイムでチェックすることはまず不可能です。
ところが、計算のやり方が悪いとこの先苦労がどんどん増えていくことは明白です。
スマートに計算できる受験生との差はどんどん広がっていくことでしょう。
私の経験上、現在トップクラスの成績をとっていたとしても、計算の内容は及第点におよばないケースが多いです。
その理由ですが、先ほど述べた集団塾では限界があることがひとつ。
もうひとつは参考書等の記述が計算のやり方そのものについてはあまり触れていないことが考えられます。
要するに習う機会に恵まれていないのです。
結局この問題に関しては我々の出番なのかもしれません。
リアルタイムで計算を修正するためには個別に指導するしかないと思うのです。
そしてその時期は早ければ早いほど良いわけです。
「計算の質」を上げるためには、指導者にリアルタイムでチェックしてもらい、「正しいやり方」をなるべく早い時期に身に着けることが大切だと思います。
「正しいやり方」については次回じっくり述べたいと思います。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題計算問題
難易度★★☆☆☆
次の計算をしてください。なるべく工夫をして、スマートに解きましょう。
(1)
19 4×5 + 29 5×6 + 41 6×7 + 55 7×8 + 71 8×9 + 89 9×10
(2)
1.49×1.67+1.49×5.01+1.83×5.01+1.67×3.52
解答が表示されます