VOL.2761問全力解析 2023灘中学校
今回の1問全力解析は2023年灘1日目6です。
まずは問題を見てください。
基本テーマ
①問題文を良く読む
②節目に何があったのか ~ストーリーを紡ぐ
③グラフをおこす
④比の利用(時間の比と道のりの比は等しい)
⑤グラフは図形
この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。
ひとつずつ見ていきます。
①問題文を良く読む
速さの問題ですが、よくある二人の差のグラフが与えられるタイプです。
このグラフは折れ方が複雑になることが多く、苦手とする受験生も一定数いると考えられます。
慣れてしまえばさほど難しくないことがほとんどで、本問も本校の合格レベルの受験生は難なく正解したことでしょう。
ただし、ひとつひとつ丁寧に読み取っていかないと何がおきているのかが見えてこなかったと思われます。
その意味では読解力が要求された問題だったと言えるでしょう。
②節目に何があったのか ~ストーリーを紡ぐ
このタイプのグラフが出てきたら、グラフが折れた所で何が起きたのかを考えなければなりません。
また、yの値が「0」になった時は2人は同じ場所にいるので、それも大きなヒントになります。
・同時にスタート
・出会う
・1人目(速い方)が到着、すぐ折り返し
・2人目も到着
・2回目の出会い
・速い方が戻る(グラフ終わり)
※終わった状況からAが速いことがわかります。
この流れが見抜ければ大丈夫でしょう。
③グラフをおこす
2人の位置関係がわかるようなグラフを描くのが良いでしょう。
スペースがあれば元のグラフの真下に、横軸が揃うように描けば正確なものを描くことができます。
この後の解説で具体的な手順を説明します。
④比の利用
本問はヒントとなる数字が少なめです。
「時間の情報」が1つ、「距離の情報」が2つです。
「距離」の2つの数字を比に置き換えると、それだけでかなり前進することになります。
コツは、「距離」の比と同じ比になっている「時間」を探すことです。
それを見つける時に使うのが③で取り上げたグラフで、比を書込みやすいのもグラフのメリットです。
次の⑤も含め、全部がつながってきました!
⑤グラフは図形
グラフは描いてしまえば図形として見る姿勢が大切です。
特に三角形の相似がほぼ現れるので、活用しましょう。
本問も最後の仕上げは「砂時計型」の相似を利用します。
※旅人算は使わなくてもよければ(他の解法を思いつけば)、使わないことを推奨します。
これについてはVOL.117に詳しく書いたので参照してください。
以上見てきたように、差のグラフの問題は位置のグラフを起こせれば解けたも同然と言えます。
以上を踏まえて問題を解いてみましょう。
グラフを描きます。
その前提として押さえておくべきことをメモしておきます。
・同時スタートからAさんが往復して戻ってくるまでがグラフとして与えられている
・Aさんが往復を終えたときBさんはPから1000mの所にいる→Aさんの方が速い
・Bさんが片道にかかる時間は30分
・速さは一定なので直線のグラフになる(片道)
〈図1〉
1250:1000=5:4
なので、5:4になっている時間を探します。
→グラフに記入
ここまで準備できればもう大丈夫です。
AさんとBさんの片道にかかる時間の比は
5:5×2
4=5:6
なので速さの比は逆比で6:5です。
よってPQ間の距離は
1250÷5×6=1500(m)…①の答
初めてすれ違うのにかかる時間は砂時計型の相似を使って
30× 5 11 =13 7 11 (分)…②の答
きれいに解決しました。
以上見てきたように隔たりのグラフの問題はそんなに恐れる必要はないと思います。
しっかり考えれば解けるという自信さえ持てれば、解けたも同然ですよ!
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題場合の数
難易度 ★★★★☆
2つの7進数の和について考えます。
例えば
123+123=246
123+246=402
です。これを10進数とみなせば
123+123=246
123+246=369
となります。
(1)3桁の7進数AとBの和が「444」でした。
AとBの組として考えられるものは何通りありますか。
(2)2つの7進数CとDの和が「4444」でした。
また、CとDを10進数とみなして和を求めると、「4444」にはなりませんでした。
CがDより大きいときCとDの組として考えられるものは何通りありますか?
解答が表示されます