VOL.2171問全力投球(3) 渋谷教育学園幕張中
今回の「1問全力投球」は「渋谷教育学園幕張」の2021年度一次5を取り上げます。
問題を見てみましょう。
「立体の切断」の問題です。
本校では5が「立体切断枠」のようになっていますね。
ということで対策が必須です。
「立体の切断」は出題する学校とそうでない学校が割とはっきりしているので、出す学校を受けない場合は、厚い対策は不要だと思います。
立体切断は「柱体」と「すい体」に分類できます。
それぞれ公式があるので、しっかりと覚えておいてください。
最近の傾向としては「立方体」を複数の面で切るものが多かったイメージがありますが、本問は「すい体」の斜め切断でした。
「すい体」は「三角すい」が基本です。
「四角すい」以上は「三角すい」を組み合わせたものとみなします。
本問の場合、「斜め切断」は(3)でしたね。
(1)は「平面図形」、(2)も底面に平行な面で切るのでほぼ「平面図形」で片付きます。
それでは解説に入ります。
〈解説〉
(1)
ひし形は〈図1〉のように無条件で対角線を引いてかまいません。
〈図2〉は〈図1〉に四角形KLMNを書き加えたものです。
四角形KLMNは四角すいO-KLMNの底面なので、四角形KLMNの面積がひし形ABCDの何倍かがわかれば、答を求めることができます。
四角形KLMNは台形なので、ひし形ABCDとの面積比べを考えます。
四角形KLMNの上底と下底・高さが、ひし形ABCDの対角線(縦・横)のそれぞれ何倍かを求め、それを掛け合わせたものが面積の割合となります。
( 1 2 + 1 3 )×( 1 2 × 1 2 + 1 2 × 2 3 )= 35 72 ・・・①
高さの等しいすい体と柱体の体積比は柱体を1とすると
「すい体の底面積の割合× 1 3 」で求めることができるので
35 72 × 1 3 = 35 216 (倍)・・・(答)
(2)
四角すいを底面と平行な面で切っています。
高さの 1 2 のところで切っていますので、その切り口は底面と相似で相似比は2:1です。
面積比は
2×2:1×1=4:1
なので、①の 1 4 倍が答です。
35 72 × 1 4 = 35 288 (倍) …(答)
(3)
〈図3〉はBとD、FとHが重なって見える方向から見た図です。
「立体図形」はこのように平面的に捉えることが急所になります。
OKとPRの交点をSとすると、OS:SKを求めることが解決につながることがわかると思います。
ちなみに、図を見てわかるように、OLとPRはQで交わるのですが、これは対称性を考えれば明らかでしょう。
〈図4〉はOS:SKを求めるために「つの出し」を行ったものです。
EG=12
とすると
TE=CU=12
EO=2
KC=9
なので
OS:SK
=12+2:9+12
=2:3
であることがわかります。
ここで見取り図を〈図5〉で掲げておきます。
四角すいの体積比は、三角すいに分けて考える必要があります。
〈図6〉はONLの3点を通る平面で四角すいO-KLMNを2つの三角すいに切り分けたものです。
三角形KLNと三角形LMNの面積比は台形KLMNのKNとLMの比に等しいので3:2であることがわかります。
三角すいの体積の割合はOから伸びている3つの辺の割合の積に等しいです(これは基本中の基本なので必ず身に着けておいてください)。
よって求める答は
3 5 × 2 5 × 2 5 × 1 2 + 2 5 × 2 5 × 1 2 × 1 2
= 11 125 (倍) …(答)
以上見てきたように、基本の積み重ねできっちりと答を出すことができます。
そして、「立体図形攻略」に必要なことを教えてくれました。
1.平面図形の力
2.作図力
3.立体のままではなく平面的に捉える
4.「比」、「分数」の利用
上記のような「力」をしっかりと身に着けていきましょう。
そうすれば「立体図形」が得意分野に変わるかもしれませんよ。
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