VOL.135【合格へのシナリオ】 -「塾の成績と本当の実力」-
最近急に寒くなってきたと感じます。
ここ何年かは寒さがこたえるようになってきましたが、それにしても寒いです。
「地球温暖化」が叫ばれていますが、果たして本当なのかと疑ってしまいます。
中学受験の中では「地球温暖化」は当然に起きていることと捕らえておきます。
そしてその原因物質は「二酸化炭素」と、ここまでワンセットです。
「温室効果ガス」は「二酸化炭素」だけではなく「メタン」「一酸化二窒素」「フロンガス」などもあり、効果自体は「二酸化炭素」よりも他の気体のほうが強力であることが知られています。
そのあたりのことを出題する学校もあります。
二酸化炭素は他の気体よりも量が多いので「地球温暖化」に及ぼす影響が最も大きい「温室効果ガス」と言われているのです。
そして二酸化炭素の発生原因の大部分は化石燃料由来なので、このまま温暖化が進み人類が壊滅的なダメージを負ったとしても、それは自業自得と言えるかもしれません。
ただし、周期的なことを言えば地球はこれから氷河期真っ只中に進んでいくという説もあります(そもそも氷河期の定義によれば、今現在も氷河期ということになります。)。
最近の寒さからはこちらの説に賛成したくなります。
ということで、私は地球の温暖化にはやや懐疑的なのですが、受験ではそんなことを言っているわけにはいきません。
「地球温暖化」は今も進行中であり、それを前提に学習しておかなければなりません。
このことと似ていることに、「中学受験は正義の側に立てば自然と答が出る」という考え方があります。
確かに小学生に「悪の側」の視点に立った答を要求するとは考えにくいですね。
このように「中学受験」では「真理の追究」のような姿勢は必要ありません。
点取りのゲームのようなものなのです。
特にこれからは残された時間が少ないですから、限られた時間をいかにして点数に変えるかを念頭において行動することをお勧めします。
今回の【合格へのシナリオ】は塾の成績が良好だったために対策が後手にまわってしまったケースを紹介します。
井畑さん(仮名)は大手塾のほぼ最上位のクラスに在籍していました。
第一志望が地域の最難関女子校でしたが、塾のクラスから考えれば合格可能性はかなり高いと考えるのが普通でした。
多くの受験生がもう少し足を伸ばしてさらなる難関校を目指すところを割と手堅い受験校の選択をした、とみられていました。
夏休みも終わり、秋に入っても順調にきていると誰もが安心していました。
ところが、志望校別の模試を受けたところ、全体的に低調な成績に終わってしまったのです。
算数にいたってはボロボロの点数で、手堅い受験という雰囲気はどこかに吹っ飛んでしまったようです。
例によって、何か大きな問題がおきた時は私の登場となります。
今でも最初の授業の様子を覚えていますが、ある意味衝撃的でした。
少し苦手意識があるという「速さ」の授業をやったのですが、まるっきり出来ないのです。
「これでは小5レベルだよ。」というのが私の正直な感想で、「算数」が厳しめといわれる第一志望にはとても届くような気はしませんでした。
最初は出来ないことに対して恥ずかしそうにしていた井畑さんでしたが、
「ばれてしまったものはしょうがない」
という感じで素の自分を表に出してくれました。
おかげで、初日にもかかわらず色々と大切な話を聞くことができました。
私も勢いで「どうやって塾のテストの点数を取ってきたの?」ということを質問してしまいました。
すると「どこが出るかわかるので、そこを丸暗記してテストに臨んだ」という趣旨の答が返ってきました。
「なるほど」と納得したのは良いのですが、「これって一番悪いパターンだよね」と私の中の悪魔がささやき始めました。
確かにこれは最悪で、「算数」の実力は受験者の中でも最下層であることは覚悟しなければならないと腹をくくりました。
せめて夏休みからの指導であったならばどうにでもなったのですが、絶対的に時間が足りません。
そこで、大胆にやることを絞りました。
<問題文>と<分野>の2方向から絞りました。
<問題文>
・1行題か長文か → 1行題重視
<分野>
・主にやる分野 → ・比 ・平面図形 ・速さ
・ほぼやらない分野 → ・立体図形 ・場合の数
上記の方針のもと、最初は基本的なものだけをやるようにしました。
元々井畑さんは能力が高かったのでしょう。
基本はすんなり自分のものにすることができました。
もちろん、私との相性も良かったのだとは思いますが、短期間で最低限やっておかなければいけないことは終えることができました。
実は受験が終わった後に「合格体験談」を書いてくれたのですが、その中に「初日から自分は変わった」といった内容のことを書いてくれました。
私としてもうれしい限りです。
さて、受験直前の井畑さんですが、抜群の吸収力で日々できるようになっていきました。
後から知ったのですが、帰りの車の中でその日の授業で印象に残った解法等をお母さんに説明していたそうです。
これを聞いて納得することができました。
記憶のレベルが最も高いのがこの「人に説明する」というもので、これができればほぼ忘れることはないそうです。
劇的に出来るようになった生徒さんが教室の帰りに説明していたというケースはよくあるので、私もお勧めしています。
さて、いよいよ試験本番となったのですが、私の感触は正直「五分五分」でした。
いくら勢いがあるとは言え、原型が相当酷かったので、自信が持てるには至っていなかったのです。
そこで、最後に出来ることをやろうと思い「予想問題」を作りました。
それを最後の授業で解いてもらいました。
点数は半分ぐらいだったと思いますが、似た問題が出てくれれば「必ずいける」という気持ちになることはできました。
そして、結果発表。
第二志望 学芸大世田谷 ・・・ 合格
第一志望 フェリス女学院 ・・・ 合格
そして驚くべきことに、私が予想した問題に個数を求める問題があったのですが、それと似た問題が出題されていました。
さらに、私が予想したものはきっちりと数字が決まるのではなく、範囲が定まるものだったのですが、そこまで同じでした。
私の予想が的中したから合格したのか、それとは関係なく合格したのかはわかりませんが、色々な意味で印象に残る生徒さんでした。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題整数
難易度★★★☆☆
整数に対して次のような操作を行います。
【操作】
その整数が偶数ならば2で割り、奇数ならば7を足す。
この結果に対しても同様の操作を繰り返し、結果が1になるか、同じ数が3回でてきたところで終了します。
たとえば最初の整数が9の場合
「 9 → 16 → 8 → 4 → 2 → 1 」
の5回の操作で終了となります。
(1)最初の整数が31の場合、何回の操作で終了となりますか。
(2)ある4桁の偶数に対してこの操作を行ったところ、
「奇数→偶数→奇数→偶数・・・奇数→偶数→偶数→奇数→偶数・・・」
と途中1回だけ偶数が2回連続であらわれたのを除くと最初から最後まで、奇数と偶数が交互にあらわれました。
このような数として考えられる物の中で最も大きいものを求めてください。
解答が表示されます