VOL.136【受験お役立ち情報】 -「過去問の点数」-
私は「算数」をメインに指導していますが、以前は「理科」を指導することも多かったです。
中学受験の場合、「理科」の計算問題を「算数」で解くので、「理科」の指導者は「算数」の知識がないと務まりません。
さらに、「ばね」の問題などは「算数」で出題されることもあるので、解法の一貫性という意味では「算数」と「理科」を同じ先生から教わるというのは理想的だと思います。
「算数」と「理科」を両方指導して思うのは、解法がきちんと身についているのであれば「理科」の「計算問題」は「算数」よりも与し易いということです。
考えてみれば当たり前で、「算数」の一番厳しい状況は「どうやって解いたらわからない」という状態ですが、「理科」の場合は少なくとも「てこ」なら「てこ」の解法を使って解くわけですから大分楽ですね。
そうすると、これから本番までにやっておくべきことが見えてくると思います。
少なくとも「解法」を知らないということはないようにしておく必要があります。
どの解法を使うかがわからないのはよいのですが、「知らない」はだめです。
なぜなら、ライバル達は「知っている」で簡単に正解してしまうかもしれないからです。
それと「理科」ができる受験生は総じて「受験」の結果も良好であるように感じます。
理由として考えられるのは「理科」が得意ということは「知識」をベースにしてしっかりと得点できるようなタイプであることが多いからだと思います。
残りの期間、「理科」を通じて「点数の取り方」を学ぶことによって、他の科目にも良い影響が出ると良いですね。
さて、今回の【受験お役立ち情報】は「過去問の点数」についてです。
今の時期はほとんどの受験生が「過去問演習」をメインにしていると思いますが、その点数については人それぞれでしょう。
既に「合格者平均点」を越えているケースもあれば、0点に近いような点数で悔しい思いをしている受験生もいるかもしれません。
もちろん点数が良いにこしたことはないのですが、様々な考え方があるので、今回はいくつかの実例を紹介して、皆さんのお役に立ちたいと思います。
<ケース①>
慶應普通部が第一志望で、日能研生。
算数の偏差値はコンスタントに70を越えていた。
9月頭に初めて過去問を解いたところ、計算問題の1題しか正解できなかった。
その後10年分をやるうちにコンスタントに8割取れるようになったが、結局9割を越えることはなかった。
【結果】
聖光学院(帰国) → 合格
慶應普通部 → 合格
過去問の点数で一番びっくりしたのがこの時です。
余裕で満点近く取るものと思っていたので、軽いショックを受けました。
ただこういったことは中学受験では十分考えられます。
慣れていないというのは恐ろしいことで、彼のような優秀な受験生も崩れてしまうのです。
幸い、私がついていましたし、元々の実力があったので、自信を取り戻してもらうことによって、合格レベルの点数を取ることができるようになりました。
<ケース②>
芝が第一志望。
慶應普通部の相性がよければそれも視野に入れていた。
まず慶應普通部をやってみたところ10年連続で計算問題が不正解であった。
「場合の数」や「平面図形」という頻出分野での正解率も低く、慶應普通部は厳しいと判断。
続いて芝に取り組むもこちらは慶應よりもひどい結果であった。
平均して2割ほどしか得点できなかった。
四谷の偏差値は60以上あったので、芝の惨状は意外であった。
何回やっても点数が向上する兆しが現れなかったので、2月1日は別の学校を受験することを検討した。
その中で攻玉社が浮上し、過去問に取り組んだところコンスタントに6割以上取れたので、相性が良いと判断した。
【結果】
攻玉社 → 合格
彼の場合「過去問蟻地獄」といった感じで、やってもやっても点数が上がる気配がありませんでした。
今思えば極度のおっちょこちょいで、少し変わった表現に対応できていなかった結果だったのでしょう。
1月校で名前を書かずに不合格をもらった生徒さんでもあります。
ところが攻玉社に関しては何の苦労もなく点数が取れていました。
中学受験ではこのような「運命的」な力がはたらくことも少なくありません。
彼の名誉のためにその後の進路を書いておくと、大学は見事に「医学部」に進んでいます。
<ケース③>
第一志望は日本女子大附。
偏差値的には20ポイントほど足りず、苦戦は明白であった。
過去問は別の先生の指導のもと早い時期からやってしまっていたため、2回目、3回目と数をこなすことになった。
当然、点数は良好であったが、どこまで実力で取れているかは不透明であった。
第二志望がカリタス女子だったが、こちらの出題傾向が日本女子大と被っており、かつ少し易しめだったことから合格に必要な点数は十分に取れていた。
【結果】
日本女子大附 → 不合格
カリタス女子 → 合格
日本女子大もやってくれるのではと期待していましたが、算数と国語の点数を揃えることができずに涙をのんだとのことです。
ただ、偏差値から考えるとカリタス女子合格は立派です。
彼女にはむしろ学校のカラーが合っていると思うので、結果オーライだったと思っています。
以上3人の受験生の過去問の出来と結果をみてもらいました。
実は合格ラインを1回も越えなかったのに合格した受験生も多数いますし、反対に、本番で力を出せなかったケースもあります。
大切なのは点数に一喜一憂せず、客観的な判断を下すことだと思います。
残りもわずかとなりました。全力を出し切りましょう。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。