VOL.119【速さの本質に迫る】 -単位を意識する

速さ

私が10代の頃、まだ運転したこともないのに「車」に興味がありました。
高校生の頃は、ほぼ全ての国産車を知っていましたし、どんなエンジンを積んでいるのか等の知識もありました。

近年は日本のメーカーも海外の市場を重視しているようで、車の名前を海外と統一したというニュースもありました。

車の名前と言えば「数字」が使われることが多いですね。
そして、その数字には意味があることがほとんどです。

私がまだ学生だった頃、イタリアの車で「365」という数字が名前に入っているものがありました。
それがいつの間にか「512」に変わっていたので、不思議に思って調べた記憶があります。
当時はネットは無かったと思うので、どうやって調べたのか記憶にありませんが、納得のいく答を見つけることができました。

「365」
 → シリンダー1つあたりの排気量(cc)

「512」
 → 5は排気量(L)、12はシリンダーの数(気筒数)

「365」の時代はそのメーカーは基本的に「12気筒」のモデルを作っていたので、 シリンダー1つあたりの排気量がわかれば総排気量もわかるようになっていました。
その後、「8気筒」のモデルも投入することになったので、マイナーチェンジで排気量を増やす際、「512」という新たな数字が付けられたそうです。
ちなみに同時期に発売された3L8気筒のモデルは「308」の名が付いています。

ドイツの高級車も数字とアルファベットの組み合わせの名前が多いです。

数字は「500=5L」のように排気量を表すケースが目につきます。

また、結構アバウトなこともあり「745」の「45」が「4.5L」を意味していたものが、「760」になった現在は「6.6L」なんていう車もあります。

「数字の意味」を無意識のうちに考えてしまうのも一種の「職業病」なのかもしれません。

さて、本題の「速さ」ですが、こちらこそ「数字の意味」をしっかりと認識しなければいけません。

数字の意味を認識する際、便利なのが「単位」です。特に「速さ」の問題の場合、その数字が「道のり」「時間」「速さ」のどれなのかが分からなくなるとどうしようもありません。

これが「売買」だと「単位」がわかっても、それが「原価」なのか「定価」なのか、あるいは「売上」なのか「利益」なのかといった問題があるのですが、「速さ」の場合は「単位」がわかればあとはそれほど面倒ではありません。

ではどこに「単位」を書くのが良いかというと、式を立てて計算したその答に「単位」をつければ良いと思います。

本当は式の途中の全ての数値に単位をつけるべきなのかもしれませんが、それをやると煩わしくなるうえに、整合性を保つのがかなり面倒になってしまいます。
例えば、1個100円のアイスを5個買ったときの値段だと
100×5=500(円)
とやれば良いのですが、全部に「単位」をつけようとすると
100円×5個=500円個・・・?
という訳の分からないことになってしまうかもしれません。
本当は最初の「100円」は1個あたりの値段なので、「100円/個」が正しく、約分の要領で「個」が消えて「500円」になるのですね。
余談になりますが、上のような計算は「100×5=500」が正しく、「5×100=500」は間違いだという意見もあるようです。
その根拠は掛け算の前の数字の「単位」と答の「単位」は揃っていなければいけないということだそうです。
どっちでも良い派の私からすると
『「100×5=500」も厳密にいえば「単位」は揃っていない』
となるのですが、皆さんはどのように思いますか。

「速さ×時間」は「単位」を書いても問題ありませんし、なぜ「速さの単位」があのようになっているのかの理解を深めることになると思います。

本来はこういったことを正しく理解し、式に反映できるようにすべきなのかもしれませんが、受験生には時間がありません。
「点数に変わりないこと」にあまり「時間」をかけたくないのです。

ですから私は計算結果のみに単位を書くことを推奨しています。

さて、「速さ」の「単位」は少し面倒なところがあります。
「速さ」は「時間当たりに進む道のり」ですから、「時間」の「単位」と「道のり」の「単位」の組み合わせで成り立つことになります。
通常は「km/h」「m/m」「m/s」あたりが使われることになるとは思いますが、他も十分に考えられます。

かなり出来の良い生徒さんが模試で簡単な問題を落としていたことがありました。
バスの速さを求める問題だったのですが、出した答は標準的な徒歩の速さよりも遅いものでした。
さすがにそれが正解とは考えにくく、間違いに気づき修正する余地が十分にあったと思うのですが、自分の計算力に自信があった分、確認を怠ってしまいました。

間違えた原因は「時間の単位」を取り違えたことにあったのですが、計算結果が妥当な範囲に収まっているかどうかのチェックはするべきでした。
VOL.51に標準的な速さの表がありますので、よかったら参考にしてください。

よくある乗り物で「速さ」がイメージしにくいものに「飛行機」があります。
速過ぎて頭が追い付かないといったところでしょうか。
ただ、今飛んでいる旅客機に音速を超えるものはないという話を聞いたことがあります。
「音速の壁」というものが存在するらしいのですが、それを打ち破る研究もされているそうですから、いつかは「超音速旅客機」で旅をしてみたいものです。

話が横道にそれてしまいましたが、今回言いたかったことはいたってシンプルです。

「単位を正確にとらえる」

それだけです。

具体的には

①計算式の結果に「単位」を入れる

②その際、「時間」と「道のり」のそれぞれに気を配り、計算結果が妥当な範囲かどうかを確認する

といったことを要所でやってもらえれば結構です。

「単位を正確にとらえる」ことによって「速さ」の問題における得点率をさらに上げていきましょう。

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今週の1題速さ

難易度★★☆☆☆

1本道の上に3つの地点A,B,Cがこの順に並んでいます。AB間は平地でBからCは上り坂になっています。
ある日名門君はAからBを通ってCまで行き、すぐに引き返してAまで戻ってきました。
AからCまでは3.6kmで、行きは64分かかり、帰りは56分かかりました。
平地は時速3.6kmで進み、上り坂は平地よりも分速Pm遅く、下り坂は平地よりも分速Qm速く進みました。
「P:Q」が「2:3」のとき、以下の問に答えてください。

(1)PとQに当てはまる数字を求めてください。

(2)AB間は何mありますか。

クリックすると
解答が表示されます
<答>(1)P=10,Q=15 (2)2400m
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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