VOL.51速さ(3)
最近、花粉にやられて、首から上がひどいことになっています。
内服薬、目薬やマスクで対策をしているのですが、敵はその上をいく感じですね。
対策を2重3重に張り巡らせてもなぜか突破されてしまうということはよくあることです。
受験ではそうならないように細心の注意を払っていきましょう。
今週のテーマは「速さ」です。
苦手にしている受験生も多い分野です。
なぜ苦手になるのかとその対策はVOL.43で取り上げました。
今回は主に「速さと比」について考えてみたいと思います。
小学生が扱う「速さ」は「単位時間あたりの移動距離」と考えて良いでしょう。
これは「リンゴが3個」などの数えられる量とは明らかに異なります。
それだけ具体的なイメージが湧きにくいわけです。
それだけでも小学生にとっては考えずらいのかもしれません。
私がよくやるのは、身近なもののおおよその速さを数字で示すことによって、「速さ」を実感してもらうというものです。
徒歩 | 6km/h=100m/m |
---|---|
全速力 | 36km/h=600m/m=10m/s |
自転車 | 18km/h=300m/m |
自動車 | 60km/h |
電車 | 126km/h=35m/s |
ここに挙げたような数字を頭に入れておくと、とんでもない答を書くことの予防にもなります。
「時速」「分速」「秒速」(場合によっては「マッハ」)と表し方が複数あることも面倒です。
速度の単位換算も練習しなければなりません。
特に「通過算」では「時速」⇔「秒速」が必須です。
「3.6で割る(掛ける)」をマスターしておくと少し楽になります。
続いて「速さと比」について考えたいと思います。
「単位時間あたりの移動距離」は一種の「比(割合)」ですから、「速さ」の問題を「比」を使って解くことは当たり前とも言えます。
では、どういう時に比が使えるかというと、速さの3要素(速さ・道のり・時間)のうちどれかひとつが共通な時です。
例えば、同じ道のりをAが1時間、Bが2時間かかって進んだならばAとBの速さの比は2:1という具合です。
ここでは、道のりが同じ場合だけ他の2つが「逆比(反比例)」になるということが急所中の急所です。
AとBの2人が同じ速さの場合、かかる時間は道のりに比例し、同じ時間進む場合は道のりが速さに比例するというのは感覚的にも当たり前でしょう。
当然のことはサラッと流し、そうでない所をしっかり意識するのが勉強のコツでもあります。
実際の入試問題では、時間を知りたいケースに、速さでヒントを与えている(あるいはその逆)ことが非常に多いです。
道のりが同じになっている部分に着目することが解法のコツであると言えそうです。
また、3要素のうちのひとつが共通ではなくても、比がわかっているケースは、比を揃えてあげることによって残りの比を求めることができます。
前記のケースでも、道のりが3:4とわかっていれば、速さの比を求めることができます。
31:42 =3:2
という要領です。
要するに、速さの3要素のうち2つの比がわかっていれば残りのひとつの比は求められるのですね。
「比」の便利さはまだあります。
それは数字をあらかじめ小さくしてあるので、計算が楽になるということです。
これは「速さ」に限ったことでなく、算数全般に言えることです。
このメリットは非常に大きく、スピードと正確性を同時に手にすることができます。
「速さ」の問題は解法が複数あることも多いのですが、極力「比」を使うようにしてみましょう。
「解法力」のみならず「得点力」の部分でも大いに役立ってくれると思います。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題速さ
難易度★★★★☆
A地点とB地点は1本道です。
名門君がA地点を、目白君がB地点を同時に出発し、名門君がB地点に着くのと目白君がA地点に着くのが同時になるように予定を立てました。
予定では、名門君は時速36kmでスタートし、目白君と出会う予定のC地点から時速16kmで進み、目白君は最初から最後まで同じ速度で進むはずでした。
実際は名門君は予定通りA地点からC地点までは時速36km、C地点からB地点までは時速16kmで進みましたが、目白君は予定よりも速い速度でスタートしました。
結局、目白君は名門君と出会ったD地点からは速度を半分にして進んだところ、2人とも予定の時刻に着きました。
(1) AC間の距離とCB間の距離の比を求めてください。
(2) 目白君がスタートした時の速度は時速何kmですか。
解答が表示されます