VOL.59変化のグラフ(2)
この間まで寒いと思っていたら、なんだか急に暑くなってきました。
いきなり夏ですね。
しかし夜はまだ寒かったりするので、着るものの準備は怠らないようにしましょう。
今回は双子のお母さんに来てもらいました。M市のFさんです。
Fさん今日は息子たちについて、色々と聞きたいことがあるのでよろしくお願いします。
金田こちらこそよろしくお願いします。
Fさんうちの双子は全然性格が似ていません。
そのせいか、得意分野も違うようです。
一人でも大変なのに二人いっぺんなので、どう対応したらよいかわかりません。
金田算数に限らずどの教科でも、個々にとっての優先度は異なります。
今、何をやるべきなのかは、現状と最終目標からある程度具体的な中間目標を定めることにより決めるのが良いでしょう。
二人の志望校は同じですか。
Fさん違います。
金田今の成績はどうでしょう。
Fさん分野により多少ブレはありますが、二人とも塾のテストでは平均点の少し上ぐらいのことがほとんどです。
金田平均点の少し上ということは、まだまだ「基本」が身についていない可能性が高いですね。
「基本」がしっかり身についていれば、範囲の決まったテストであれば満点近い点数が取れるはずです。
今の時期は「基本」を身に着けることが大切なので、二人ともそれに専念しましょう。
具体的には塾で習ったことの復習と今までやってきたことの復習、これを二本立てにして日々の学習に組み入れるのが良いと思います。
復習についてはVOL.20、VOL.21に詳しく書いてあるのでそれを参考にしてください。
ところで、テストでの失点の原因を分析したことはありますか。
Fさん私が見てもよくわからないのですが、本人たちが言うのには、
「うっかりミス」(U君)、「意味がよくわからなかった」(I君)
ということが多いです。
金田なるほど、そうですか。
先ほど性格が違うということでしたが、U君とI君はどういうタイプなんですか。
FさんUは明るく積極的です。Iは落ち着いていて几帳面です。
金田そうするとU君は直観的に問題を解くことが多く、I君は今まで習ったことをうまく当てはめて解いているということですね。
そしてU君は直観的過ぎてミスすることがあり、I君は未知なものの意味がわからなくなることがあるということでしょうか。
Fさんおっしゃる通りです。
金田では話を具体的にするために分野を絞って考えてみましょう。
U君とI君は「グラフ」を書くのは得意ですか。
Fさん私はよくわかりませんが、二人が書いたものがあるので直接見ていただけませんか。
金田それでは拝見します。
※ 金田から見た問題点
【U君】
・サイズが小さい
・字が汚い
・線が曲がっている
・縦軸にとる値と横軸にとる値が逆
【I君】
・サイズが大きすぎる
・定規を使って丁寧に書いているが時間がかかり過ぎている可能性がある
・横軸の数値が一定の割合で増えていない
二人ともよく頑張っていますが、改善できる点も多いです。
まず、適正サイズをつかむようにしてください。
これは、試験当日に使える白紙のサイズ(A4であることが多い)と見やすさの兼ね合いからある程度決まってきます。
それと当たり前なのですが、読める字を書きましょう。
読めるというのは誰が見ても読めるということです。
自分が読めるから良いという考えは改めてください。
また、基本的にはフリーハンド(定規は使わない)である程度きれいに書けるように練習しましょう。
最初は時間がかかるかもしれませんが、なるべく手早く書けるように頑張りましょう。
縦軸、横軸にそれぞれ何の値をとるかということに関しては、基本的に自由です。
ただ、一般的に「時間は横軸、距離は縦軸」という具合にある程度決まっているので、それに倣うのが無難です。
そして大切なのは「全体像をイメージする」ということです。
バランス良く書けるようになるためにはあらかじめ全体が見えていないといけません。
よく、書いては消し書いては消しを繰り返して何とか完成させるということがありますが、それではダメです。
極力1回で決めるようにしましょう。
Fさんどうすれば全体像がイメージできるのでしょう。
金田まずは問題文をしっかりと読むことです。
それと多くの問題を解いて経験を積むことが大切です。
U君は問題文をよく読んでいない可能性がありますし、I君は細かいところにとらわれて全体が見えていないかもしれません。
そのあたりのことに気をつけて問題に取り組むようにして下さい。
さらに言えば、お互いに良いものを持っているので、それを補い合えばかなり良くなる可能性を感じます。
身近に良きライバルがいるわけですから切磋琢磨して上を目指してください。
ただ、気をつけて欲しいのは「できない方に合わせない」ということです。
できない方に合わせてしまうと切磋琢磨というよりも共倒れに近いような状態になってしまう恐れさえあります。
Fさんわかりました。
双子であることを強みにできるように頑張っていきたいと思います。
金田最後に一言だけ言っておきます。
受験は孤独なものです。最後は独り立ちしなければなりません。
二人の場合、そのタイミングがいつが最善なのかはわかりませんが、志望校対策がメインになれば、今までと同じというわけにはいきません。
それまでに独立の準備をしておきましょう。
最終的なライバルはお互いではなく、自分自身であることに気づいてください。
Fさんそうですね。タイミングをみて引き離すことも考えたいと思います。
<ポイント>
- 性格によってやり方が変わってくる可能性はあるが、今の時期は基本が大切なことに変わりはない。
- グラフを書く際は「全体像をイメージする」ことが大切。
そのためには問題文をよく読むことと、ある程度量をこなして経験を積むことが必要。 - 受験は孤独なもの。最後の最後は自分とのたたかいとなる。
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今週の1題変化のグラフ(2)
「変化のグラフ」の問題はVOL.9にもあります。
難易度★★★☆☆
〈図1〉は直方体の上の面から直方体をくり抜いて作った金属製のおもりの様子を表して
います。
〈図2〉のように底面積が1000cm2、深さ60cmの空の水そうに、給水管から一
定の割合で水を注ぎます。
給水を始めるのと同時に、底面が水そうの底面と平行になるようにつるしたおもりを一定
の速さで下ろしました。
〈グラフ〉は、給水を始めてから、おもりの底面が水そうの底につくまでの時間と、水の深さの関係を表したものです。
糸の太さは考えないものとするとき、以下の問いに答えてください。
(1)〈グラフ〉のア、イに入る数字を求めてください。
(2)おもりが底につくのと同時に、下げるのと同じ速さで引き上げると、おもりが全て水から出るのは、給水を始めてから何秒後ですか。
解答が表示されます