VOL.58相似(2)
ゴールデンウィークが迫ってきました。
この期間、塾によっては「特訓」を行ったりしているようです。
受験生にとって、貴重なまとまった休みの日に何をやったら良いか、とても悩ましいところです。
私のおすすめはズバリ、「復習」になります。
春休みにやったことを忘れかけている頃ですから、その復習をするのになかなか良いタイミングです。
また、苦手分野の「復習」をするのも良いと思います。
いずれにせよ個々の事情が異なるので、何が最善かは言えませんが、今までやったことがすべて身についている受験生以外は「復習」に専念するのが無難だと思います。
本日の相談はZ市の小6男子E君本人に登場してもらいましょう。
金田E君、よろしくお願いします。
E君はい。僕は図形が苦手なんですけど、どうしたらできるようになりますか。
金田苦手と一言で片付けるのは簡単ですが、もう少し分析してみることにしましょう。
そんなにできないわけではないかもしれませんよ。
E君は面積を求める問題はできますか。
特に、公式を当てはめればできるような問題はどうですか。
E君たまに計算ミスはありますが、どの公式を使えばよいかわかればだいたい解けます。
まれにどの公式を使えばよいかわからないことがあります。
金田すばらしい。面積はだいたい求められるということですね。
ところで、面積の公式はいくつ覚えていますか。
E君数えたことないからわからないや。
金田では三角形の面積を求める公式はどうでしょう?
E君それは一つです。「(底辺)×(高さ)÷ 2 」!
金田そうですね。それが一般的です。
ただ、受験の準備ということならば特殊な形を「公式化」しておくことも必要です。
例えば3つの内角が30°、75°、75°で二つの等しい辺の長さがAcmの二等辺三角形の面積Sは
S= A×A4 (cm2)
という具合です。
私はこの三角形は1辺がAcmの正方形の面積の 14 になると教えています。
ほかにもいくつか考えられるので、自分なりに「公式化」しておくと便利です。
ただし、あまりにも“自己流”というのも困るので、このあたりは指導者についてもらうのが良いかもしれません。
それではE君、四角形の公式はどうでしょう。
E君「台形」と「平行四辺形」があります。
金田他に何かありませんか?
E君「長方形」は「平行四辺形」と同じだと思います。
金田そうですね。同じとも言えますが一応文言が異なります。
「長方形」の面積の公式は「たて×よこ」と習ったはずです。
そういう意味では正方形も「1辺×1辺」です。
じつは重要な公式が一つ抜けています。何とか思い出してください。
E君そうか、「ひし形」だ!
それを利用して「正方形」の公式も一つ増えます!
金田そうですね。
「ひし形の面積」=(対角線A)×(対角線B)÷2
「正方形の面積(2)」=(対角線)×(対角線)÷2
となります。
なぜ今までこんなことをやってきたかと言うと、「図形」は意外と覚えることが多いということを知ってもらうためです。
自称「図形が苦手な受験生」の大半はこの覚えなくてはいけない部分がきちんと頭に入っていないと思われます。
「図形的感覚」が不足しているわけではなく「勉強量」が不足している可能性が高いです。
※ 他の面積の公式
「円の面積」=(半径)×(半径)×(円周率)
「おうぎ形の面積(1)」=(半径)×(半径)×(円周率)× 中心角360°
「おうぎ形の面積(2)」=(弧の長さ)×(半径)÷2
「柱体の表面積」=(底面積)×2+(底面の周)×(高さ)
「円すいの側面積」=(母線)×(底面の半径)×(円周率)
金田E君、相似についてはどうですか。
E君問題を解いている時はどれとどれが相似か気づかないことが多いです。
後から「あっ、そうか。」となることが大半です。
金田確かに、問題文には「この問題は相似がテーマです」とは書いてありませんから、そもそも相似な図形を見つけようとしないことがありますね。
ただ、「形」によって「相似」が発生しやすいものがあるので、その場合は「相似」を利用することを視野に入れると正解率が大きく上がりますよ。
E君ホントですか。その「形」を教えてください。
金田考えてみれば当たり前なんですが、それは「平行」と「直角三角形」です。
E君が思いつく相似を「平行」の時と「直角三角形」のときそれぞれで書いてみましょうか。
何か授業のようになってしまってますが(笑)
E君できました。
金田よくできました。私は〈図1〉は「砂時計型」、〈図2〉は「ピラミッド型」、〈図3〉は「相似三兄弟」と呼んでいます。
もう一つ〈図4〉のような相似もイメージしておけば最高ですね。
E君それは気付きませんでした。勉強になります。
金田このように、図形は事前の準備が大切です。
そして、相似があるという目でみればその発見も容易になるでしょう。
E君もこれからは準備をしっかりしてからテストを受けるようにしましょう。
E君ありがとうございます。なんだか自信がわいてきました。
<ポイント>
- 「図形」は問題を解く際の前提となる「知識」が大切。
- 公式等はなるべく細かく、正確に頭に入れる。
その際きちんと「理解」しておかないと使い物にならなくなる可能性あり。 - 「形」から、現れやすい「性質」を見抜き、それを利用して解けないかどうか検討する
(これも大人の発想)。
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