VOL.21夏期講習 第2回 「 繰り返しの重要性 」
前回復習について書きましたが、今回はその続きです。
復習は「 理解 → 記憶 → 運用 」それぞれの段階できめ細かく対応する必要があることを書きました。
今回は繰り返しの重要性について書こうと思います。
自分の中学受験時を思い出してみると、同じ問題集を繰り返し見ていました。
パラパラとページをめくり、ちょっと解法をイメージするだけでしたが、問題集がボロボロになるころにはかなり力がついていました。
現在、生徒を指導する上で特に気をつけているのが、復習をどうするかについてです。
記憶の定着を確かなものにするためには、1回やるだけではなく、何回か繰り返す必要があるのですが、そのタイミングが難しいです。また、何をやるのかも大きな問題です。
タイミングについては、脳科学の本を読んだり自分を実験台にしたりして、色々と研究しました。
最善かどうかはわかりませんが、効果的なタイミングはわかってきました。
3回復習するならば、1回目は1~3週間後、2回目はそれから1ヵ月以内、3回目はそれから2ヵ月以内というのが目安です。
また、3回より4~5回やった方が特に運用の面で効果が出やすいということもわかってきました。
一番簡単確実な方法は、算数の全範囲を3週間で終えられるような教材を4~5回繰り返す、というものです。
これならば、ただ繰り返すだけで、ある程度の効果が見込まれるタイミングでやることができます。
また1日にやらなければいけない量の把握が容易であり、繰り返すほどスピードがついてくるため、途中で挫折することが少ないです。
次に、何をやるかということですが、これは人それぞれとしか言いようがありません。
ひとつ確実に言えるのは繰り返しに適したものとそうでないものがあるということです。
繰り返しに適していない教材を復習しても、勉強時間に対する見返りが小さくなってしまうので、注意が必要です。
繰り返しに適した教材は、難易度としては6~7割程度正解できるレベルで、効果的なタイミングで繰り返すことができる量のものです。
ほとんどの生徒さんが「 基本的な問題を厳選したもの 」になるでしょう。
これを1日あたり、丸つけも含めて30~40分かけて、3週間で一巡させるわけです。
必然的に問題文がシンプルなものが良いことになります。
「 今週の1題 」も夏休み期間はそれに合わせて問題文をシンプルにしてあります。
参考にしてください。
以上をまとめると、復習用の教材は問題文がシンプルで、3分の2ほど正解できる難易度のものを選びます。
それを1日30~40分かけて解いて( 夏休みはここの時間を増やすことが可能です )、丸つけをして、もしわからないものがあれば解説をよんで理解します。
3週間程度で全部を終わらせ、それを4~5回繰り返します。
これを一つのサイクルとして、何段階かのレベルの教材をこなすことができれば、言うことはありません。
個人的には応用問題はその場で考えることに価値があるので、復習は特にしなくても良いと思っています。
やるとしたら、問題を見て解法のイメージを膨らませるくらいで良いのではないでしょうか。
応用問題を何回も解くことは、種明かし後の手品のような空しさを感じてしまいます。
初見で正解できるような「 集中力 」を身に着けてもらえればと思います。
夏休みにやることは「 基本的な問題の復習 」、これで決まりです。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の復習3題周回運動・動く歩道・通過算
難易度★★☆☆☆
❶ ある池のまわりのS地点をAとBの二人が反対向きに同時にスタートしました。
Aは分速120mで進みましたが、ちょうど5周したときS地点でBと出会いました。
AのほうがBより速いときBの分速は何mですか。すべて求めてください。
❷ 父が2歩で進む距離を子は3歩で進み、父が3歩進む間に子は2歩進みます。
A地点からB地点までの360mの動く歩道があります。
父と子が同時にA地点から動く歩道の上を歩くと、父はB地点で1分12秒待ちます。
また子が歩かなかったならば父のB地点での待ち時間は3分36秒になります。
動く歩道の分速を求めてください。
❸ ある列車が400mの鉄橋を渡り始めてから渡り終えるまで26秒かかり、940mのトンネルを通る時は速度を半分に落としたため完全に隠れている時間が82秒でした。
この列車の長さを求めてください。
解答が表示されます