VOL.57立体の切断

立体の切断


最近風が強い日が多いような気がします。
色々なものが飛ばされて、改めて自然の力を思い知らされました。
受験にも様々な風が吹くでしょうが、それが追い風であることを願っています。

Dさん先週は色々とアドバイスを頂きありがとうございました。娘は少し「立体図形」ができるようになったと喜んでいます。

金田アドバイスを素直に受け入れ、その通りやってみるということも、勉強ができるようになるための資質の一つです。
娘さんが自信を持てるようになったことを、私も嬉しく思います。

Dさんただ、「立体の切断」だけはどうしてもよくわからないらしく、基本問題すらもかなり間違えます。

金田確かに「立体切断」はレベルが高くて大変だと思います。
ただ、受験全体の中で、どれ位のウェートを占めるかというと、それほど大きくないかもしれません。
つまり、場合によってはあまり時間をかけてはいけないということです。
受験勉強は合格に必要な点数を確保することがメインテーマになるので、試験当日の点数につながらないことは、なるべくやりたくないのです。
極端な話、出題されないことをいくらやっても無駄に終わるだけです。
※ 実際はそんなことはほとんどなく、やったことは何らかの形で本人のプラスになります。
受験の合否だけということならば、上記のような考え方もあるでしょう。
そこで「立体切断」なのですが、学校によって「出る」「出ない」がはっきりしているテーマなのです。
もちろん、今まで全く出題が無くても来年突然出されることも考えられます。
そのあたりはあくまで確率の問題です。
受験校で過去10年ほど「立体切断」の出題がなく、本人も「立体切断」に苦手意識をもっているのならば、あまり時間をかけないほうが無難だと思います。
さらに言えば、「立体切断」の場合、難問も多く、下手に手を出すと失敗するケースも多々あります。
元々あまりやっていなければ、あっさり見送ることができるので、失敗のリスクが減るというメリットもあります。
また、そもそも皆できないので「差がつかない」可能性すらあります。
もしそうだとすると時間をかけた分だけ損という考え方もあるわけです。

ここまでを踏まえまとめると、以下のようになります。
① 「立体切断」は出る学校と出ない学校がある程度はっきりしているので、出ない学校を受けるのであれば、あまり時間をかけてはいけない。
② 「立体切断」が苦手な場合、多少やってもできるようになるとは限らないので、中途半端にやる位なら基本レベルだけやっておく方が良い。
③ 「立体切断」が頻出でその出来が合否に直結する学校を受験する場合、徹底的にやる。

Dさんの娘さんは①~③のどのケースに該当しますか。

Dさん②なのか③なのかはよくわかりませんが、第一志望の学校では毎年のように「立体切
断」の問題は出ています。

金田そうすると③と考えたほうが良いかもしれませんね。
ただし、一旦やると決めたら必ずできるようになるという強い気持ちは必要だと思います。
何事も中途半端はいけません。

Dさん娘の性格からして頑張ってくれるとは思います。

金田それは頼もしいです。
では「立体切断」の考え方のコツを少しお話しましょうか。

Dさんはい、よろしくお願いします。

金田「立体切断」といっても様々なものがあり、問われる内容も「切り口」「体積」「表面積」
等さまざまです。
ですから、「立体図形」の総合力を見るのに適しているので、毎年のように出題する学校もあるのでしょう。

まず最初の難所である「切り口」からお話します。
「切り口の形」は覚えるものという意識でいると基本的な問題には対応できても応用問題はまずできません。
最初のとっかかりとして覚えるのは良いのですが、全てのパターンを丸暗記することはまず無理です。
やはり「理解」することと、「作図」できることが必要になってきます。
ただしこの「理解」がなかなか難しいです。
教える側にも問題があるのかもしれませんが、習っていないことの理解を強いる可能性があるからです。
中学の数学で「面と面の位置関係」を習います。
「交わる」か「交わらない」かのどちらかなのですが、「交わる」場合の「交線」というものが理解できていないと、「立体切断」の本質的な理解が厳しいと思います。
そして、立方体を例にとると、立方体の6個の面それぞれと切断面の交線が、「切り口の多角形」の辺を構成しているわけです。
そこが理解できると切り口に正五角形・七角形がないことも容易にわかると思います。
また、最近よく見かける「複数の面で切断する」ケースも「面と面の交線」に着目する必要があります。
私はこのあたりの事情を理解するには実物を手にとるのが一番だと思っています。
折り紙や模型を用意して授業の中に取り入れています。
「面と面の交線」は紙が2枚(あるいは4枚)あれば目で見ることができるので、機会があればやってみてください。

続いて「体積」です。
無いものを付け足して(あるいは分割して)「三角すい」をつくるのが基本になります。
その際「体積比」を利用できると計算ミスの可能性を軽減できるのでおすすめになります。
「体積比」を利用する前提として「相似」を見抜く必要がありますが、立方体の斜め切断の場合、付け足して三角すいを作るケースはほぼ相似になるので安心して体積比を利用しましょう。
応用問題では「柱体の斜め切断」を使う場合がありますが、これは公式があるので逃したくないですね。
使える場面が多いので、ぜひマスターしてください。

最後に「表面積」についてです。
小学生の場合、「平方根」を扱えないので、求められない数値の設定になってしまうと問題として出せなくなってしまいます。
逆に言えば、「答」がでるわけなので、斜めになっている面の面積の処理が容易になる要素が何かしらあると考えられます。
そのあたりを上手く工夫できれば、意外と楽に計算できるかもしれません。
このような考え方は以前お話した「大人の発想」ですね。

Dさんいろいろとやることがあって大変ですが、むしろやることがはっきりしてファイトが沸いてきました。
娘もきっと同じ気持ちだと思います。
娘が最後までやり切れるよう応援していきたいと思います。

<ポイント>

  • 「切り口の辺」は「面と面の交線」。
  • 「体積」は付け足して「すい体」を作り、それをもとに計算する。
    その際「体積比」を使えると良い。
  • 「表面積」は工夫によりあっさり解ける可能性もあるので、まずはそこから考えてみる。

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今週の1題立体の切断

「表面積」はVol.6、「立体の切断」はVol.28Vol.39にもあります。

難易度★★★☆☆

〈図1〉は、1辺が12cmの立方体5個をつないで作った立体です。

3点A、B、Cを通る底面でこの立体を切断し、2つの立体を作るとき、以下の問に答えてください。

(1)2つの立体の体積の差は何cmですか。

(2)2つの立体の表面積の差は何cmですか。

クリックすると
解答が表示されます
<解答> (1)1704cm  (2)126cm
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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