VOL.3231問全力解析 2024年度 雙葉中学校
今回の1問全力解析は2024年雙葉3です。
まずは問題を見てください。
基本テーマ
①問題文の読み取り
②流水算の基本
③比の利用
④どのタイミングなのか
⑤相対速度
この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。ひとつずつ見ていきます。
①問題文の読み取り
読み取りで、どちらともとれる表現が2ヶ所はあるでしょうか。
ただ、自然に解釈すれば良いので、心配はいりません。
往復で2時間かかったと解釈するのが自然で、下りだけで2時間かかったと取ってしまったとしたら、痛いことになります。
もしかしたら、敢えてそのような表現にし、受験生を試しているのかもしれませんね。
②流水算の基本
流水算は流れの影響で上りと下りの速度が異なります。
それがどのような結果を生むかを聞いているので、逆にそこさえ解明すれば良いわけです。
本問の場合、静水時の速さと流速の比が与えられているので、比較的手がつけやすかったのではないでしょうか。
③比の利用
本校の問題の特徴の一つに「比較的大きな素数の倍数が使われている」があります。
そのような数に対してまともに計算をすると面倒なことになるかもしれません。
例えば掛け算をしてから割り算をするだけで、損をしている可能性があります。
計算のコツは「割り算は極力避ける→逆数の掛け算にする」「旅人算ではなく比を使って解く」といったものが考えられます。
本問もまずは比を使いたいですね。
④どのタイミングなのか
「出会い」の定義によってタイミングが2つ考えられるのが悩ましいところでしょうか。
普通「出会い」とは何の注釈もなければ正面同士ですれ違う時を言うわけですが…
本問の場合、船は往復して終わりなので、上の解釈の「出会い」に2回目はありません。
ですから「出会い」を「同じ地点にいる」と読むべきです。
⑤相対速度
解く上で便利なのが「相対速度」です。
特に本問のようなケースは頭に入れておいた者勝ちです。
流されている物との出会い+追いつきは『出会ってから対岸まで行く時間と、折り返してから追いつくまでの時間は等しい』が結論です。
これがわかっていれば本問はあっさり完答することができたでしょう。
※理由
弟を基準に兄をみれば、折り返すまでは静水時の速さで遠ざかり、折り返してからも静水時の速さで近付きます。
当然かかる時間は同じですね。
以上を踏まえて問題を解いてみます。
〈解説〉
(1)まずは速さの比の表を完成させます。
速さの比 | |
静水 | 10 |
流れ | 3 |
上り | 10-3=7 |
下り | 10+3=13 |
かかる時間は速さの逆比なので上り:下り=13:7
よって求める答は
2× 13 13+7 =1.3(時間)=1(時間)18(分)
(2)流速は下りの速さの 3 13 倍なので
5733÷(60-18)× 3 13 =31.5(m/分)・・・(答)
※5773=3×3×7×7×13
(3)兄が出発してから最初に出会うまでの時間と出会ってからB地点に行くまでの時間の比は7:3です。また、『出会ってから対岸まで行く時間と、折り返してから追いつくまでの時間は等しい』ので、兄がB地点に着いてから弟に追いつくまでにかかる時間は
1.3× 3 7+3 =0.39(時間)=23.4(分)=23(分)24(秒)
よって求める答は
1時間18分+23分24秒=1時間41分24秒・・・(答)
いかがでしたでしょうか。
算数の本質的な難しさ以上に点数が取りにくかったかもしれません。
難所は2つあり
・問題文の読み取り
・数値の煩雑さだったと思います。また、それが本校の特徴とも言えましょう。
それと、相対速度から導かれる結論を使えたかどうかでも差がついたことでしょう。
精進あるのみです!
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