VOL.3151問全力解析 2024年度 開成中学校
今回の1問全力解析は2024年開成2です。
まずは問題を見てください。
本校の【場合の数】の出題は近年同じようなテイストになっています。2020年3、2022年3、2023年5(1問全力解析で取り挙げ済みVOL.273)、そして本年2と毎度お馴染みになっていますね。
基本テーマから見ていきましょう。
基本テーマ
①問題文の読み取り
②まずはやってみる
③樹形図を使って書き出す
④アトから入れられる場所が何通りあるか
⑤誘導に乗る
この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。ひとつずつ見ていきます。
①問題文の読み取り
2ページに渡る長文ですが、言っていることはそんなに難しくありません。ここでは自分なりに納得することが大切でしょう。試験本番では長文だからといって焦らず、まずは落ち着くことです。
②まずはやってみる
最初は素直な気持ちで取り組みましょう。実際に机の上にカードを並べているようなつもりになれればこの問題の世界に入り込むことができます。
ただやってみるだけでなく、「4が机の上に置かれたらその後の5や6は箱の中」→「机の上は左の数が右の数より大きいような並び方」といった具合にある程度の結論まで到達できるように頑張りましょう。
③樹形図を使って書き出す
途中、「全て書き出しなさい」という設問があるのですが、このときの書き出しで便利なのが樹形図です。少しですが書く量を減らせるのと抜けやダブりが生じにくいというメリットがあるので、場合の数での書き出しの基本になっています。
本問の場合樹形図の形が解法の手掛かりになったかもしれません。
④アトから入れられる場所が何通りあるか
本問は(3)を解くのが主眼なので、そこに向かって少しずつ前進していくような作りになっています。
⑤でも取り上げますが、結局前の結果を利用するといういつものやり方がここでも得策となります。
その際、1枚カードが増えても(例えば4枚から5枚)結果が変わらない場合、増えたカードを既に並べてあるカードのすき間に入れる(先頭以外)ことを考えれば簡単に計算できます。
⑤誘導に乗る
(2)までを解いていくと、9枚で《75421》になるためには、それぞれの枚数の結果に制約があることがわかります。
2枚の結果が《21》から1枚ずつ増やしていけば9枚も恐れることはないでしょう。
その際、表を利用すると見やすくなると思います。
以上を踏まえて問題を解いてみましょう。
(1)1枚目のカードは必ず机です。以下机か箱か1つずつ調べます。
7→机
4→机
6→箱
3→机
1→机
2→箱
5→箱
以上より机に置かれたカードを順番に書くと
《7431》…(答)
(2)
(ア)樹形図で書き出します。
【213】,【231】…(答)
(イ)こちらも樹形図です。
【2134】、【2143】、【2314】、【2341】、【2413】、【2431】…(答)
(ウ)①4枚で《21》になるのは(イ)から6通りとわかります。
5枚で《21》は、すでに4枚で《21》になる並びの間に5を入れれば良いことになります。ただし、5が先頭にくると《521》になってしまうので、4枚の右側4カ所のうちのどこか5を入れるのが何通りあるかということになります。
6×4=24(通り)…(答)
②上で検討したように先頭に5がくるケースですから
(答)6通り
(エ)すぐ上の②で求めた5枚の並びの右横に6を入れればよいので
6×5=30(通り)…(答)
(3)上の(ウ)(エ)でやったようなことを表にまとめます。
※ 表を横に見た時、『1つ右はその数と一番上の数字をかけたものになっている』。
縦に見た時、『1つ上はその数と1つ左の一番上の数字をかけたものになっている』。
表より
(答)560通り
いかがでしたでしょうか。
本問の場合は1つ前の結果に対して次のカードを間に入れるという発想でうまくいきました。その際、結果として考えられるのは2通りだけで、そのうちのひとつは入れ方が1通りしかないというのがポイントでした。
以上のようなことに気付けば、完答も可能だったでしょう。
誘導を無視した場合は(3)の正解はほぼノーチャンスだったと思います。
今年も本校の「正解してね」という温かさに触れることができ、とても嬉しく思います。
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