VOL.306中学入試 直前期の発展学習

受験お役立ち情報素因数分解

まずは学習の過程の分類からです。
①単元別学習
②総合学習
③発展学習
④過去問演習

前回触れたように今回は③について書きます。
ここでの③の発展学習は、パターンでは解けない、深さがあるような問題に取り組むこととします。

①では繰り返し学習することによって素早く対応できるようにすることが大切でした。
②は検索の精度を上げることや、ちょっとした工夫により①で学んだことを生かせるようにすることが肝心でした。
どちらにせよ反応を良くしてなるべく短時間で解決したいことには変わりありません。

ところが③は「途中をすっ飛ばしてなるべく早く結論に到達したい」という姿勢だとまずいのです。
じっくり考える必要があるわけです。
①②とはアプローチを変える必要があると考えられます。
その意味でなかなか厄介ですね。

発展学習の重要度が高い学校・低い学校があるので、できれば指導者の元、どれ位の割合で発展学習を行うのかを決定するのが無難だと思います。
一般的には難関校になればなるほど、発展学習の重要度が増す傾向にあると思います。
過去問を例にし、どのような考え方が良いかを考えてみましょう。

麻布中2011年1を題材にします。まずは問題を見てください。

(1)1が12桁並んでいますから、1が「12の約数桁」並んでいれば割り切れますがそうでなければ割り切れません。

12の約数は{1,2,3.4.6.12}です。よって

(答)

(2)〇のついたもの(2桁~6桁)で割ってみます。※以下下線があるものが答となります。

111111111111÷11=10101010101
111111111111÷111=1001001001
111111111111÷1111=100010001
111111111111÷111111=1000001

これで4つは見つかりました。
当たり前ですが約数の約数は元の数の約数です。
ですから10101010101と1001001001に着目します。
10101010101は数字の並びから10110101で割り切れることは明白です。
また1001001001も1001で割り切れることが明白です。

これで7つ見つけることができました。
もう少し探してみましょう。
こちらも同じように割ってみます。
10101010101÷101=100010001
この結果は
111111111111=11×101×100010001…(あ)
ということですから、
100010001×11=1100110011

同様に
10101010101÷10101=1000001
111111111111=11×10101×1000001
1000001×11=11000011
さらに
1001001001÷1001=1000001
111111111111=111×1001×1000001…(い)
1000001×111=111000111

結局10個見つけることができました。実際は7個見つけたところで終わりにすれば良いです。

この問題は2011年と少し昔に出題されました。
ありそうでなかった問題だったと思います。
これが1番だったので多くの受験生は面食らったことでしょう。
(2)の完答が厳しかったと思います。

正直、麻布中の恐ろしさを思い知ることとなりました。
精神力を日頃から鍛えておく必要があることを痛感しました。
意表を突かれても冷静に対処できるような力が大切だったと思います。

もちろん、自分で考える力や、まずはやってみるという決断力も必要でした。
練習の素材として1級品と言えるでしょう。
発展学習の素材としてふさわしいと思います。

この問題を題材とする場合、まずはノーヒントで解いてもらうことになるでしょう。
中には上の解説のような手順ですんなり答を出す受験生もいるでしょうが、思考停止状態になってしまうケースも考えられます。
その場合はヒントを出すのが良いでしょう。

(1)はほぼ全員が正解しているはずなので、それを活かすように促せば手が動いてくるはずです。

そうやって手を動かしていれば7個中4個は求められたはずです。
この手を動かすということが大切で、様々な効果が期待できます。
(手を動かすことの効果は別の機会に書きたいと思います。)
今回は、割り算をすれば、それがほぼ答だった訳です。

問題は「約数の約数は元の数の約数」という当たり前のことが使えたかどうかでしょう。
日頃からいかに手を動かしていたかで差がついたと思います。
この問題を解いて完答できた受験生は、学習の方向性が良いと判断できるでしょう。

さて、発展学習としてはこの素材を使ってもう少し学んでおきたいところです。
基礎知識として知っておいて欲しいのは以下の2つです。
・3×37=111
・7×11×13=1001
これを念頭に置きながら111111111111を素因数分解してみましょう。
上の(い)の式が
111111111111=111×1001×1000001
なので、1000001の素因数分解ができれば良いことになります。
ここで(あ)の式をみると101が約数にあります。
101と111,1001は互いに素なので、1000001の約数に101があることがわかります。
1000001÷101=9901
9901は素数なので(確かめるには2から97までの素数全てで割り切れないことを確認する必要があります)
111111111111=3×7×11×13×37×101×9901
と素因数分解することができました。
さらに、解説で求めた10個以外に解はあるのかという問題もあります。

これは1と0だけで作れる3桁から11桁までの数を調べていくのが良いと思います。
直感的に対称性がある形と分かれば後は計算するだけです。
101×1001=101101
なので、6桁で見つけることができました。
3,4,5,6,7,8、11(桁)に1個ずつ、9,10(桁)に2個ずつあったことになります。
余裕があれば調べてみてください。

ここまでやれば、模範的な発展学習と言えるでしょう。
書いて調べて考えるというチャレンジが、発展学習では大切だと思います。
その上で知識の充実がはかれれば内容の濃い学習となることでしょう。

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今週の1題素因数分解

難易度★★☆☆☆

(1)363×363を計算してください。

(2)131753を素因数分解してください。

クリックすると
解答が表示されます
<答>(1)131769 (2)131753=359×367
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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