VOL.298なぜ、秋以降 成績不振になるのか?

受験お役立ち情報相当算

夏休みが終わり、模試も始まりました。
皆さん、成績はどうでしたか。

成績はあくまで集団の中の位置を示すものなので、あまり気にする必要はありません。
また、自分の目標に対する到達度を見るとすると、単なる「点数」や「偏差値」はあまり意味がないかもしれません。

もちろん、点数が満点、あるいは偏差値が75なら到達度も満点と言えるかもしれませんが…
結局模試の結果の評価も個々により事情が異なるので、「点数」や「偏差値」という「数字」だけでは単純すぎると見て良いでしょう。

私が一人一人評価できればそれに越したことはないのですが、そうもいかないので、今回は大切なことに絞りたいと思います。
ズバリ、模試の結果が不本意だったとして、その場合の考え方を書きます。

一定数の受験生が秋以降の模試で不本意な成績となっています。
以下に考えられる原因を挙げます。

①頑張ったのは自分だけではない

②夏にあれだけやったのだから成績は上がって当然⇒実際はそれほどでもなかった

③特に力を入れて頑張った分野と模試で出題された分野のズレ

④消化不良

⑤オーバーワークによる不調

順に解説します。

①頑張ったのは自分だけではない
成績(順位・偏差値)が相対評価なので、自分ができるようになったとしても、まわりがそれ以上にできるようになれば成績は下がります。
特に偏差値が50を切るような受験生の場合、置いてきぼりをくらう可能性が高いように感じます。

受験は最終的には同じ学校を受けた他の受験生との争いなのですが、その過程では他人を意識しないほうが得策だと思います。
理由はいくつかあります。
・実際に受験するまで誰が競争相手か確定しない
・勉強の基本は自立すること⇒他人を気にする余裕はない
少なくとも「基本」が固まるまでは他人を意識するよりもまず「自分」です。
ここでの考え方は「自分が頑張れたのならそれだけで良かった」ということです。

②夏にあれだけやったのだから成績は上がって当然⇒実際はそれほどでもなかった
算数は特にそうなのですが、頑張った成果が実際に現れるまでに時間がかかることがあるのです。
むしろすぐに成果が出る事のほうがレアケースと言えましょう。
指導の経験から言うと、夏休みの頑張りの成果は9月に現れるのは稀で、10月・11月あたりというのが相場だと思います。

ですから、充実した夏休みが送れたのなら、成果が出るのはまだ先とじっくり構えていれば良いのです。
まずいのが成績が悪いことを必要以上に悲観してしまうことです。
さらにまずいのは成績について親御さんが叱ってしまうこと。
これをやってしまうと、順調にいけば1、2ヶ月後に花開くはずの芽を摘んでしまうことにもなりかねません。
ここでの考え方は「花が開くのはもう少し先」ということです。

③特に力を入れて頑張った分野と模試で出題された分野のズレ
塾で習ったことをキッチリと復習する受験生に多く見られる結果です。
細かくきちんとやろうとするとそれなりに時間を取られるので、全体のバランスが悪化することが多いです。

その状態で、やったこととは異なる分野が出題されたら、当然成績は振るわないでしょう。
あとの祭りということなのですが、やってしまったものは仕方ありません。
この失敗を今後に活かすことを考えてください。
ここでの考え方は「勉強はバランスが大切・残りの期間はそれを念頭に置く」ということです。

④消化不良
後ろ2つは深刻です。
消化不良は頑張った中ではほぼ最悪のケースです。
頑張りの方向が誤っていた訳ですね。
ただ、今の段階で誤りに気付くことができれば十分に挽回するチャンスはあると思います。
算数は積み重ねが大切なので、土台からしっかり積み上げていくことが必要なのはどこまで行っても変わりません。
当然焦りはあるでしょうが「急がば回れ」なのです。

諦めなければ希望があります。
我々がお手伝いできれば、とても間に合いそうもないポジションからの巻き返しも可能になるかもしれません。
ここでの考え方は「消化不良は厳禁・しっかりと噛んで基本から構築」ということです。

⑤オーバーワークによる不調
合格可能性の高かった受験生が思わぬ失敗をしてしまうケースで一番多いのがここです。
特に「秋口に体調を崩し2、3ヶ月不調が続く」といったケースがたまにあるのですが、その後苦戦することが多いように思います。
夏に頑張りすぎて体調を崩した場合は、完全に回復するまで思い切って休養を取る決断が必要になることでしょう。

※塾を休んで遅れをとることに不安を覚えるかもしれませんが、体調が回復しないマイナスの方が大きいでしょう。
どうしても気になるというのなら、我々がお手伝いすることも可能です。

「体」の不調は大抵の場合休めば回復するのですが、「心」の不調が最も厄介かもしれません。
これは「モチベーション」とも言い換えることができます。

成績不振によるモチベーションの低下なら今まで書いてきた考え方で克服できるでしょう。
その際、周囲のプラスの声掛けが大切になります。
例えば
「夏休みにあれだけ頑張ったんだから、これから成績が伸びるよ」
「今回はたまたま点数が取れなかっただけだから気にしなくても大丈夫」
といった、やる気が出るような声掛けをしてあげてください。

諦めなければ可能性はあります。
最後まで前向きに取り組めるようにモチベーションを保てるようにしましょう。
秋以降受験本番まで、モチベーションだけは死守してください。
※モチベーションについてはVOL.253に書いたので参考にしてください。

ここでの考え方は「時には思い切って休むことも必要・気持ちは切らさず前向きにいこう」ということです。

以上、成績が不本意だった時の考え方を書きました。
ほとんど同じことをVOL.122にも書いていましたが、非常に大切なことなので、今回改めて書きました。

大切なのは「穏やかな心」と目標に向けての「モチベーションの維持」です。
勉強に一心不乱に打ち込める環境を整備してあげるということですね。
今後は、親御さんの役割が特に重要になってくるかと思います。

その際、「黒子に徹する」という意識を持っていただけると、受験が上手くいく確率が上がります。

よろしくお願いいたします。

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今週の1題相当算

難易度★★☆☆☆

ある数のみかんを何人かで分けることにしました。
最初の人はまず1個取り、残ったみかんの1%を取りました。
2番目の人は2個取った後、残りの1%を取りました。
3番目の人は3個取った後、残りの1%を取りました。

N番目の人はN個取った後、残りの1%を取りました。

このようにしてみかんを分けたところ、みかんが余る事なく、全員同じ数ずつ分けることができました。

(1)最後から2番目の人が取った後に残ったみかんは、異なる素数2つをかけ合わせた数の倍数になります。
その2つの素数を求めてください。

(2)みかんの個数を求めて下さい。

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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