VOL.297不正解から分析する最近の小学生事情

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先日、ある知事が全国学力テストの結果について、国を批判したというような記事を読みました。
正答率が低かったことから、県教育委員会に対応を要請したともありました。

どんな問題だったのかと、もう少し記事を読んだところ、問題が出ていました。
小学6年向けで正答率全国55.5%(その県48.7%)だったのが以下になります。

〈問題〉
「椅子4脚の重さは7キロ。この椅子48脚の重さは何キロですか」

中学受験をする予定の生徒さんは当然正解だったとは思うのですが…

まずは不正解となった原因についての一般論から書きます。
原因は以下の二つが考えられます。
①わからなかった
②間違えた

①は
ⅰ)問題文の読み取り
ⅱ)解法
ⅲ)計算法
に分類できるでしょうか。

②は①のⅰ)~ⅲ)に加え、
ⅳ)うっかり・不明
があるでしょうか。
数字が7だったのが4に変わっってしまったようなケースです。

①のⅰ)~ⅲ)、②のⅰ)~ⅳ)を上の問題を例に説明したいと思います。

ⅰ)この問題の意味がわからないというのは困った状態なのですが、ありえなくも無いでしょう。
「脚」が何だかわからなかったのかもしれません。
算数的にわからなかったとすれば、「4脚の重さは7キロ」のところぐらいでしょうか。
これが「1脚の重さは1.75キロ」ならわかったのかどうか。
これもわからないのであれば、日本語の問題かもしれません。

ⅱ)この問題の解法は「割合・比」の問題を解くときの解法と考えてもらって良いと思います。
「④=7のとき㊽はいくつ?」という問題と同じなので、①を求めて48倍するか、分数の掛け算で解くかになると思います。
実際は後者一択なのは後述します。

この解法は基本中の基本なので、中学受験レベルではわからないというわけにはいきませんね。

ⅲ)計算の仕方がわからないというのは、中学受験レベルではありえません。
7÷4
1.75×48
  7  4  ×48
この中のどれかがわからないということですから、「割り算ができない」とか「九九がよくわからない」、あるいは「3桁×2桁の筆算の仕方がわからない」といったレベルでしょう。
そして、不正解だったおよそ半数の人たちのいくらかはここだったのかと思います。
そして知事が国に救済を求めていましたが、ここで引っかかっている人たちを引き上げてあげる必要は、確かにあると感じました。


ⅰ)問題文の意味を取り違えたとしたら、「1脚の重さは4キロ」と間違えた可能性が高いですね。
なぜか目が見えないかのような現象が起きることがあるのが試験です。
平常心を保ち、ゆっくりと見れば間違えることは無いので、日ごろからそういった練習をするようにしましょう。

ⅱ)解法での間違いはイメージできませんでした。
単純な設問なので、違う解法を間違えて使うような余地はほとんどなかったと思います。

ⅲ)計算間違いはかなりあったと思います。
難所は2つあります。
a)7÷4
b)1.75×48

a)を1.65とやって「1ずれで惜しい」とか言ってる人が一定数いると思いますが、惜しくありません。
整数を4で割った小数点以下は「0、0.25、0.5、0.75」の4種類しかありません。
このような「数感」が欠如したような答を出してもへっちゃらな状態は問題がありますので、改善を急いでください。

b)はやれば一定数の不正解が出るのが普通だと思います。
3桁×2桁の筆算はそこそこの計算量となります。
具体的には九九(掛け算)6回、足し算3~6回(カウントの仕方で異なる)、少数点の位置の調整1回が必要です。
その全てを正確にこなしてやっと正解ですから、本当は大変なんです。
正答率が意外と低かった最大の原因は、ここだった可能性もあると思います。

ただし、上2つの計算は回避できたというか、中学受験を目指すのであればやってはいけなかったというのが私の見解です。
やはり計算の鉄則を守ってもらい、しっかりと正解してもらいたかったですね。
計算の鉄則は「必要のない計算はしない」というものです。
それを実現するためのテクニックとして
・計算式はできるだけまとめる
・割り算は逆数の掛け算の形にする
があります。そうすると今回の問題は

7×  1  4  ×48=7×12=84
となり、計算ミスの可能性はほぼなくなります。

ⅳ)せっかく計算を終え「84」と出たのに解答欄に「48」と書いてしまえば不正解です。
このような勿体ない失点が後を絶たないのも事実です。
やはり「心の安定」や「集中力」が大切であり、適切なタイミングでの「確かめ」を入れることによって正解率を十分に上げられるよう、自分のスタイルを作って欲しいと思います。

今回は知事の苦言から、全国テストの問題を通し「間違いの原因」について考えてみました。
全部読んでもらえば正答率55.5%も納得していただけたと思います。
知事はどう思ってらっしゃるかわかりませんが、「今の小学生は難しいことをやってますよ」と言いたいです。
大人に同じ問題を出したら何%正解するか、興味深いですね。

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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