VOL.295理科の時事問題 エルニーニョ

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算数と違い理科は「時事問題」が出題される可能性があります。

問題作成のタイミングを考えると今夏に起きたことが出題されることが大いに考えられるので、アンテナを張っておく必要がある(本人よりも指導者?)でしょう。

今年も色々なことが起きましたが、今回は「エルニーニョ現象」を取り上げたいと思います。

気象庁が今年の6月の時点で

・エルニーニョ現象が発生しているとみられる。
・今後、秋にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90 %)。

と発表されました。

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が 1 年程度続く現象のことです。

逆に海面水温が低くなるのはラニーニャ現象と呼ばれています。
今年のエルニーニョ現象は1997年に発生した過去最大のエルニーニョに迫るほどの規模になると予想されており、スーパーエルニーニョの到来ともいわれているようです。
エルニーニョ現象やラニー ニャ現象は、日本を含め世界中の異常な天候の要因となり得ると考えられています。

そして、8月の気象庁の発表は以下になりました。
・春からエルニーニョ現象が続いている。
・今後、冬にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90%)。
ということで、エルニーニョ確定となりました。

エルニーニョを理解するためのキーは2つあります。
・海水の対流
・大気の循環
簡単に言えば、上の2つが滞った状態がエルニーニョ(逆がラニーニャ)です。

上の2つは両方ともかなりスケールが大きいので、立体的に捉えなければいけないでしょう。
海水も深層部と海面上では水の流れは異なります。
大気でも同様です。

立体図形でも、立体は平面的に捉えることを推奨していますが、ここでも上からと横からの2方向から見る姿勢が求められるでしょう。

大気で言えば横から見れば「ハドレー循環」、上から見れば「貿易風」ということになります。
「ハドレー循環」+「コリオリの力」で「貿易風」ということになるのですが、このあたりの詳しいことは理科でしっかり学んでください。

大切なのは赤道域の海面付近では基本的には東から西の風が吹くということです。

また、北太平洋の海面付近の対流は、大きく見れば時計回りです。
シベリア方面の冷水が段々と温められながら南米沿岸を通り赤道域では東から西に流れるのが普通だということです。

また、最深層部では1000年~2000年かけて循環しているようですが、エルニーニョを理解する上では、深海から冷たい水が湧き上がってくることを知っておいてください 。

実は海水の対流についてはよくわかっていないことも多いらしいです。
人間にはまだ難しいのかもしれません。

そして、この海水の流れに大きな影響を与えているのが「風」です。
「風」が強ければ流れも速くなるのは何となくわかると思います。
2つは関係し合っているのですね。
ここまでくればエルニーニョが起こる仕組みが理解できると思います。

通常時、赤道付近の強い日差しによって暖められたペルー沖の海水は、貿易風によって東から西に押しやられ、それを補う形で冷たい水が流れ込んできます。
こうして、西太平洋の赤道付近には暖かい海水が存在します。
この暖かい海水のために大気に水蒸気がたくさん供給され、西太平洋では積乱雲、さらには熱帯低気圧(台風)が発生しやすい状態になっています。
この低気圧がさらに貿易風を強めてもいるわけです。

ところが、何らかのきっかけでこの東風(貿易風)が弱まることがあります。
すると、通常時は西太平洋に吹き寄せられていた暖水が東に移動し、これに伴い、積乱雲や熱帯低気圧が発生する場所も東に移動します。

これが、さらに貿易風を弱めることになるわけです。
このとき、ペルー沖の海水温は冷たい海水が流れ込む力が弱くなっているので、通常時と比較すると上がっていることになります。

因みに何らかのきっかけで東風(貿易風)が強まると、ペルー沖では通常時よりも冷たい海水が流れ込みやすくなるので海水温が下がります。
また暖水は通常時よりもさらに西太平洋に吹き寄せられ、そこでは積乱雲や熱帯低気圧がより発生しやすくなります。
これがラニーニャですね。

このように、東風(貿易風)の強さと、太平洋赤道海域の西と東の海面水温の差の大きさは、互いに強めあう・弱めあうという関係があることがわかったと思います。

同じようなことは南太平洋でも起きており、南方振動と呼ばれています。
南方振動は、貿易風の強弱に関わることから、エルニ−ニョ/ラニーニャ現象と連動して変動します。
このため、南方振動とエルニーニョ/ラニーニャ現象を大気と海洋の一連の変動として見るとき、エルニ−ニョ・南方振動(ENSO:エンソ)という言葉がよく使われています。

エルニーニョ(エンソ)の本質は、大気と海洋の相互作用と言えるでしょう。

今回のエルニーニョについてのお話はここまでにしたいと思います。

ここまで理解できていれば入試対策としてはいい線いってると思いますよ。

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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