VOL.2911問全力解析 2023灘中学校
今回の1問全力解析は2023年灘1日目5です。
まずは問題を見てください。
基本テーマ
①組み合わせ
②積の法則
③2つに1つ
④2個と2個と2個に分ける
⑤1つだけ決める
この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。
ひとつずつ見ていきます。
①組み合わせ
殆どの受験生が「組み合わせ」の公式を使いたいと考えたことでしょう。
2個ずつのグループA、B、Cに分けるというのは「順列」ではなく「組み合わせ」です。
「順列」か「組み合わせ」かの判断は具体的に考えれば良いでしょう。
Aに1と2を選んだとして、(1,2)と(2,1)を区別する必要があれば「順列」、なければ「組み合わせ」です。
本問の場合は後者の「組み合わせ」です。
②積の法則
「和の法則」と「積の法則」の使いどころを間違える受験生がいますが、絶対に間違
えてはいけません。
場合分けしたときは最後にまとめて「和の法則」、樹形図のようにおのおのにつき何
通りというような場合は「積の法則」というようにイメージしておけば大丈夫でしょ
う。
本問の場合はまずAを決め、そのおのおのにつきBを決めれば全体が決まるので「積
の法則」を使うことになります。
③2つに1つ
よくある「余事象」を使う問題は、全体からダメなものを引くのですが本問の場合はどうでしょうか。
AとBは2つずつ数字が割り振られているのですが、特に制約がないので「平等」であることは明白です。
大きなもの同士を比べてAのほうが大きいのは2つに1つであることは特に調べることなく分かると思います。
本問の場合は「2つに1つ」という割合的な考え方で良いでしょう。
④2個と2個と2個に分ける
ここから有力な別解について考えてみます。
「2個と2個と2個に分ける」というのがあまり使われませんが有力だと思います。
上との違いはA、B、Cに割り振っていないということです。
ですから「組み合わせ」と
「積の法則」で「A2個、B2個、C2個に分ける組み合わせ」を求めたら、それを
「A、B、Cの並べ方」で割れば求められることになります。
(式) 6×5 2×1 × 4×3 2×1 ÷(3×2×1)=15(通り)
実は上手い別解があります。
主役を決めるというやり方で、今度は数字に着目します。
「1」が主役で、その相手の決め方が5通り、さらに残りの4数のうちのひとつが次の主役で、その相手の決め方が3通り、ここまで決めれば「2個と2個と2個に分ける」ことが完成します。
(式)5×3=15(通り)
⑤1つだけ決める
「2個と2個と2個に分ける」状態ができた後どうすればよいでしょうか。
Cは3つのうちのどれでも良いのですが、AとBは4数のうちの1番大きな数がある方がAと、必然的に決まります。
結局④で求めた数字に3を掛ければ良いことになります。
以上を踏まえて問題を解いてみましょう。
〈解説〉
「A2個、B2個、C2個に分ける組み合わせ」は
6×5 2×1 × 4×3 2×1 =90(通り)
このうち条件を満たすのは2つのうちの1つなので
90÷2=45(通り)…(答)
〈別解〉
「2個と2個と2個に分ける」分け方は
5×3=15(通り)
3つのうちの1つをCに決めればAとBは必然的に決まるので
15×3=45(通り)…(答)
いかがでしたでしょうか。
拍子抜けするぐらい易しかったと思います。
実際合格レベルの受験生はほぼ正解したことと思います。
ただ、「場合の数」ではこのレベルの問題を確実に正解できるようにすることが大切です。
ちょうど今の時期は特にそうで、そういった意味で今回は本問を取り上げました。
また、別解をとりあげましたが、この2つの違いがハッキリとわかるかどうかもチェックしてみてください。
よくわからなければ、基本からの理解の積み上げが必要でしょう。
場合の数は厄介な分野ですが、このようにスッキリと求めることができる問題はむしろ得点源としたいですね。
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