VOL.2851問全力解析 2023渋谷教育学園幕張中学校
今回の1問全力解析は2023年渋谷教育学園幕張4です。
まずは問題を見てください。
基本テーマ
①特別な二等辺三角形
②角度の認識
③面積の認識
④よくある応用問題
⑤どこまで記憶しておくべきなのか
この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。
ひとつずつ見ていきます。
①特別な二等辺三角形
中学受験における特別な二等辺三角形といえば以下が思い浮かびます。
(A)正三角形
(B)直角二等辺三角形
(C)30° 75° 75°の二等辺三角形
(D) √2 √5 √5 の二等辺三角形
本問は(C)の二等辺三角形がテーマになっています。
それぞれにつき、しっかりと理解を深めておく必要があります。
②角度の認識
まずは(C)の二等辺三角形の角度について、事前に知っておくべきことを挙げます。
〈図1〉
正方形ABCDの中に正三角形EBCがはめ込まれた様子です。
正方形と正三角形の性質、正方形と正三角形の1辺の長さが等しいことから図中の色々な角度を求めることができます。
〈図1〉中の角度が全部頭に入っていれば十分です。
③面積の認識
面積の認識は角度の認識よりも単純です。
正方形ABCD:二等辺三角形ABE=4:1
これだけしっかりと頭に入れておきましょう。
④よくある応用問題
〈図2〉
〈図2〉で∠FBC=30°,BC=BFです。
出題の仕方は色々あると思いますが、〈図2〉の四角形ACFEの面積は三角形ABEの面積と等しいというのが結論です。
本問の場合は五角形AEFCDの面積をきいていますが、それも三角形ABEの面積に等しいですね。
(A)正方形ABCDの面積を4とおけば
(B)直角二等辺三角形ABCの面積は2
(C)二等辺三角形ABEの面積は1
(D)四角形ACFEの面積は二等辺三角形3つから直角二等辺三角形を引いたものなので
1×3-2=1
(E)五角形AEFCDの面積は直角二等辺三角形から四角形ACFEを引いたものなので
2-1=1
⑤どこまで記憶しておくべきなのか
本問を何の予備知識もなく1から解こうとした場合、かなりのエネルギーが必要となったでしょう。
ある程度まで知識でカバーするのは入試に制限時間があることから仕方のないことだと思います。
上の③までは頭に入れておくのは当然でしょうが、④の(D)か(E)まで頭に入っていれば本問は点を取らせてくれる問題となったことでしょう。
特に(D)は頻出なので結論を知っておくことをおすすめします。
それに対して(E)は(D)から容易に導けるので、重要度は低いと思います。
単純な記憶の量はなるべく減らした方が良いです。
以上を踏まえて問題を解いてみましょう。
〈解説〉
(1)
①三角形ACDは二等辺三角形なので
(180-60÷2)÷2=75(度)…(答)
②1辺が4cmの正方形の面積の4分の1が2個なので
4×4÷4×2=8(cm2)…(答)
(2)
1辺が6cmの正方形の面積の4分の1に等しいので
6×6÷4=9(cm2)…(答)
いかがでしたでしょうか。
知っていれば即答に近かったと思います。
1から考えてきちんと正解した受験生は立派なのですが、結果に結びついたかどうかは疑問です。
本校の場合は本問のような「知っている」で片づけることが可能な問題が頻出なので、「知識の充実」をしっかりとおこない、そのうえで思考力を養う必要があると感じました。
スキのない対策が求められる学校ですね。
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