VOL.279１問全力解析　2023灘中学校

今回の１問全力解析は２０２３年灘２日目１です。
まずは問題を見てください。

この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。
ひとつずつ見ていきます。

①まずやってみる
（１）の一つ目の□は８１に対して操作を３回行えば良く、まずは１問正解です。
次いで二つ目の□ですが、操作を２０２３回行わなければいけないはずはないので、規則性が現れるという見込みの元、もう少し書き出します。
例えば１になれば
１→４→２→１→４…
の繰り返しです。
また３になれば
３→６→３→６…
どうやら計算で答が出そうです。

②後ろからたどる
（２）も典型題で、後ろからたどれば解決します。
本問は（３）が主眼の問題なので、（２）では（３）への足掛かりを作っておきたいところです。
しかし、ただ後ろからたどって答を出すだけでは（３）に繋げることは難しかったかもしれません。
そのあたりが悩ましいので、本問の（３）は差がついた可能性があります。

③解法の選択
２を２０２３回掛け合わせた数（以下「２の２０２３乗」と書きます）を計算して紙に書くことは不
可能ですから、何か別の方法を使うしかありません。
いろいろな解法が考えられそうですが、「規則性を利用して途中をすっ飛ばす」という方針は同じはずです。
今回は２つの解法を例として挙げますので、参考にしてください。
自分なりの解法を見つけるのも大いに結構です。

④指数法則の理解
中学の数学で、指数法則を学びます。
内容は当たり前のことなので、中学受験でも出題されることがあります。
指数法則はいくつかの式がありそれなりに悩ましい問題もありますが、本問で大切なのは以下になります。
・ａのｍ乗×ａのｎ乗＝ａの（ｍ＋ｎ）乗
これを駆使して、正解にたどり着くことが可能です。

⑤２進数で考える
本ブログのＶＯＬ．１３５の今週の１題でも解説しましたが、この手の問題は２進数で考えると規則性を見つけやすいです。
「偶数なら２で割る」は２進数なら「一の位の０を取り除く」ことですから、相性が良いのですね。
本校の受験生にとっては常識になっているかもしれません。
その場合は正解者の多くが２進数で考えた可能性があるでしょう。

以上を踏まえて問題を解いてみましょう。

〈解説〉
（１）操作をやってみます。
８１→８４→４２→２１…（答）
もう少し続けます。
８１→８４→４２→２１→２４→１２→６→３→６→３…
繰り返しが現れました。
６回目以降は奇数回目が３、偶数回目が６であることがわかります。
よって２０２３回目は３…（答）

（２）後ろからたどります。

ポイントは８までは必然でそこより前（４回前以降）は偶数は２通り、奇数は１通りあることです。

（答）７、２０、２６、２９、６４

（３）いよいよ本番です。
まずは指数法則を利用して解いてみます。

１回目　２の２０２３乗－１＋３
＝２の２０２３乗＋２
＝２×（２の２０２２乗＋１）

２回目　２×（２の２０２２乗＋１）÷２
＝２の２０２２乗＋１

３回目　２の２０２２乗＋１＋３
＝２の２０２２乗＋４
＝２×２×（２の２０２０乗＋１）

４回目　２×２×（２の２０２０乗＋１）÷２
＝２×（２の２０２０乗＋１）

５回目　２×（２の２０２０乗＋１）÷２
＝２の２０２０乗＋１

２回目以降は３回操作を行うと２をかけ合わせる回数が２つ減ることがわかります。
２０２０÷２×３＝３０３０なので、２＋３０３０＝３０３２（回目）は
２０２２－２０２０＝２
より
２の２乗＋１＝５
であることがわかります。
３０３３回目以降は
８→４→２→１
となるので
３０３２＋４＝３０３６（回）…（答）

〈別解〉２進数を使います。

いかがでしたでしょうか。
どちらの解法も無理なく正解できたと思います。
ただし、乗法公式を使う場合は罠があり、３０３４回目までジャンプしてしまうと
２の０乗＋１＝１＋１
＝２
より、答が３０３５回目になってしまいます。
普通は０乗が１ということを知らないので３０３２回目で控えるはずですが、知識があることが仇となって不正解という可能性がありました。
「最後のあたりの怪しい部分は、少し書き出す」という精神がここでも大切だったと言えましょう。