VOL.2731問全力解析 2023開成中学校
いきなり始めます。
今回の「1問全力解析」は2023年度開成中5です。
基本テーマ
①問題文を味わう
②誘導に乗る
③積の法則
④条件を整理する
⑤嗅覚を研ぎ澄ます
この問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。
ひとつずつ見ていきます。
①問題文を味わう
2ページに渡る長文です。
当然、無駄な情報はないのですが、圧倒されて頭に入らなくなってしまった受験生もいたかもしれません。
落ち着いて何を言っているのかを丁寧に拾う必要があります。
長文の問題はそれだけヒントがふんだんにあると思うようにして、しっかりと味わうようにしてください。
②誘導に乗る
この問題の最終目標は「A+B=9723」となるようなA,Bの組が何通りあるかを求めることです。
そのためにまずは「A+B=96」から始めて、以下「971」、「972」と練習を重ねて、最終的に「9723」に到達するわけです。
順番にやっていけば少しだけ前の問いに上乗せすれば正解できるという、非常に親切なつくりになっています。
もしかしたら親切すぎて、差がつかなかったのかもしれないぐらいです。
ひとつポイントがあるとすると、なぜ「971」と「972」の両方をきいているのか。
そこに気づけば完答も可能だったことでしょう。
③積の法則
本問は分野でいえば「場合の数」の問題です。
「場合の数」は公式や決まった解き方があまりなく厄介な分野なのですが、本問の場合は「積の法則」と「和の法則」を利用するタイプの問題でした。
本校の受験生ならば「積の法則」と「和の法則」の使いどころを間違えるようなことは無いとは思いますが、一般的なレベルの受験生は、まずはこの2つの使いどころを間違えないようにして欲しいです。
「積の法則」は「各々につき何通りあるという樹形図のようなイメージ」、「和の法則」は「最初に場合分けしたものを最後にまとめる」という風に頭に入れておけば良いでしょう。
④条件を整理する
まず1~7の数字だけを使うことが大前提です。
そして一の位の2数の和が決まれば、十の位の2数の和の一の位が決まることから2数の和が絞り込める、といったことを下の位からやっていくわけです。
また、AとBの桁数が揃うことも本問を解きやすくしている要素のひとつです。
解答の過程で「場合分け」が生じることがあり、その時は「和の法則」を使いまとめる必要がありました。
⑤嗅覚を研ぎ澄ます
本問は結果としてはできれば完答したかった問題だったのですが、最後の問題ということもあり早めに見切りをつけてしまった受験生もいた可能性があります。
受験は何が起こるかわからないので、得点できるものは全て得点することが鉄則ですから、そのあたりの判断を誤らないようにすることが大切です。
また、間違えてしまう可能性があるとすると一の位の2数の和が「3」と「13」の2つの可能性があることをうっかりしてしまうことです。
むしろそこに集中できるような嗅覚を身に着けて欲しいものです。
ただ、本校の合格レベルの受験生はそんなミスは犯さなかったことと思います。
以上を踏まえて問題を解いてみましょう。
(1)
一の位の決め方が5通り、十の位の決め方が6通りなので、「積の法則」から
5×6=30(通り)→ア…30
(2)
Aの一の位とBの一の位がそれぞれ決まっているのでそれより上の和が96なので、(1)と同じで30通りです。→イ…30
一の位の決め方が4通りあるので「積の法則」から
4×30=120(通り) →ウ…120
(3)
まずは96と同じなので30通り →エ…30
続いて97になるものは1からやらなければなりません。
和が7になる組み合わせが6通り(6-1,5-2,4-3,3-4,2-5,1-6,)、9が6通りなので「積の法則」から
6×6=36(通り)でこれが答です。 →オ…36
96の方が一の位の組み合わせが3通り、97が1通りなので最後は「和の法則」も使い
30×3+36=126(通り) →カ…126
(4)
いよいよラスボスですが、ここまで丁寧にやってくれると少し拍子抜けだったかもしれません。
一の位同士の和が「3」(上三桁の和は972)は2通り(1-2,2-1)です。
一の位同士の和が「13」(上三桁の和は971)も2通り(6-7,7-6)です。
以上より求める答は
2×126+2×120=492(通り) →キ…492
いかがでしたでしょうか。
ここまで丁寧だとなかなか間違えにくかったと思います。
何という優しさでしょう。
本校の先生は「愛」に満ち溢れていると感じた金田なのでありました。
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