VOL.2691問全力解析 桜蔭中学校
皆さま、本年もよろしくお願いいたします。
今回から新6年生(現5年生)向けの内容となります。
さて、受験本番まで約1年、何をどうすればよいか悩んでいる受験生も多々いるのではないでしょうか。
しかし現実は塾の宿題に追われる毎日で、ゆっくり考える暇はない、そのような光景が目に浮かんでしまいます。
当ブログは日ごろから、そんな悩める受験生の助けになりたいと考えております。
そこで、早い時期から「過去問」に接することができるような企画を立てました。
題して「1問全力解析」!(どこかで聞いたことがあるようなタイトルですが)
過去に出題された1つの問題を基本レベルまで掘り下げて誰もが理解できるようにしようという企画です。
これは金田が温めていた自信作でもあります。
第1回は桜蔭中学校の令和4年度Ⅰ(1)を取り上げます。
【基本テーマ】
①計算の順序
②分数の四則計算
③小数を分数に変換する
④帯分数か仮分数かの選択
⑤逆算はつり合いを保つイメージ
この計算問題では以上のような基本テーマが潜んでいると考えられます。
ひとつずつ見ていきます。
①計算の順序
計算をする順番は左からというのが原則ですが、足し算(引き算)と掛け算(割り算)とでは掛け算が優先されます。
また、「かっこ」がある場合は「かっこ」の中が優先ですし、「小かっこ」「中かっこ」「大かっこ」の順に処理しなければいけません。
「結合法則」によれば足し算・引き算だけか、掛け算・割り算だけになれば並び順を変えなければどこから計算しても結果は同じなので、まずはそうなるように式を整えます。
②分数の四則計算
分数の計算は足し算・引き算が通分が必要であることから厄介なものになります。
それに対し掛け算(割り算は逆数の掛け算にするのが普通なので掛け算だけを考えれば良い)は約分の要領で簡単になる可能性があるので、歓迎したいところです。
③小数を分数に変換する
先ほど述べたように、掛け算や割り算は分数が強いので、小数を分数に変換して計算することが考えられます。
特に割り算で割り切れない場合は絶対となります。
それに対し、分数は足し算に弱いので、分数を小数に変換して計算することも考えられます。
このあたりの選択は経験と先を読む力が必要です。
④帯分数か仮分数かの選択
これも足し算・引き算に強いのが帯分数、掛け算はほぼ仮分数が必須、ということで、変換が必要になってきます。
もちろん例外はありますが、まずは基本に忠実なフォームを身に着けてもらいたいと思います。
⑤逆算はつり合いを保つイメージ
等号で結ばれた式の両辺に同じものを足しても、引いても、掛けても等号は崩れないので、それを利用して式を変形していきます。
中学で習う「移項」を取り入れても良いでしょう。
最終的に
□=○
の形までシェイプアップできれば解けるということです。
もちろんあくまで逆算、という考え方もあるとは思いますが、複雑な問題になればなるほど変形の意識が有利に働くでしょう。
以上を踏まえて過去問を解いてみましょう。
13 1 3 -{(4 13 14 ×□―2.375)÷1 2 11 ―3 5 7 }=5 11 24
(4 13 14 ×□―2.375)÷1 2 11 ―3 5 7 =13 1 3 -5 11 24 ⇒(A)
(4 13 14 ×□―2.375)× 11 13 =7 7 8 +3 5 7 ⇒(B)
69 14 ×□―2 3 8 = 649 56 × 13 11 ⇒(C)
69 14 ×□= 767 56 +2 21 56 ⇒(D)
□= 225 14 + 14 69 ⇒(E)
= 75 23 ⇒(F)
=3 6 23 ・・・(答)
【メモ】
(A)かっこの処理は□の計算の場合、大きな「かたまり」とみなすことがポイントになります。
中かっこ全体を☆とすると
13 1 3 ―☆=5 11 24
となるので、
☆=13 1 3 ―5 11 24
とします。
また、帯分数の引き算は
13 1 3 -5 11 24 =7 1 3 +6―5 11 24
=7 8 24 + 13 24
=7 21 24
=7 7 8
のように計算するとスムーズです。
(B)「÷1 2 11 」は「× 11 13 」に値します。
右辺の足し算は
7 49 56 +3 40 56 =10+ 89 56
= 649 56
としておきます。
(C)「2.375」は「2 3 8 」に値します。
両辺に 13 11 を掛けます。
649 56 × 13 11 = 59×13 56 = 767 56
→59×13は60×13―13とやるのも良いでしょう。
60×13-13=780-13
=767
(D)足し算は帯分数の方が良いですがこの後の掛け算を見越して
767 56 +2 3 8 = 767+112+21 56
= 900 56
= 225 14
と計算します。
(E)両辺に 14 69 を掛けます。
14がきれいに消えるので正解ルートに乗っていそうで
225 14 × 14 69 = 75 23
(F)最後に帯分数に直します。(仮分数でも可の学校もあります。)
かなり大変だったとは思いますが、計算が全ての土台になるのでピタリと合うようになるまで練習しましょう。
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