VOL.244もし算数の勉強方法を登山に例えたら・・・

図形もしもシリーズ

かなり昔の話になりますが、私は1度だけ富士山に登ったことがあります。
仲間から誘われて、ほとんど何も考えずに車で五合目まで行ったのですが、そこから先は今でも強烈な印象として記憶に残っています。

つい先日も屋外で作業をしてきつい思いをしているときに、富士山に登ったときのことを思い出しました。
富士山に登った直後は悪夢に近かったのですが、今となっては良い思い出です。
そのときふと、富士山に挑むことと中学受験は良く似ているな、と感じました。

そこで今回のテーマは「もし算数の勉強方法を登山に例えたら…」にしました。
ちなみに私は登山に関しては全くの素人なので、富士山に登ったときの感想程度に考えてください。

①動機
私が富士山に登ったのは、誘われたので何も考えずに「行く」と返事したことが始まりでした。
私が中学受験の勉強を始めたのも担任の先生から「受けろ」と言われ、その先生が怖くて何もいえなかったので「はい」と答えたのが始まりでした。

「日本一高い山を制覇してやる」「そこに山があるから」なんていうかっこいい動機ではありませんでした。
中学受験も「○○中学に入りたい」ということは全くなく、そもそも志望した中学のことは何も知りませんでした。
ただ、当時の神戸市は中学生は全員丸刈りだったので、私立中に行けばそれを回避できるといったことを考えたのかもしれません。
今となっては記憶が全くありませんが。

②準備
富士山に登った時期は夏だったと思います。
山頂近辺は気温が低いという知識はあったので、長袖の作業着のようなものは持って行きました。 
靴は登山靴ではなく普段履きのスニーカーでそのまま行きました。

リュックに最低限の水とお菓子を入れただけでそれ以外の特別な準備はしませんでした。
ちなみに、袋入りのポテトチップは、山頂で膨らむかどうかをチェックするため持って行ったと記憶していますが、なぜか結果の記憶が全くありません。
因みに富士山の次ぐらいに高い立山に行ったときはしっかり膨らみましたよ!

確か夜中の10時過ぎから登り始めたのですが、他の人たちは皆頭につけるライトを持っていました。
自分ひとり、そんな基本的なことに全く気付かず、暗闇を行かなければいけないとわかり、情けなくなりました。
幸いにもライトを2個持ってる人がいて、快く貸してくれました。
その人は普段から良くしてくれる人で、いろいろな場面で救われました。
今でも感謝しています。
その他、準備が良い人は酸素ボンベや杖を持ってきたりしていて、自分の準備不足を痛感させられました。
みなさんには、この教訓を中学受験に生かしてもらいたいと思います。

何事も準備が大切です。
「受験勉強そのものが本試験の準備じゃないか」とおっしゃる方がいるかもしれませんが、意外と「試験のための準備」から外れてしまっているケースが多いように思います。
この件についてはあまり書きませんが、普段の勉強の方向が「志望校合格」に向いているかどうかのチェックは必要だと思います。

③8合目まで
ライトを借りて気持ちが大きくなったのか、誰かと一緒に登るようなことはせず、1人勢いよく登り始めました。
初めての富士山なので、この先何が待っているのかわかりませんでしたが、とりあえず行けるところまで行こうと、テンポを重視して足を進めました。

「意外と大したことないな」と思い始めた矢先、急に足が重くなってきました。
今思うと少しずつ酸素が薄くなってきた影響とわかるのですが、当時の自分は気合が足りなかったと反省していました。

やむなく、休憩を挟みながら登ることにしました。
5分登って30秒休むというペースだったのが徐々に休憩が頻繁になり、時間も延びました。
2分登って1分休むなんてこともあったと思います。
休憩が増えると回りを観察することが多くなってきました。
老若男女色々な人が登っていました。
見ていて面白かったのが年配の方と若者のペースの違いです。

若者は瞬発力があるのか、どんどん私を抜いていきました。
集団でワイワイ楽しそうに登っていました。
ところが、しばらくすると私が抜き返すことがほとんどでした。
多分休憩時間もたっぷりとったでしょう。
その後私が抜き返されることは全くありませんでした。

それに対し、ベテラン勢はというと、一見ゆっくり歩いていました。
杖のようなものをもっていることが多く、歩幅も小さく、無理している感は全くありませんでした。
スピード自体は遅いですから、結構な数の人を抜きました。
しかし、リードを保つことはありませんでした。
私が休んでいる間に静かに抜いていくのです。
無理をせずにマイペースを続けることが、結局は一番の近道であり、このことは受験勉強にも当てはまると思います。
集団に無理についていこうとするのか、個別で自分に最適なペースで学ぶのか、どちらが良いかは明白でしょう。

④山頂
8合目を超えたあたりからとんでもなくきつくなってきました。
明らかに酸素濃度が低いことの影響ですね。
富士山は道中木などもなく、砂利道に手すりもあり、それを淡々と登っていくだけです。
見上げれば山頂も望め、8合目までは「近い、すぐ着きそうだ」といった目で見ていたのですが、8合目を過ぎると「遠い、いったいいつ着くんだ」に変わっていました。

肉体的に厳しいのは勿論なのですが、それが精神的にもきつくなってきたのです。
精神的な厳しさは肉体的な厳しさよりもダメージが大きいです。
そしてそのきっかけになったのが「弱い気持ち」だったと思います。

何度も「自分はなぜこんなことをやっているんだろう」と自問自答しました。
その都度「ご来光を拝みにきたんだろ」とか「これを乗り切れば一回り大きくなれる」とかもっともらしい答を出しましたが、すぐに気持ちが負けてリタイヤしたくなりました。

そんなとき効果的だったのが「何も考えない」ことでした。
この頃になると1歩ずつがかなりの負担となっており、下手をすると1歩進めては休むなんてことになっていました。

それをなるべく何も考えないようにして、足を前に出すマシーンになったかのように歩を進めるようにすると、大分楽になりました。
実際、最後の方は本当にマシーンになったかのようでした。
ふと我に返ると山頂に達していました。
山頂では酸素の薄さを感じることもなく、行けるところは全部回ったと記憶しています。
ご来光もしっかりと拝むことができ、達成感につつまれました。

この、8合目以降のきつさは、中学受験で言えば夏休み以降のきつさに当たると思います。
精神的に厳しいので、本当に踏ん張り所だと思います。
この時期の過ごし方は本ブログでも何回か書いてきました。
毎年秋頃に書いているので参考にしてください。

今回の内容を生かすなら、本人については「何も考えずに淡々と日々の学習をこなす」ということになると思います。
自分ができることを淡々とやる、まさにベテラン勢のやり方ですね。
親御さんにおいては「マイナスの感情をぶつけないこと」を徹底していただければと思います。
これを守っていただければ、その受験はほぼ成功するといっても過言ではありません。

⑤下山
ご来光を拝み上機嫌になったのも束の間、帰りも歩かなければなりません。
行きで懲りたので帰りは「マイペースで楽しみながら行くぞ」と心に決めてスタートしました。
ところが、下り坂は足場が安定しないため、登りよりも足への負担が大きいと感じ、気分が滅入ってしまいました。
そんなとき、私の背後から風のように山を降りるおじさんが現れ、あっという間に脇をすり抜けていきました。
ものすごいスピードであっという間に見えなくなってしまったのですが、すぐになぜあれだけ速いのかはわかりました。
私は足場がすべるので1歩1歩を安定させようと慎重に歩を進めていたのですが、元々砂利道ですから完璧な安定など望むべくもありません。

おじさんはむしろ足を滑らせていたのです。
それこそスキーのように坂道を滑っていました。
少し怖かったのですが、ここで私のスノーボーダー魂に火がつきました。
「おじさんができるのなら自分だってできる」
やってみると実に楽でした。
滑らせたほうがむしろ安定する感じでした。
※私はスノーボードを何年もやってきたからそうだったのだと思います。良い子の皆は決して真似しないでね。
あっという間に下山した私は、その後車の中で仲間を6時間待つ羽目になりました(笑)

最後の教訓は
常識に囚われるな

自分だってできる
です。

受験は最終的には精神力の勝負なんていわれますが、「前向きな気持ち」をキープして、常識を覆してもらいたいと思います。

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今週の1題図形

難易度★★★★☆

〈図1〉

〈図1〉は49個の点が格子状に等間隔に並んでいます。これらの中から4つの点を選びそれらを頂点とする四角形を作る事を考えます。
ただし、四角形の辺上に頂点以外の点があってもかまいません。

(1)正方形を何種類か作る事が出来ます。その面積が16cmより大きく36cmよりも小さくなるものについてその面積をすべて答えて下さい。

(2)面積が10cmの長方形は何個できますか。
また、正方形以外のひし形は何個できますか。

クリックすると
解答が表示されます

<答>(1)17、18、20、25、26(cm
(2)長方形・・・64個  ひし形・・・116個

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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