VOL.242もし算数の勉強方法を野球に例えたら・・・

図形もしもシリーズ

算数という科目は実技科目の要素が強く、大学(高校)入試の文系科目の学習法をそのまま当てはめても通用しないことが多いです。

実例はいくらでもありますが、今回は1つだけ紹介します。
「3.14×□」は覚えておいた方が良いと言われていますが、皆さんはどこまで覚えていますか?

以前、二桁までなら全て覚えていると思われる生徒さんに遭遇しました。
「英単語」や「年号」を覚えるのはそれなりに効果があるのでしょうが、計算結果を丸暗記はさすがに効率が悪いように思いました。
いったいどれ位の労力をはらったのか?
自然に覚えたなら良いかもしれませんが、ほとんど意味がないことに大量の時間を投入していたとしたら辛いですね。

3.14×□は□が一桁を覚えれば十分でしょう。
私は無理に覚えたわけではなく、自然に覚えてしまいました。
受験生もそれで良いと思います。

※計算も根っこの部分では暗記です。「九九」がその典型ですね。
一桁同士の足し算も実際にその場で足しているわけではなく暗記しているはずです。
そうでない場合は少し危険なので、しっかり頭に入れてください。

文系科目の勉強法がだめなら理系科目はどうかなのですが、これも上手くいく気がしません。
大学入試ともなると、記憶がベースで、それを使いこなす高度な技術が重視されており、算数とは少し違うという印象です。

ここで少し困っているかもしれません。
算数という科目が完全に「ガラパゴス化」している!
そこで私も考えました。
実技の色が濃いのならば実技から学べば良いのではないか!
ということで今回から新企画「算数の勉強法を〇〇にたとえてみた」をやっていきたいと思います。

第1回は、「野球」です。
「サッカー」や「バスケット」等、他のスポーツが好きな方、すみません。
古い人間なので、自分の中でスポーツといえばまず「野球」なんです。

場合によっては他のスポーツでもたとえてみたいと思いますので、ご期待ください。
「野球」の練習法や心構えは「算数」に通じるものがあります。
特に「野球」の「守備」が参考になるでしょう。

「守備」は「打撃」と違って練習すれば確実に上手くなると言われています。
当然脚力や肩の強さといった身体能力には個人差がありますが、練習でそれらをカバーできるのですね。

「算数」も頭の回転の速さや記憶力、思考力といった部分で個人差があるかもしれませんが、キチンと勉強すればあまり気にする必要はないわけです。

守備の上達の過程と算数の学習を表にまとめてみます。

守備 算数
基礎体力をつける
・走り込み→下半身の強化
・筋力トレーニング→筋力アップ
基礎学力をつける
・計算練習→全てのベース
・一行題演習→基本知識の定着
キャッチボール
・ボールに慣れる
・野球に適した体をつくる
授業をうける
・算数の考え方を教わる
・解法を学ぶ
ノック
・打球の処理を実際に経験する
・様々な打球に慣れる
問題演習
・基本的な解法を身につける
・どんな問題が出題されるかを知る
練習試合
・本番を想定
・生きた打球を経験できる
模試
・本番を想定
・受験生の中での位置を知ることができる
合宿
・野球漬けの毎日
・自分の限界に挑戦
夏期講習等
・勉強漬けの毎日
・自分の限界に挑戦

どんなものでもそうですが、基本から積み上げ、徐々に実戦に近付けていく、これが上達のメインロードですね。
また、合宿のように集中的に練習することが、飛躍的な伸びを生む可能性を秘めていると言えるでしょう。

ここからはもう少し具体的にみていきましょう。
守備の基本である「捕って投げる」ということが当たり前にできるようになると、次に大切になってくるのが、「準備」ということになると思います。

「守備位置」や「構え」がこれにあたります。
「守備位置」は自分の守備範囲と打者の傾向、投手の配球等から決定されます。

これを「受験算数」に当てはめると、現在の自分の実力を把握し、受験校の出題傾向を視野に入れ自分がどれだけ点数が取れるかをイメージしながら学習を進めるということになります。

そして、今回一番言いたかったことが「構え」です。
内野守備が特にそうなのですが、ただボーっと突っ立っているだけでは速い打球が飛んできたときに全く対処できません。

守備の心得としては、腰を落としいつでも打球に反応できるよう「構える」ことが大切です。
そしてこれが「算数」にも言えるのです。

新しい解法を生徒さんに教えたとして、その生徒さんがその解法を使えるかどうかは「構えている」かどうかにかかっているのです。
算数で「構える」のがどういうことかと言うと、「これと同じ問題を見たらこの解き方で解いてやる」という心の準備をすることです。

こういった気持ちがないとほとんどの場合スルーしてしまうのです。
「この問題、この間やったね」なんてことを模試の直しで言うと、「気付かなかった」という答が返ってきます。記憶力が悪いわけではなく、本当に気付かなかったのでしょう。

その時は必ずこう言います。
「次の試験ではしっかり構えておこう」
「構える」ことができれば、必ず次のステップに進めます。

最後に、野球の試合を観て思うことを書きます。
上手い人たちは本当に普通に守備しています。
簡単にアウトをとりますね。
ところが実際にやってみると、滅茶苦茶難しい。

プロの試合を球場で観ると、守備位置に驚きます。
自分があの位置で守っていたらほとんどアウトがとれない!
あの人たちは本当に上手いのですね。

皆さんは「算数」を上手い人の野球の守備のように普通に解けるようになって欲しいのです。
そして守備範囲をひろげて欲しい。
そのためには、地道な日々の学習が必要なのは言うまでもありません。

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今週の1題図形

難易度★★☆☆☆

名門君は〈図1〉のような野球盤を作るために設計を始めました。〈図2〉がフェアーゾーンの設計図です。
〈図1〉

〈図2〉

名門君は以下のように設計しました。
・三角形ABCは∠Aが90°の直角二等辺三角形
・外野フェンスのラインはOを中心とするおうぎ形の弧
・全体の図形は直線ADを軸として左右対称
・三角形OBEは〈図3〉の直角三角形と相似
・ADの長さは120cm

〈図3〉

(1)ABの長さは何Cmですか?四捨五入して整数で答えて下さい。ただし、〈図4〉を使ってかまいません。

〈図4〉

(2)フェアーゾーンの面積は何cmですか?四捨五入して整数で答えて下さい。ただし、〈図3〉の∠Pは62°であるものとして計算してください。

クリックすると
解答が表示されます
<答>(1)106cm (2)10,439cm
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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