VOL.239数学から考える受験算数(5)関数
私が「関数」を初めて習ったとき、全く訳がわかりませんでした。
何を何のためにやっているのかピンとこなかったのです。
さすがに「2次関数」あたりまで進んで(特にグラフとx軸の交点の座標が方程式の解ということを学んだ頃)、「関数」の重要性がなんとなく見えてきました。
高校数学で「関数」が占める割合は、大人の皆さんにおいては承知されていることと思います。
大学受験では「関数」が苦手は即アウト級ですね。
さて、受験算数で「関数」に似た分野として「2量の関係」があります。
また、「比例・反比例」は「関数」に含まれる分野です。
ですから、今回のテーマは上記の分野において「数学」をどれ位取り入れたらよいか、ということにしたいと思います。
まず、関数の定義を確認していただきます。
◎xの値が決まるとyの値が1つに決まるとき、yはxの関数である。
基本的に、xとyの間に法則のようなものがあればxが決まればyを求めることができるということです。
それでは例題をみていただきましょう。
〈例題1〉
AはBに比例し、BはCに反比例します。Aが25のときBは5、Bが1のときCは2です。
それではCが5のときAはいくつですか。
〈解説〉
小学生が習うのは以下になります。
・比例…片方が2倍、3倍、4倍となるにつれ、もう片方も2倍、3倍、4倍となるような関係
・反比例…片方が2倍、3倍、4倍となるにつれ、もう片方は 1 2 倍、 1 3 倍、 1 4 倍となるような関係
これを使うと
Cは2を基準にすると
5÷2= 5 2
より、 5 2 倍になっているのでBは 5 2 の逆数である 2 5 倍。
1× 2 5 = 2 5
よりBは 2 5 。
Bが5を基準にすると
2 5 ÷5= 2 25 (倍)
になっているのでAも 2 25 倍。
よって
25× 2 25 =2 …(答)
という具合で、何となく煩わしいような気がします。
これに対し数学では比例と反比例の関係式が決まっていますからそれに代入すれば本問は自動的に解けます。
・比例…y=ax(a≠0,aは比例定数)
・反比例…y= a x (a≠0,aは比例定数)
比例の式を変形すると
y x =a
となり、比の値が一定ということになりますし、反比例の式を変形すると
xy=a
という小学生にとってわかりやすい、積が一定ということになります。
これらの式を利用すれば
A=5×B …①
B= 2 C …②
となり、②にC=5を代入して
B= 2 5 …③
③を①に代入して
A=5× 2 5
=2 …(答)
となり、むしろ解りやすかったかもしれません。
「比例・反比例」の式を学ぶのは悪くないと思います。
〈例題2〉
50gのおもりをつるすと全長が25cmになり、80gのおもりをつるすと全長が28cmになるばねがあります。このばねの自然長を求めてください。
〈解説〉
ばねはおもりの重さと伸びが比例の関係になります。50g⇒80gは30g重くなっており、そのとき25cm⇒28cmと3cm伸びています。
25-5=20(cm)…(答)
これを数学的に考えてみましょう。
・解法1
ばねはおもりの重さ(x)と全長(y)の関係は1次関数になるので
y=ax+b …①
とおける。
これに(x,y)=(50,25),(80,28)を代入して連立方程式をつくる。
これを解いて
a= 1 10 ,b=20
よって
(答)20cm
・解法2
座標上の2点(50,25),(80,28)を通る直線の式のy切片の値が答なので
変化の割合から傾きを求める公式を利用して
y-25= (28-25) (80-50) ×(x-50)
y= 1 10 ×x+20
より
(答)20cm
実は、小学生的な解き方は数学の解法2とほぼ同じなのでした。
「1次関数」で素早くできなければならないことの1つに、2点を通る直線の式を求めることが挙げられますが、小学生的な感覚がスピードを高めてくれるのですね(連立方程式は遅い)。
ということで、「1次関数」に関しては「数学」に頼る必要はないという結論とさせていただきます。
その他、2量の関係では複雑な問題もありますが、数学で学ぶ「関数」の知識が必要かというとそうでもないように思います。
グラフはほとんど同じと考えることもできますが、小学生は第1象限しか扱わないという大きな違いがあります。
「関数」に関しては「比例・反比例」は別として指導者が意識しておけば良く、本人は「算数」的に考えれば良いと思います。
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