VOL.235数学から考える受験算数

方程式数学から考える受験算数


「1問全力投球」もある程度やった感があります。
もちろん、今後も継続していきたいと考えていますが、とりあえず今回から新しいシリーズを始めたいと思います。

何をやるか色々と悩んだのですが、「数学と算数」を結びつけるようなものに決めました。
タイトルは「数学から考える受験算数」です。

「算数」に「数学」を持ち込むことに否定的な指導者は多いと思います。
典型例は「方程式」ですね。

「方程式」の場合はデメリットがそこそこあるので私もおすすめはしていません。
以下、メリットとデメリットをメモしておきます。

・メリット
方程式を解く技術さえ身に付けておけば、式さえ立てることができればほとんどの問題を解くことができる。
これは膨大な量になる「〇〇算」のような解法を身に付ける必要が無くなることを意味する。

・デメリット
頻出分野である「食塩水の濃度」や「速さ」を方程式で解くと、計算が煩雑になる可能性が高い。
また、学校側が「方程式」を警戒して、「方程式外し」をしていることもあると聞く。
さらに、算数的解法を学ぶということはその解法を身に付けることも大切だが、そこに至るまでの考え方を学ぶことの方がより重要であると考えられる。
「思考力」が養われる機会がなくなるのは痛い。

というわけで、私も「数学」を学んで「算数」を「数学」で解く、ということを目指しているわけではありません。
「数学」で学ぶ内容を「算数」に生かすことができないか、ということを考えてみるといった企画だと思ってください。

今回とりあげるのは合同式(mod)です。
合同式とは簡単に言うと割り算の余りだけに着目した式のことです。
合同式ではある数で割った余りが等しければ、「≡」という記号であらわします。

例えば9と13は両方とも4で割ったときの余りが1、と等しいので
9≡13(mod4) ⇒「9合同13モッド4」のように読みます。
「9,13は4を法として合同である」と言い換えることもできます。

上に「法として合同」という表現がありましたが、「法」は割る数のことです。
ですから、「A,BはCを法として合同である」とは「AとBをCで割った時の余りが同じ」ということです。
これって、算数でやってますよね。
「余りだけで計算してOK」ってやつです。

では合同式の威力をみてみましょう。

〈例題1〉
13を100回掛け合わせた数を6で割ったときの余りはいくつですか。

〈解説〉
13≡1(mod6)
1は何回かけ合わせてもても1なので
(答)1
この問題は「あまりだけの計算」だと「1の100乗」となり、「1」が求まります。

〈例題2〉
7を123回掛け合わせた数の一の位はいくつですか。

〈解説〉
一の位の数は10で割った時の余りと同じです(割り切れるときは余り0とみなします)。
よって「法」を10とした合同式で考えます。

7×7≡49≡9(mod10)
7×7×7≡343≡3(mod10)
7×7×7×7≡2401≡1(mod10)

4回掛け合わせると「1」になるので、4回、8回、12回…120回掛け合わせた時点で1の位は「1」になります。
結局3回掛け合わせた時と同じなので、
(答)3

この問題は「算数」では規則性の感覚で解くことが多いと思います。
7,9,3,1,7,9,3,1,7,9,3,1,…
という数列の123番目の数字を求めるのと同じですね。

〈例題3〉
121×121×x=32×y+1
を満たす1以上の整数x、yの組はいくつもありますが、その中でxが最小のときのyを求めてください。

〈解説〉
121≡25(mod32)
なので
121×121≡25×25≡17(mod32) ⇒625を32で割った余りは17となります。
これを利用すれば
121×121×x≡32×y+1≡1(mod32)
より
17×x≡1(mod32)…①
両辺を2倍して
34×x≡2(mod32)
34=32+2
なので
2×x≡2(mod32)…②

②の9倍から①を引くと
x≡17(mod32)
となり最小のxが17とわかります。
121×121×17=32×y+1
なので、あとは計算するだけですね。
ちょっと面倒ですがが頑張りましょう。

(121×121×17-1)÷32
=(248897-1)÷32
=248896÷32
=7778 …(答)

実はこの〈例題3〉は、今年の大学入試共通テストで出題され意外と手強いと評判になっていた問題とほとんど同じなのでした。
合同式を使えば比較的簡単に答が出たように思います(実際は誘導がついていたので、そちらに乗るのがオーソドックスな解き方でした。)。

さて、以上のやり方を小学生ができるかどうかなのですが、(mod32)を(32で割ったときの余りだけの計算)のように置き換えてあげれば、十分活用できるように思います。

合同式の内容は小学生でも理解可能ですから、使えそうな時に挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。
マスターすれば武器になりますよ!

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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