VOL.233一問全力投球(16) 渋谷教育学園幕張中
今週も共学校を取り上げます。
千葉の最難関校のひとつ、渋谷教育学園幕張中学です。
どれも面白い問題で悩んだのですが、今回は2を取り上げたいと思います。
早速問題をみてください。
本年度の渋幕は1と4が頻出の問題で点数がとり易かったのですが、他の2、3、5の完答が厳しかったので、そこでどこまで踏ん張れたかが合否の分かれ目だったと思います。
とくに本問は「場合の数」ということもあり差がついたのではないかと推測します。
受験者の平均的な正解の仕方は1と4は完答で2(1)か3(1)のどちらかを正解、合格者はそれに加えどこかであと1、2問正解ということだったのではないでしょうか。
〈解説〉
「なんとなく見たことがあるような気もするけれども具体的にははっきりしない」といった感想を持った受験生が多かったと思います。
基本的には過去の記憶に頼るのではなく、その場で考える姿勢を持った方がよいでしょう。
(1)まずはひとつ例をかいてみましょう。
赤青黄緑→赤青黄緑
規則はこれで決まります。結果が「青赤緑黄」に変わればそれに応じた他の規則に きまるので、結局4つの順列が答だとわかります。
4×3×2×1=24(通り)…(答)
(2)ここからが本番です。
2回で「赤青黄緑」になるので、まずは「赤」についてみていきます。
「赤」は2回で「赤」に戻るので
①赤→赤→赤
②赤→□→赤
の2つのパターンが考えられます。
さて、ここから場合分けになります。
ⅰ)全色① …1通り
ⅱ)2色が①,2色が②
これは①の2色を決めればよいので4つの中から2つを選ぶ組み合わせです。
4×3÷(2×1)=6(通り)
ⅲ)②が2組
4つのものを2つと2つに分けるので3通り←赤と組む色を決めれば全体が決まります。
以上より
1+6+3=10(通り)…(答)
(1)こちらはわかってしまえば(2)よりも易しいと感じるかもしれませんが、なかなか大変だと思います。
3回で全部「赤」なのですが、そこに「初めて」という縛りが加わることに注意が必要です。(実際は「初めて」がない方が難しくなります。)
ここで(2)のような循環型では、同時に「赤」にはならないことを確認してください。「循環型」ではないということは「一方通行型」になりますから、ここで光が射してきました。
いったん「赤」になったらずっと「赤」、つまり
赤→赤
が確定ということです。
次に「青」が3回で「赤」になることをイメージします。
青→□→□→赤
となりますね。右側の□に「黄」,「緑」を入れれば、「黄」は
黄→緑→赤→赤
となり、「緑」は
緑→赤→赤→赤
となります。
これは題意を満たします。
また、見方を変えれば、赤になる回数を1、2、3回に分散させる方法は前記のやり方しかないことがわかります。
よって求める答は3つの順列になるので
3×2×1=6(通り)…(答)
いかがでしたでしょうか。
合格者平均点が60点台だったようなので、本問の完答は厳しかったことが伺えます。
逆に言えば本問を完答できた受験生は合格に大きく前進したのではないでしょうか。
本校の場合、2大難所の「場合の数」「立体図形」の出来が合格を左右すると考えられます。
本校を目指すのであるならば、この難所から逃げることなくしっかり学習していきましょう。
そういった意味から本ブログが助けになること請け合いです!
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