VOL.2211問全力投球(7) 灘中
今週の「1問全力投球」は先週に続き「灘中」を取り上げます。
前回は「2日目」でしたが、今回は「1日目」2021年5を取り上げます。
問題を見てください。
今回この問題を取り上げたのは、知っていると便利な考え方を紹介したかったからです。
「あまり」については「あまりだけの計算」をすれば良いことは皆さんご存知だと思います。
例えば「5で割って3あまる数と5で割って4あまる数の積を5で割るといくつあまりますか」という問題は
(3×4)÷5=2…2
より、答は「2」となります。
ところが、
5で割って3あまる数⇔5の倍数-2(2不足)
5で割って4あまる数⇔5の倍数-1(1不足)
とみることができ、「不足×不足」で答が出てしまうのです。
2×1=2
で良いので、計算が楽です。
結論から言うと不足の個数が偶数個の場合はこのやり方が成り立ちます。
なぜそうなるのか2個のときで説明します。
〈「Nの倍数-A」と「Nの倍数-B」の積をNで割ったときのあまりが「A×B」となることの説明〉
〈図1〉は「Nの倍数-A」と「Nの倍数-B」の積を面積図にしたものです。
内側の長方形を15で割ったときのあまりが「A×B」になることを示していきます。
〈図1〉
〈図2〉は先ほどの内側の長方形に1本の線を加えたものです。
さらに、下の長方形を切り取り右側にくっつけたのが〈図3〉です。
〈図2〉
〈図3〉
すると、右下の出っ張りの飛び出た部分の縦が「B」ということがわかります。
横がNの倍数なので、あまりが「A×B※」であることがわかります。
※厳密に言えば「A×BをNで割ったときのあまり」です。
これを踏まえ、問題を解いてみましょう。
〈解説〉
「15で割ったときのあまり」を2回掛け合わせたものを15で割ったときのあまりを「1~7」について調べます。
あまりが「8~14」までは「7不足~1不足」に対応しているので、「1~7」の結果を使うことができます。
上の表からあまりが「1」になるのは「1、4、1不足、4不足」の4パターンあることがわかりました。別の言葉で言うと
・15で割って1あまる → 15×N+1
・15で割って1あまる → 15×N+4
・15で割り切れるには1不足 → 15×N-1
・15で割り切れるには4不足 → 15×N-4
となります。
このような2桁の数が何個あるか、というのがこの問題です。
2桁の15の倍数は「15~90」の6個ありますが、それぞれに±1、±4したものがとりあえず、2回掛け合わせて15で割ると1あまる数です。
「2桁」という条件を満たすかどうかのチェックをしなければいけませんが、すべて2桁の範囲に収まります。
よって
6×4=24(個) …(答)
いかがでしたでしょうか。
この問題は本校の受験生にとってはやさしかったでしょうし、
「マイナス×マイナス=プラス」
を知っていれば面積図は不要だったかもしれません。
ただ、ここに書いた考え方はかなりスマートで参考になったのではないでしょうか。
ぜひ使いこなせるようになってください。
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