VOL.34志望校対策(7) 「女子学院」
難関女子校であり、女子御三家のひとつです。
自由な校風で、根強い人気があるようです。
入試問題は、今まで扱ってきた学校とは違い、難易度は控えめです。
そのかわり、試験時間が40分と短く、解答数も多いです。
また、受験生の層がトップレベルなのに対し、難易度がそれほど高くないということで、高得点勝負になっていいる可能性が高いです。
つまり「スピード」がないと苦しい上に「正確性」も要求されるということです。
それでは対策を考えていきましょう。
まずは「スピード」をつけるにはどうしたら良いかです。
「スピード」というとどうしても「計算」の速さをイメージしてしまいますが、6年生が今から「計算」の速度そのものを上げるのはどうかなと思います。
計算そのものを「速く」するには莫大な労力をかける必要があります。
しかし、ほんの数秒時間を短縮したに過ぎないとなると、貴重な時間が無駄に終わるかもしれません。
※
本校志望の受験生はトップレベルであり、そういった受験生がさらに「計算」の速度を上げるのは効率が悪いということです。十分なスピードに到達していない受験生は、最後まで計算練習をして、力をつける必要があります。
そもそも「速く解こう」という意識は、普段の勉強中はまだ良いのですが、試験の最中は危険だと思います。
「ミス」を誘発する可能性が高いです。
「計算」そのものを「速く」しようと思わなくても、結果的に短時間で解けるような「体質」を身に着けることがおすすめです。
生徒を観察していてわかったのですが、時間が不足する最大の原因は、「計算」の遅さではありません。
一番は「空白の時間」があることです。
もしかしたら本人は一所懸命に取り組んでいるのかもしれませんが、結果としては時間を捨てています。
まずはこれをなくすことです。
それには、「反応」の速度を上げることです。
「検索」の速度といえるかもしれませんが、瞬時に解法を引っ張ってくることができるようにトレーニングを積んでおくのです。
特に差が出やすいのが「図形」の分野なので、「平面図形」を中心に穴のない学習を心掛けてください。
具体的には、一行題を反復練習するのが良いでしょう。
良質な問題を時間制限を設け、繰り返し解きます。
分野ごとに並んでいるものを正解不正解にかかわらず、4~5巡するのがおすすめです。
この練習を積んでいると、頭の回転の速度も上がります。
頭の中で色々なものを動かせるようになり、さらにその速度も上がっていくイメージです。
暗算の練習も一緒にやれば、さらに効果が上がります。
応用問題への対応が気になるかもしれませんが、本校の場合は難しい問題を解いて対策とするよりも、基本の積み上げのほうが効果が大きいので、前記のやり方を徹底することが、応用問題の対策にもなっていると考えられます。
また、「数量」⇔「図形」の変換を意識することも有効です。
特に、「図形」的に処理すると手間や計算を省けることが多く、さらにミスを防ぐことにもつながるという一石二鳥の効果があります。
※
個人的にはこのあたりのことが、算数で一番大切なのではないかと考えています。詳しく説明すると長くなってしまうので、別の機会に書きたいと思います。
「空白の時間」をつくらないためのもう一つの方法は「見切り」を早くすることです。
できるかできないかギリギリの問題は少し考えるのが通常ですが、本校の場合は「即」飛ばすべきです。
解法が瞬間的に浮かぶ問題以外は後回しです。
こうすることにより、「途中で時間を使いすぎ終盤に時間不足からミスを連発する」という最悪のシナリオを防ぐことができます。
つまり失敗がなくなるということです。
実力を出し切れれば、その受験は成功したも同然です。
「スピード」の次は「正確性」です。
一般的には一方を上げると一方が下がるという関係にありますから、バランスが大切ということになります。
計算で試すと良いと思いますが、「スピード」をどんどん上げていくと、あるところで、不正解が多くなるはずです。
その「スピード」は速すぎるわけで、適正な速度に落とす必要があります。
普段の勉強というのは、現在の自分にとって最適な速度を知るという意味があるのです。
人間は調子の波もありますし、成長もしますから、最適な速度も変わります。
日々の勉強でそれを意識することにより、当日も最適な速度で試験に臨むことが可能です。
そうすることで、ある程度の「正確性」は確保できるでしょう。
「スピード」の調整で「正確性」は確保できますが、それでもミスは起きます。
解答用紙に正解を書き込むまでは油断できません。やはり「検算」は必要です。
この「検算」を入れるタイミングですが、答を書き入れる時がおすすめです。
よく、終了5~10分前から見直しという話を聞きます。
しかし、本校は試験時間が全部で40分しかないのです。
30分で打ち切ったら全部は終わってはいないでしょう。
私には全体の20%が空白なのにそれを放っておいて、できているところの見直しをする度胸はありません。
最後の見直しは名前だけにしましょう。
その分、答を書くときは「100%」正解という自信と裏付けを持って書き込んでください。
それがあれば、見直し不要です。
後から見直しという逃げ道を自ら断って、正解力を高めましょう。
まとめです。
- 制限時間と問題数から「スピード」がなければ苦しいことは明白。
- 受験生の層から考えるとミスが許されない。
- 「スピード」と「正確性」のバランスが大切。これは日々の学習の中で掴んでいく。
- 基本的な問題をスピードを意識して反復練習する。とくに「図形」が重要なので、穴がないようにまんべんなくやっておく。
- 「検算」はその都度行う。「後で」というのは一種の甘えと自覚すること。
本校合格のために何か特殊なことをやらなければいけないということではありません。
私の経験上、シンプルな問題を素早く正確に解ける生徒こそが、「算数」ができる生徒です。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の練習問題女子学院
難易度★☆☆☆☆
次の にあてはまる数を入れてください。
(1)
図1のように、正九角形の中に
正六角形ABCDEFと正五角形
GHTJKがあります。
角㋐は 度
角㋑は 度
角㋒は 度
角㋓は 度
(2)
名門君、Jさん、Gさんの3人でA地点とB地点の間を往復することにしました。
3人は一定の速度で進み、折り返しには時間がかかりません。
3人はA地点を同時にスタートし、B地点に向かいました。
名門君とJさんが出会ったとき、Gさんは名門君の300m後方にいました。
出発して27分後にJさんとGさんが出会ったとき、名門君はB地点まであと
mのところにいました。
Jさんの速さが分速90m、Gさんの速さが分速60mだとすると、
名門君の速さは分速 m、AB間の距離は mです。
解答が表示されます