VOL.197規則性で間違えない(3)
今回は間違えないための工夫をいくつか示したいと思います。
Ⅰ. 表を利用する
書いて数えることを決めた場合、躊躇なく書き出すことが肝心です。その際、つらつら書きなぐったために数え間違える、なんてミスも考えられます。
前と後が合体してしまって、1少なくなってしまったという経験をした受験生もいるでしょう。
そんなミスを防いでくれるのが「表」です。
枠があれば「合体」はありません。
また、これは個人の感想ですが、「表」には一本背骨を通してくれるような効果もあり、色々な意味でミスを防いでくれます。
いくつか例を挙げておきます。
・サイズを適正にしてくれる
・ポジションを決めてくれる
・リズムを整えてくれる
・部分的な省略が容易
Ⅱ. 公式をきちんと理解する
数列の公式は基本的には「等差数列」についてのものを学ぶと思います。
①第N項=初項+公差×(N-1)
②1番目からN番目までの総和=(初項+第N項)×N÷2
この2つが代表的です。
これらを理解できているかどうかを確認するには、なぜそうなるのかを他の人に説明すれば良いでしょう。以外と苦しむ受験生が多いかもしれません。
説明できない場合は、教えてもらうか、参考書などで学ぶか、とにかく放置するのはよくありません。理解が不十分なまま放っておくと、覚えていたはずの公式を忘れてしまったり、変形してしまったりで、ろくなことがありません。
簡単な説明を書きますので、自信がない受験生は目を通してください。
①等差数列は最初の数(初項)以降、1つ先の数は公差の分だけ大きくなっている。第N項は初項の(N-1)個先←植木算 なので、公差×(N-1)だけ大きい。よって上の公式となる。
②筆算の要領で元の数列の総和を求める足し算の式と足し算の部分を逆に並べた式同士をたすと、(初項+第N項)をN個足し合わせた式になる。これは求める総和の2倍となるので、求める総和は上の公式となる。
理解することのメリットは
・そもそも覚えやすく、忘れにくい
・仮に忘れたとしてもその場で復元が可能
・学ぶ過程で算数の力がつく
等、いくつも考えられます。丸暗記の意味の無さを知ってください。
Ⅲ. 代表的な数列を頭に入れておく
先程、「等差数列」を取り上げましたが、ここでは数の並びを覚えておいたほうが良い例を3つとりあげます。
①三角数
1,3,6,10,15,21,28,36,45,55,66,78,91,105,120,136,153,171,190,210,…
10番目まではおなじみでしょう。15番目→120と19番目→190が覚えやすいので、最低限そこだけは忘れないようにしましょう。また、階差数列になっているので不安な場合はそちらから確認することができます。
〈公式〉
第N項=(1+N)×N÷2
第N項までの総和=N×(N+1)×(N+2)÷6
②四角数(平方数)
1,4,9,16,25,36,49,64,81,100,121,144,169,196,225,256,289,324,361,400,…
ほとんど大丈夫だと思いますが、17番目と19番目の記憶は必須(素数だから)です。
こちらも階差数列になっていますね。また、連続する2つの三角数の和は四角数になります。これは図形で説明が可能です。
〈公式〉
第N項=N×N
第N項までの総和=N×(N+1)×(2×N+1)÷6
(奇数列において)N番目までの総和=N×N
③フィボナッチ数列
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,…
最初が「1,2,3…」というケースもあります。
こちらは無理に覚えなくても良いでしょうが、13や34が出てきたときは「フィボナッチかも」と疑ってみる必要はあるでしょう。もっと先を書き出すときは表を使うようにしましょう。
〈公式〉
第N項までの総和=第(N+2)項-1
公式に関しては高級なものも載せました。できれば指導者に教えてもらい、十分に理解してから使うようにしてください。
算数のミスで一番多いのは「計算ミス」かもしれません。今回紹介したミスをしないための工夫も、「計算ミス」のような単純なミスがあれば元も子もありません。
単純ミスは「心の問題」が大きいので、普段からマイナスの感情(ストレス)を減らし、集中することを心がけましょう。
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