VOL.190【入試問題を解いての感想2021】 -(5)筑波大附属駒場-
今回はいきなり始めたいと思います。
言わずと知れた国立の雄です。本校は問題数はそれほど多くありませんが、40分という時間がネックになります。
開成を始めとする「思考力重視」の入試問題とテイストが異なるので、「合う・合わない」という根本的な問題が生じる可能性があるのが何とも悩ましいところです。
この辺の事情はVOL.38に詳しく書いてありますので、参考にしてください。
さて、今年はどのような問題だったのでしょうか。
◎筑駒
[1]2つの円の間の面積を求める規則性の問題
(1)まずは小手調べです。ここで規則性をつかんでおきましょう。面積を求めるのにセンターラインの公式の考え方を取り入れておくと若干楽に解くことができました。
(2)本校の受験生ならば、正解が当たり前だったことでしょう。
(3)解き方が解らないという受験生はあまりいなかったと思いますが、正解できたかどうかは別問題です。規則性の問題は「1つずれる」ことが多いので、そのような事がないように日頃からきっちりとした練習をしておくことが肝心です。
[2]整数を横一列に並べてできる数の桁数等を求める問題
(1)「00」から「99」に「2」が何個あるかという問題に置き換えれば数秒で解くことが可能でした。
(2)「0」でなければ(1)と同じで楽々でしたが、そう簡単にはいきません。それでも「何個減るか」という発想で調整すればそれほど苦労せずに答に到達したでしょう。
(3)桁数で分類すれば良い、頻出問題でした。
(4)突如3進数に変化しましたが、考え方は同じで大丈夫です。丁寧に調べれば正解の可能性は高かったことでしょう。
本校の合格を目指すならここまでは全問正解でいきたいところです。過去問演習の際の参考にしてください。
[3]平面及び空間上で2点以上を通る直線2本が交わる場合の数の問題
(1)平面で対称性を使えるので、やさしい問題でした。実質ひとつしかありませんからそれ以上どうしようもありません。
(2)上から見た平面図上に6本の線が引けますので、(1)の6倍が答です。
(3)平面で捉えてその6倍が答という方針で良いのは(2)と変わらないのですが、対称性の利用のところで(1)とは異なるのが本問のミソです。(1)はひとつのカドで調べ4倍で良いのですが、(3)はそれだと1点が重なるので微妙に違ってきます。半分で調べるか、重なりの調整をする必要がありました。
満点の障害の第一弾が本問だったと思います。(3)は暫定的な答を書いておいて他の問題にまわった方が良かったかもしれません。
[4]三角柱上を3点が動く問題
(1)これは旅人算で解決ですね。私はこの形を「段違いの出会い」と呼んでいます。
(2)ここからはダイヤグラムを描く必要があったと思います。
(ア)一往復にかかる時間の最小公倍数は40なのですが、ダイヤグラムの対称性を考慮すれば20秒まで描けばよいことになります。結構ここは大きいところで、単純に作業時間が半分になります。最初に3本の折れ線が1点で交わるところが答になります。
(イ)20秒までに3点が交わるところが2か所ありますから、答も2つですね。本校の場合、ダイヤグラムを描いて答を出すタイプの問題は頻出なので、時間さえ足りていれば十分に完答が可能だったと思います。
全体的に難問はそれほどありませんでしたが、ある程度差がつく例年通りのクオリティーだったと思います。
やはり、「数の性質」や「規則性」に関しては、考えられる論点をしっかりと突き詰めておく必要性を感じました。
躊躇なく書き出す思い切りの良さを身に着けるとともに、技術を極限まで磨いておくことも大切です。
最高峰の学校に対しては、最高峰の準備で臨む。当たり前のことを再認識させられました。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題規則性
難易度★★☆☆☆
整数のうち「0」、「1」、「2」、「3」、「4」のみが使われた数を考えます。
例えば、このような数を小さい順に1から20までひとつずつ並べると
1234101112131420
という16けたの数ができます。
(1)1から10000までひとつずつ並べた数に、数字「1」は全部で何個ありますか。
また、「0」は何個ありますか。
(2)1からある数までひとつずつ並べた数のけた数が「2024」になりました。
ある数はいくつですか。
解答が表示されます