VOL.188【入試問題を解いての感想2021】 -(3)麻布

入試問題を解いての感想不定方程式

志望校選びの重要な要素に「校風」があると思います。

特に女子の場合は「偏差値」を度外視して「校風」で選ぶ受験生も多いという印象を受けます。

男子は比較的「校風」はあまり気にしない傾向にあるとは思いますが、「体育に力を入れているか」
「自由・管理の度合はどうか」というのは皆さんも気になるところだと思います。

偏差値的にライバル校といわれる2校を比較すると、この「校風」がかなり違うといったことが多いようにも思います。

「自由な校風」と「管理が行き届いた校風」のどちらが良いかということを良く聞かれます。私は正直に「わかりません」と答えることが多いです。

それはなぜかというと、「人それぞれなので入ってみなければわからない」からです。

個人的に好きなのは「自由な校風」の学校です。

「自由な校風」で真っ先に思いつくのが「麻布」です。「自由」→「生徒の自主性に任せる」ということでしょうか。一時期、大学入試実績が思わしくない時に学内の先輩が立ち上がって後輩を指導し、その後進学実績を持ち直したという話を聞いたことがあります。いかにも本校らしいエピソードで素晴らしいと思いました。

ということで今回の【入試問題を解いての感想2021】「麻布」です。

本校は当ブログでも何回か取り上げています。繰り返し言っているのは「過去問演習の大切さ」と、「まずは普通の問題をしっかり取ること」の2点です。

今年はどんな問題だったのでしょうか。

◎麻布

図形の重なりの面積を求める問題

平行移動なので、作図で苦労することはなかったでしょうから、まずは1問正解といったところだったでしょう。

2人が速さを変えながらマラソンコースを走る問題

本校はここで「速さ」をもってくるのがお約束です。意外と骨があることが多いので、対策は必須です。

(1)速さが2:1で道のりが3:2だとかかる時間は

3÷2:2÷1=3:4

となります。そこまでいけば答が出たも同然です。

(2)時間が分数になっているので、やや煩雑な問題となっていました。本校の対策で迷うとすると、「線分図」でいくか「グラフ」でいくかだと思います。私は「グラフ」が好きなので、本問でも描きました。自分がわかりやすいからです。当然手間はかかりますから、「線分図」が良いという考え方もあります。大切なのは事前に方針を決めておくことでしょう。

時間と距離がわかっているので、本質的には(1)とあまり変わらない問題でした。

ひし形の紙をはり合わせる問題

(1)図形の規則性ですが穏やかな問題でした。縦方向と横方向それぞれを求める意識があれば「植木算」の基本問題でした。

(2)紙1枚の面積を「16」とおけば、重なり1つは「1」、紙のない所1カ所の面積は「4」になります。あとは計算するだけですね。

本問は完答必須だったと思います。

2枚のカードを使って小数部分を決められた数字にする

(1)不定方程式の問題ですが、「整数部分」と「小数部分」を一旦は分けて考える必要があるので、一工夫が必要でした。ペアにして5組増減すれば、小数部分には影響がありません

(2)「小数部分」が「0.36」になるものを1組見つければそこから調整が可能(芋づる算の応用)でした。ただし、見つけるのもやや大変な上に、そこからの調整も(1)と同じものと、枚数を変化させないためのものが必要だったので、正答率は低かったと思います。本問はつるかめ算の応用とみることもでき、そちらの方が良かったかもしれません。

本問のように一定の手間がかかる問題はあまり深入りせず、一旦逃げる姿勢も必要です。本問を落としたとしてもなんとかなった可能性が高かったと思います。

7つのライトを押して指定されたライトを点灯させる問題

(1)まずはルールを把握しましょうという問題。素直にやってみましょう。

(2)答はひとつではないようですが、大きい数が影響を受けるので、「小さいもの順に消していけば何とかなるのでは?」という発想に従ってやってみると意外とあっさりと見つかります。ちなみに私もそのような方針で解いたので、比較的早期に見つけることができました。

ひとつ答えれば良い問題は「見つけたもの勝ち」と割り切るのが良いと思います。普段の学習では別解を探すのも良い勉強になります。本問も「全て」だとかなりの難問になりますね。

サイコロ2個の積についての問題

(1)サイコロ2個を振る場合は「表」に整理するのが定石ですが、本問もそれに当てはまりました。

(2)ここで、第2の「表」を用意出来れば(3)まで使え、完答が見えてきました。具体的には積で分類しそれが何通りあるか書き出すのです。2通りあるものを数えればそれが答ですね。

(3)第2の表に書かれた通り数を全て2乗して足せば答なので、(2)までをうまく整理できていれば自然に完答できたと思います。

最後の問題でしたが、比較的点数を取りやすい印象を受けました。このようなケースは解答順が影響を与えることが多く、時間不足で本問を落とした受験生は点数が足りなくなったかもしれません。

全体的な印象は「麻布らしさは健在」でした。特に印象に残ったのはで、「芋づる算」の傑作だったと思います。

試験対策はVOL.33に書いてあるので参考にしてください。

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今週の1題不定方程式

難易度★★★☆☆

商品Aは2177円、商品Bは1073円です。

以下の問題では消費税については考えません。

(1)商品Bを何個か買いました。その時1万円札を何枚か出したら、おつりが79円でした。Bを何個買いましたか。考えられる中で最も少ないものを答えてください。

(2)商品Aと商品Bを合計209個買いました。その時1万円札を何枚か出したら、おつりが79円でした。1万円札を何枚出しましたか。

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<答>(1)177個 (2)38枚
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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