VOL.187【入試問題を解いての感想2021】 -(2)桜蔭-
今、世間では男女差別を無くそうという動きが盛んです。
この流れ自体は悪いことではないですし、本来、人として生まれたからには、その誰もが等しい権利を持つことは当然のことであるように思います。
ただし、それが行き過ぎたり、政治目的に利用されたりすると話は変わってきます。
行き過ぎた例は、現在のアメリカに山ほどあります。
例えば、議会の演説の中で最後に「アーメン」と言うところを、「アーウーメン」と言ったなんてニュースを聞くと、可笑しさを通り過ぎて少し怖くなりました。
また、女子スポーツの大会に「自分が“女性”だと思ったら男子選手も参加してよい」といった本当ならかなり危険な報道もありました。
日本ではこの問題に関係して五輪組織委員長辞任なんて騒ぎもありました。
なぜ、こんなことを書いているかというと、このまま男女の差があってはならないということになると「男子校・女子校廃止」なんてことになるのではないかと心配になってきたからです。
【入試問題を解いての感想2021】の第二回は「桜蔭」です。
女子校について書くので、当然「女子校の傾向はこうだ」といったことにも触れなければならないのですが、それも「行き過ぎたジェンダーフリー」に非難されてしまうのでしょうか。すみませんが、恐れずに、好きなことを書かせていただきます。
過去問を解いていて何か純粋に楽しめないというか、モヤモヤした気持ちになるのが本校の特徴です。本質的な難易度はそれ程高くないのに、正解しにくいのがその理由です。そのあたりのことはVOL.29に詳しく書いてあるので参考にしてください。
さて、今年度はどのような内容だったのでしょう。
◎桜蔭
Ⅰ小問集合
(1)分数と小数が混ざった計算でした。「7」「11」「13」と素数のオンパレードですが、煩雑さに負けないようにしましょう。
(2)カレンダーの日付に色をつける問題でした。類題が過去にあったので、対策の有無で差がついた可能性があります。
(3)約数の個数についての問題でした。本校はこのあたりで厄介な問題が出てもおかしくないのですが、本問は対策が十分ならばむしろやさしく感じたかもしれません。
Ⅱ3×3の正方形のマスを白黒に塗り分ける問題
(1)3つ答えなければなりませんが、2つめから怪しくなってきます。私が常日頃言っているように「場合の数は怪しくなったら飛ばせ」が当てはまったケースでしょう。ただし、非常に面白い要素を含んでいるので、練習には最適かと思います。
(2)(1)が完答できれば自動的に正解できるボーナス問題でした。このボーナスを貰えるだけの実力があれば、それは合格レベルといえます。
Ⅲ水槽の中に立方体を積み水を入れる問題
(1)(2)設定がやや複雑でグラフもからんでいますから難問の香りが漂いますがが大したことはありませんでした。本校を目指すなら正解必須です。
(3)(4)2段重ねと5段重ねをきいているだけなので、そこに気づけば完答できたと思います。5段重ねの方はそれを求めるのに少し手間がかかったかもしれません。
Ⅳ異なる円周上を2点が回る問題
(1)これはウォーミングアップですね。ただし円周率が3.1には注意が必要でした。
(2)解き方が色々ありそうな問題でした。私は「相対速度」が好きなので、それが使える形にするのに一工夫しました。受験生の皆さんがどのように解いたか興味があります。
(3)(2)の延長である部分と「速さの比」の処理が合わさった問題でした。最後の問題なので、正答率はそれほど高くなかったでしょうが、Ⅱよりは解きやすい問題だったと思います。この問題が正解という受験生もほぼ合格レベルと言えるのではないでしょうか。
昨年と比べると煩わしさは低減した代わりに、そこそこの本質的な難しさを含む問題が増えたという印象を持ちました。こういったセットは差がつきやすくなるので、本年度の桜蔭は算数の出来で明暗が分かれたかもしれません。
本校に有効な対策は、「頻出分野の徹底的な訓練」に尽きると思いますが、それが今年度も当てはまったと言えるでしょう。
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