VOL.179【受験お役立ち情報】 -スタートラインの今、自分の立ち位置を知る-
令和3年になりました。
今回から新6年生向けとなりますが、なるべく誰が読んでも為になるような内容を心がけたいと思います。
毎年、年度の始めには「今年はこれでいこう」というような方針を定めるのですが、今年はいま一つイメージが湧きません。
よろしければ皆さまの声をお聞かせください。
一方通行にならない、読者の皆様とキャッチボールができるようなブログを目指していきたいと思います。
今回は新6年生がまずは何に対して優先的に取り組むべきかを書きたいと思います。
ただし、個人個人の状況はみな異なるわけなので、その答も受験生の数だけあることになります。
ですから今回は偏差値である程度分類し、それぞれでよくありそうなケースを想定して書いていこうと思います。
※以後の偏差値の数字は目安です。
◎35未満
明らかに算数が苦手というゾーンです。ここではまず「計算」をチェックしたいですね。
特に躓きやすいのが「分数の計算」です。「分数の足し算」のルールがわかっていないことが多いですし、約分・通分もなぜそうなるのかの理解が必要です。ここではルールの確認が大切で、その後それを定着させるための練習が必須です。
また、意外と多いのが1桁同士の足し算を本当に足しているケースです。
何を言ってるか分からないかもしれませんので、補足しておくと、普通は足し算はその場では足していないはずなのです。覚えているのですね。九九と一緒です。
指を使わないと計算できないケースがこれです。口のなかでブツブツ言いながら計算していた生徒がこれだったこともあります。
意外と見過ごしがちなので、計算間違いが多いだけでなく、遅い場合もチェックが必要です。
このブログでも「計算」については色々と書いてきましたが、このゾーンの受験生の場合それ以前の問題である可能性が高いです。
一刻も早く「受験生レベルの計算力」を身につけましょう。
◎35~45
分野に穴がある可能性が高いゾーンです。この偏差値帯で「図形」が得意という生徒にはほとんど会ったことがありませんし、「場合の数」はまず無理でしょう。
上記の分野はある程度仕方がない面があるのですが、ここに穴が開いていると今後が大変という分野が他にあります。
それは「割合」です。
「割合」は通常「比」の前に学ぶのですが、「比」との関連が強く、「割合」の理解が甘いと「比」にも悪影響が出ると思われます。
「比」は受験算数では最重要分野と言ってよく、その基礎となる「割合」で躓くことは致命傷となりかねません。
「割合」に穴が開いているようであれば、最優先で補修を行ってください。まずは、「1にあたる量」を間違えないようにすることを徹底してください。
また、この偏差値帯では「計算」のスムーズさを欠いていることがほとんどだと思います。集団授業ではなかなか目が届かないところなので、早い段階で専門家に直接見てもらうのがおすすめになります。
今後算数の学習には「計算」がついて回りますが、計算の時間が倍かかると勉強量が半減してしまう可能性があるのです。
◎45~55
平均点前後ですが、かなり多くの受験生がこのゾーンに収まります。個々の事情が異なるため、様々なパターンが考えられます。
ここでも「図形」が得意かどうかで優先順位が変わってきます。大抵の受験生は「図形」はあまり出来ず、他でカバーして平均点をとるようなことになっていると思われます。
大きく飛躍するためには「図形」の攻略が必要でしょう。
本ブログでも「図形」に関しては力を入れてきました。VOL.101に書いてあることがこのゾーンの受験生にはフィットすると思います。もちろんそれ以降も参考になりますよ!
一方、「図形」が得意であるにも関わらずこの偏差値帯にいる受験生は「ミス」が多いタイプが多いと考えられます。精神的に幼いケースも多いでしょう。中学受験では幼さが不利に働くことが多いです。
「ミス」は自然に無くなることもあるかもしれませんが、原因を突き詰めて解決する姿勢が一番大切だと思います。そうなると、自力での解決が難しいですから、専門家に頼るのも手だと思います。
また、このゾーンの受験生にとって踏み絵となる分野が「速さ」だと思います。
VOL.117に書きましたが「速さ」には様々な難しくなる要素があるので、受験生にとっては厳しくなる可能性が高いのですね。
受験生としては難しい問題を解きたいという気持ちが強いとは思いますが、そのためには「基礎」をしっかりと固めることが大切です。
「基礎」がしっかりすれば志望校に合格できる可能性はグッと高まります。
◎55~65
ここからが「出来る」側のグループと言えます。
模試の前半はほぼ正解できる実力はあるでしょう。今後の課題は応用・発展問題ということかもしれません。
課題が残る分野は、本ブログでたまに使う「上級分野」に絞られているでしょう。
「上級分野」とは私が命名したそもそもレベルが高い分野です。例えば「立体図形」や「動く図形」がこれに当たります。
その他にも「書き出しでは対応できない規則性」や「図形の場合の数」等もそれに当たります。
さて、それらの「上級分野」がまだ不安定であるにしても、やることは決まっています。
それは「分野の穴を無くすこと」!
そのためには、広い分野にチャレンジして穴を洗い出し、仮に理解が不十分であればしっかりと取り組んでください。
ただし、注意が必要なのは、「立体図形」が穴だからといってそればかりをやるようにしないことです。
仮に私が指導者ならば「穴」を意識するのは私の方で、生徒には意識させないようにします。今の時期は特にそうなのですが、部分的なことよりも全体のバランスを整えることに注力した方が結果が出やすいのです。
私は「穴」が埋まるかどうか常にチェックしているので、全体的な学習を通じてバランスが崩れることがないようにすることができます。
◎オーバー65
いわゆるエリート層でしょうか。
このゾーンの受験生は塾の教材が物足りないというケースもあるかと思います。
そこでお勧めなのが本ブログの「今週の1題」です。
★3つ(初期の頃の問題には☆がありません)なら正解できることでしょう。
★4つ以上はなかなか厳しいかもしれませんが、ある程度時間をかければなんとかなるでしょう。時間が無ければすぐに解説を見てもかまいません。
どちらにせよあまり見たことがない問題にチャレンジできる貴重な機会ですから、上手く利用してください。
以上、それぞれのゾーンについて書きました。
書いていて見えてきたのが積み上げる順番のようなものです。
計算→数量→図形→上級→初見
これが原則で、それを踏まえ個々の実状に応じアレンジしていくのが得策なのではないでしょうか。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。