VOL.156【入試問題を解いての感想】 -(11)慶應義塾中等部-
付属校人気は相変わらずですが、そのトップに君臨するのが本校と言ってもよいでしょう。
特に女子にとっては超難関で、合格を勝ち取るのは容易なことではありません。
算数に関しては、所謂「多問即答型」で比較的対策はとりやすいと思われているようです。
それでは本年度はどんな問題だったかみていきましょう。
◎慶應義塾中等部
【1】小問集合
(1)計算(小数の計算)
割り切れなければ厳しかったのですが、キレイな数字になるので一安心です。
(2)計算(小数・分数混合の逆算)
こういうとき、□に数字を埋める解答方式が嬉しいですね。
答が分数になるというのはヒントになります。
(3)循環小数
「13」で割ると6つの数字の繰り返しになります。
いくつの数字の繰り返しになるかは整理しておくとよいでしょう。
3,9 → 1個
11 → 2個
27,37 → 3個
7,13 → 6個
以上は覚えておくのがお薦めです。
(4)場合の数
頻出の払える金額を求める問題です。
10秒程度で答は出ると思いますが、確認は怠らないようにしましょう。
【2】一行題(□を埋めるタイプ)
(1)通過算
トンネルを抜けるのに何秒かかるかを問う基本問題です。
本校はこのように、どの問題集にも載っているような典型的な問題がいくつも並ぶのが特徴です。
(2)約数の総和
公式がありますが、基本的には中学の数学で習います。
小学生は面積図で理解しておけば、不安なく使えると思います。
(3)周回運動
池一周を「48」とおくのがわかりやすいでしょう。
これも典型題です。
(4)割合
線分図を描いて比を揃えれば自然に正解にたどり着きます。
【3】図形いろいろ
(1)三角形の面積比 → 線分比
所謂「チェバ型」の問題です。
本ブログでもよく取りあげる形ですね。
(2)角度
比較的高級な問題です。
数学では「証明」する必要がありますが、小学生は「直感」で十分です。
(3)直角三角形にはまる正方形の面積
「和分の積」で一辺は求まります。
覚えておくと便利です。
他に理科の「合成抵抗」にも使えます。
(4)回転体の表面積
本校頻出の「回転体」です。
ここで初めて差がつきそうな問題が出てきました。
形·数字の両方が面倒なのですが、最終的にはスッキリとした計算になります。
【4】腰掛け風呂とグラフ
問題そのものはよくあるのですが、数字に煩わしさがあります。
特に(2)の計算量が多いので、工夫をしてリスクを軽減したいところです。
【5】分数列(300番目までの和)
分数の郡数列です。
規則性さえ整理できれば、正解するのは難しくありません。
(2)の和の求め方ですが、グループごとの和に規則性があることに着目すれば良いでしょう。
よくある問題よりも綺麗に答がでます。
【6】立方体の重さ·面積範囲を求める問題
色と重さの異なる2種類の小立方体を使って大きな立方体を作ります。
(1)が、見えている色から重さの範囲を求めるもので、(2)が、重さから黒色が表面にでている範囲を求める問題でした。
この問題も差がついたことでしょう。
「中等部」よりも「普通部」で出題されそうな内容でしたが、良質な問題で私個人も勉強になりました。
【7】極端な例を考える問題
この問題を作った先生はスイーツ好きなのでしょうか?
プリンとシュークリームを合わせて50個買うという設定が素敵です。
ところが問題自体は「激辛」で、「単品価格」「セット価格」「ミックス価格」と容赦がありません。
時間がある時に冷静に解けば正解できるかもしれませんが、実際は合否にあまり関係なかった問題だったと思われます。
既視感がある問題が並ぶなかにスパイスが効いているという例年通りの内容でした。
忙しいテストであることは変わりないと思うので、以下に掲げることに気を付けて準備をしていただければと思います。
①計算力をつける(工夫は必須)
②公式化できるものはなるべくやっておき頭に入れておく
③スピードの持続を念頭に普段の学習を進める
④解答順·取捨選択の技術を身に付ける
暑くなってきましたが、頑張っていきましょう!
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