VOL.155【入試問題を解いての感想】 -(10)広尾学園-
都内の共学校の中でトップクラスの人気を誇るのが本校です。
女子校時代を知る我々のような者から見れば、その躍進は驚異的と言うしかありません。
近年の入試問題においては偏差値の急激な上昇にきちんと対応し、適切な内容に改善されているように感じられます。
それでは、本年度はどんな問題だったのでしょうか。
◎広尾学園
1小問集合
(1)計算
①分数・小数の混合の逆算ですが、標準的だったと思います。
②単位分数→3つの組を求めなければいけないので、一部の受験生は苦戦したかもしれません。
躊躇せずに書き出せば問題なかったでしょう。
(2)通過算
トンネルの中に全部入っている時間2つがヒントとして与えられた問題です。
差を取れば良いのですが、その前提として正確な情景図を描く必要がありました。
一定以上の作図能力があれば正解できる問題でした。
(3)数の性質
連続する整数を掛け合わせる頻出問題です。
「100~200」というところに若干の煩わしさがあったとは思いますが、ほとんどの受験生が類題を解いた経験で乗り切れたことでしょう。
(4)平面図形
二等辺三角形と直角三角形(三角定規の細い方)を組み合わせた形がテーマの問題です。
どちらかというと円に絡めた出題が多いと思いますが、本問は面積から逆にたどって角度を求めるタイプでした。
少し差がついたかもしれません。
(5)立体図形
立方体を3点を通る平面で切り、その切り口を展開図に書き込む問題です。
切り口が正六角形になるので、基本問題の部類ですが、作図となると「差がつく問題」となった可能性が高いですね。
対策としては当然のように正解できるようにしておかなければなりません。
2食塩水の濃度→工夫が必要な問題
(1)は基本問題ですが、(2)(3)は工夫が必要だったと思います。
(2)は「最終的に全部混ぜたのと一緒」ということに気付けば大したことありませんが、真面目に問題文に書いてある順番通りに処理しようとするとハマってしまいます。
(3)は面積図を描くのが得策なタイプだと思います。
2が序盤の山場で、ここで時間をとられすぎると全体に悪影響が出たと思われます。
本番で(3)のような問題に出くわしたら一旦は逃げることを強くおすすめします。
33けたの整数に2種類の作業を行い新しい整数をつくる問題
(1)と(3)はただ書き出せば良いだけなので問題なかったと思います。
(2)は数学的な処理をしなければそれが完全に正解であるということがはっきりしなかったかもしれません。
ただし、小学生はカンが鋭いですから、短時間で正解できた受験生も多かったことでしょう。
43人の点数を推理する問題
(1)はウォーミングアップだったでしょう。
(2)(3)も一見広そうなのですが、実際は制約が多いので、それほど多くの可能性があるわけではありませんでした。
日頃から手を動かすことを意識していれば、正解はそんなに難しいことではなかったでしょう。
5三角形に3本の線を引き内部の三角形・四角形の面積を求める問題
(1)は作図の問題でした。
問題文に書いてあることをそのまま作図させるというのは意外と珍しいかもしれません。
(2)については難関校の「平面図形」の問題としては「基本 ~ 標準」の難易度だったと思います。
全体的には分野の偏りもなく、無理のない標準的な問題が並んでいたと思います。
その中に入試問題としての役割を果たすための「差がつく問題」が散りばめられており、それなりの解きごたえもありました。
本年度は「作図能力」が合否を分けた可能性もあったと思います。
今回も解いていて「楽しい」時間を過ごすことができました。
受験生の皆さんも「過去問演習」の際、少しで良いので、「楽しむ」という気持ちを持ちながら頑張って欲しいと思います。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題平面図形
難易度★★★★☆
辺ABが42cmの三角形ABCがあります。
辺AC上に点DをAD:DC=1:3になるようにとり、辺BC上に点EをBE:EC=2:1になるようにとり、辺ABの中点を点Fとします。
また直線AEと直線BDの交点をIとし、辺BC上に点Gをとり直線BDと直線FGの交点をHとします。
∠ABD=15°、∠BAC=75°のとき以下の問に答えてください。
(1)三角形ABEの面積を求めてください。
(2)四角形AFHIの面積が154cm2の場合の、BG:GCを求めてください。
解答が表示されます