VOL.140【ご質問フォーム】 -「筑波大学附属駒場中 2011年大問1」-
令和2年の一回目からは、来春6年生になる受験生を対象に1年間やっていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、【ご質問フォーム】から2011年の筑波大学附属駒場中の大問1を取り上げて欲しいとの要望がありましたので、なるべくリアルにお伝えしたいと思います。
筑駒の問題について少し触れておくと(VOL.38参照のこと)、大問4問それぞれに肢問3問というスタイルが続いています。
(1)は易しめ、(2)が合否を分ける問題であることが多い気がします。
実際、(1)、(2)だけを正解すれば60%強の得点が見込めるので「算数」だけでダメにすることはないと思われます。
もちろん正解は多ければ多いほど良いので、(1)、(2)を全問正解した上で残りの(3)も2~4問正解というのが理想的でしょう。
そこで大切になるのが解答順です。
早い段階で正解を確保すれば、理想に近づきます。
では、この2011年度の1はまっ先に解く問題でしょうか?
私なら、〔4〕(正三角形内部の線分のころがり)から解くでしょうが、いきなり解いても問題ないと思います。
〔2〕(条件を整理し調べる)は一番最後がおすすめで、後は得意な分野から解けば良いでしょう。
特に「図形」が得意な場合は、短時間で解ける可能性があるので、先に取り組むことをおすすめします。
さて、〔1〕に取り組むとなった場合、どのように解いていくかを書いていきます。
まず、〈図1〉のような底面積がわかる図を描きます。
それを見ながら計算します。
底面積が700cm2の部分の水位を30cm上げるのに210秒かかっているので、(1)は
700×30 210 =100(cm3) ・・・(答)
と求められます。
次に「もし重りがなかったら」と考えます。
その場合、満水にするのにかかる時間は
40×40×40 100 =640(秒)
なので、
640-560=80(秒)
早く水がたまったことがわかります。
重りの体積は80秒間に給水される水の体積に等しいので
100×80=8000(cm3)
また
8000=20×20×20
なので重りの1辺の長さは
20(cm) ・・・(答)
この時点で〈図1〉に面積が書き加えられ〈図2〉になりました。
また(3)を解く方針ですが、問題文の図3のグラフに奥の部分の水位を書き入れ、その交点から求めることにします。
装置Aの排水量は
700×30÷(580-160)=50(cm3/秒)
装置A+装置Bの排水量は
1600×10÷160=100(cm3/秒)
よって装置Bの排水量は
100-50=50(cm3/秒)
とわかります。
〈図3〉は正面から見た図ですが、この図は描かなくても大丈夫でしょう。
問題文の図1を代用します。
奥の水位が20cmになるのは
160+900×10÷50=340(秒後)
で、0になるのは
340+500×20÷50=540(秒後)
これを問題文の図3のグラフに書き入れると、〈図4〉のようになります。
160+(580-160)× 1 3 =300(秒)
(340+540)÷2=440(秒後)…(答)
最後は〈図5〉のように砂時計型の相似を使い、フィニッシュです。
この問題のポイントは、立体図形の要素があるので、上からと正面からの2方向から正しくとらえることだと思います。
底面積と高さの関係を間違えなければ、本校の受験生であるならば完答できたのではないでしょうか。
今後も「ご質問フォーム」に対し、ブログ上でお答えできる場合はこのようにやっていきたいと思います。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。