VOL.28志望校対策(1) 「開成」

立体の切断


受験本番まで、4か月あまりとなりました。
今まで「基本の完成」→「応用力・得点力の育成」という流れで書いてきましたが、今回から「志望校対策」に入りたいと思います。

「志望校対策」の第一回は「開成」です。

本校は、2月1日に試験が行われる男子校の中で、偏差値がトップです。
当然、ハイレベルな競争になりますから、しっかりとした対策が求められます。

では何をしたら良いのか?
その疑問に対してお答えしようと思います。

まず、普段の学習についてですが、苦手分野がないようにまんべんなくやっておく必要があります。
志望校によっては「立体の切断」や「場合の数の難問」はやらなくても良いということもありますが、本校に関してはむしろ難易度が上がりやすい分野こそやっておくべきということになります。

そして、学習の深さですが、これもできる限りやっておくということになります。
例を挙げると、教材に類題がある場合は、難易度が一番高いものまでやっておく必要があるということです。

また、論理的思考力をみる問題も多いため、自分の考え方を表現できるように、普段から正解に至るまでの過程を書く練習をしておく必要があります。
この部分は指導者がいるといないとでは大違いですね。

磨いておかなければならない能力は「思考力」も大切ですが、それと同等に「正解力」だと思います。
できる範囲の問題は確実に正解する力です。本校の受験生はこの力が特に優れていることが合格者平均点から見て取れます。
見たことがあるような問題が並んだ年は合格者平均点が極端に高くなっているのです。
全くミスが許されない厳しい入試です。

「正解力」のベースになるのは「計算力」を基にした「処理能力」であり、それに加え問題文を読み取る「読解力」や読み取った情報を「整理する力」、適切なタイミングで「確かめる力」等です。
これらを鍛えるには正解するという「強い気持ち」を持ち、普段から正解することにこだわることです。
できるはずの問題を間違えた場合はその原因を探り、排除していくというきめ細かい作業を継続する必要があります。

また、計算が面倒になることも多く、間違えたかもしれないという不安とたたかう「精神力」も必要となります。
ここでも「強い気持ち」が必要になってきます。
メンタル面のケアには絶えず気を配るようにしておいてください。

学校側は「思考力」を見たいのでしょう。
近年は特にパターンから外れた見たことがないような問題を出題してくる傾向にあります。
ただ、見たことがないという条件は皆同じですから、そういった問題に出くわした時こそ落ち着いて取り組んでください。
少しでも多く自分の考え方を伝えるという気持ちで解答用紙に書き込んでいけば、その分評価されるはずです。
本番では時間いっぱいまで粘ってください。やはりここでも「精神力」が大切ということになります。

過去問に関しては、出題傾向や難易度の変化がやや大きいことから、そんなに多くの年度をやる必要はないと思います。
赤本等に収録されている10年分程度やれば良いでしょう。

本校の場合、志望者の過去問演習の開始時期はかなり早いと思われます。
既に10年分を終えられた生徒さんもいることでしょう。
ただ、まだ始めていない生徒さんも焦る必要はありません。
そもそも過去問をやっても4割すら正解できない場合はまだ始めるのは早いと判断すべきです。
力を溜める必要がある場合は少し辛抱する必要があるでしょう。
過去問の開始時期に関しては、個々の実情を知る指導者に判断を仰ぐのが無難です。

また、繰り返しの必要性ですが、算数の場合はどの学校でもそれほど高くないと思います。
基本的には1回に集中すべきです。
ただ、本校の場合は解答用紙に式や図を書くようにという指示があるので、その部分の精度を上げるために繰り返すのであるならば、それは一理あると思います。
時間に余裕があればそういった練習も良いかもしれません。

合格者平均点から推測すると、合格者なら誰もが正解できそうな問題をきちんと正解し、見たことがないような「思考力系の問題」に対して自分の考え方をある程度学校側に伝えることができれば、合格に必要な点数に達すると考えられます。

まとめると以下のようになります。

①全ての分野をまんべんなく、しかも深く学習する必要がある。
②普段から論理的な思考力を養っておく必要があり、その考え方を表現できるようにしておく。
③正解する力が特に重要であり、ミスは許されない。
④力を発揮するためにはメンタル面が重要で、そのケアが必要。
⑤過去問演習は4割程度正解できる実力をつけてから開始する。1回を大切に。

私がこのブログを通して皆さんにできることの一つが、良質な問題を提供することだと思っています。
練習問題を載せておきますので、開成志望の生徒さんは、是非チャレンジしてみてください。

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今週の練習問題開成

難易度★★★★☆

〈図1〉のように、小立方体を125個接着し、1辺が6cmの立方体Pを作りました。
点I、点J、点K、点Lはそれぞれ辺の中点です。
まず、3点A、J、Kを通る平面Qで立方体Pを切りました。
次に、3点B、K、Lを通る平面R、3点C、L、Iを通る平面S、3点D、I、Jを通る平面Tで立方体Pを切りました。

(1)

平面Qで立方体Pを切ったとき、切られた小立方体は何個ですか。
また、4つの平面Q、R、S、Tで立方体Pを切ったとき、切られずに残っている小立方体は何個ですか。

(2)

4つの平面で切った後、立方体Pはいくつかの立体に分かれますが、それは何種類ありますか。そしてその個数は全部で何個ですか。また、その中で一番大きな立体の体積は何cm3ですか。

クリックすると
解答が表示されます
<解答>(1) 43個、27個  (2) 5種類、14個、72cm3
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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