VOL.27比と割合(2)
「秋」は過ごしやすい季節で、「勉学の秋」と言われたりします。
夏が勝負だったはずが、「秋」もやれとは受験生には酷ですが、あと18~20週で本番です。
今からロングスパートを仕掛けても早すぎることはないでしょう。
私個人は「秋」といえば「模試の秋」というイメージが強いです。
志望校別の模試もありますから、毎週のように模試を受けることになります。
模試を受ける際、注意すべきことがいくつかあります。
簡単にまとめると以下のようになります。
- 復習を必ずする。
試験を受けてそのままほったらかしは論外です。
ただ、間違えたところをまたやるのが苦痛という生徒さんも多いので、誰かと一緒にやるという必要があるかもしれません。
直しをやるのは当たり前ですが、ただ答が出せるだけでなく、なぜそうなるのかの理解が大切です。理解できているかどうかの確認は、人に説明するのが一番です。 - 内容を分析する。
間違えた問題には有益な情報が含まれていることが多いです。
例えば不正解の原因が問題の冊子に残った鉛筆の跡から計算ミスということがわかったとしたら、それは貴重な情報です。
さらにその計算ミスが分数で処理すればよかったものを少数のまま計算し、その筆算の部分で間違えたとしたら、それは「ミス」というよりは解き方が良くなかったということになります。
そして、少数か分数かの選択を間違えないようにするという「課題」が生まれ、それを克服すればレベルが上がることになります。 - 結果について一喜一憂しない。
「喜ぶ → 油断する」、「憂う → モチベーションが低下する」どちらも良くありません。
特に成績が思わしくない場合、今後を心配するケースが多いです。
ただ、冷たい言い方かもしれませんが、いくら心配しても成績が上がることはありません。
むしろ、精神的な不安定さが悪影響を及ぼします。
「復習」と「分析」に徹し、足りない部分があればそれをどう補うかを考えるべきでしょう。 - 合格判定は参考程度にする。
成績が悪い時に突きつけられる「合格可能性20%以下」。
これほど体に悪いものはないとも思いますが、実は正念場でもあります。
私が過去に受け持った受験生で、「20%以下判定」を一度ももらわないで合格した生徒さんはあまりいません。
むしろこの判定を機に奮起した生徒さんが目立ちます。
苦しい状況をプラスの力に変えるチャンスです。
要するに現時点での数字は今後の努力次第でどうにでもなるということです。
以上に注意して模試を有効活用してください。
今週のテーマは前回に引き続き「比と割合」です。
まずはワンポイントアドバイスから。
のべ | のべとは「同一のものが何回も含まれていても、そのそれぞれを一単位に数えた総計」 のことです。これだと何のことだか良くわからないかもしれませんから、具体例でイメージしておきましょう。 |
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分配算 | 線分図を書きます。なるべく数字が整数になるように工夫したほうが楽です。書ければほぼ終了というケースが多いでしょう。 |
倍数変化算 | 色々な解法がありますが、「比の式を立てる」のが実践的かつ応用範囲が広いでしょう。 |
仕事算 | 何を1とおくかによって計算量が変わってきます。なるべく「分数にならない小さい数字」で処理するのがお勧めです。 |
周期の処理 | 「一かたまり」で区切っていきます。半端の部分は丁寧に調べましょう。 |
「比」は便利ですから様々な利用法があります。割合の場合は「1」に当たる量があって、それに対していくつかというものでしたが、比の場合数字は自由です。
私が初めて比を習ったときの感想は「なぜもっと早く比を教えてくれなかったのか。すごく便利じゃないか。」というものでした。
比を使うときは柔軟性が求められます。
それは問題を解くことによって獲得することができるので、どんどん問題を解きましょう。
問題を解いた後は必ず解法のチェックを行います。
解く際の無駄がなかったかどうか、図の妥当性、別解など一通り検討するのが良いでしょう。
そして、より良い解法があったのならば、極力その場で自分のものにするようにしてください。
ただし、それは丸暗記をしろということではありません。
例えば全体の仕事量を1とおいて解いたが、72と置いたほうが良かったという反省があった場合、次から「全体の仕事量を1ではなく最小公倍数にする」という姿勢をみにつけましょう、という意味です。
結論を言うと、柔軟性を重視するなら細かいことは覚えないほうが良いです。
その場で考えることで柔軟性が生じるからです。
本来考えるべきところを記憶に頼ってしまうとむしろ「思考の硬直化」が起きるので注意が必要です。
秋は「食欲」、「スポーツ」も大切かもしれませんが受験生にとっては何よりも「勉学」です。
模試の結果を参考にしながら効率よく学びましょう。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題仕事算
難易度★★★★☆
ある工場で甲という製品をAとBの2人が作っています。
Aは毎日決まった数であるa個の甲を完成させ、Bは毎日29個の甲を完成させて仕事を終えます。
ある時、甲の注文が大量に入ったので完成までの日にちを計算しました。A一人で作ったものだけだと39日目に注文数に達し、AとBが作ったものを合わせれば19日目に注文数に達することがわかりました。
また、注文数が26個増えたとしても、かかる日数はAだけのときも、AとBを合わせたときも変わらないことがわかりました。
(1)A一人で作ったものだけだと39日目に注文数に達するという条件だけを考えます。注文数をx個とすると、aをxで割ったときの値の範囲を求めてください。
(2)注文数は何個ですか。
解答が表示されます