VOL.122【受験お役立ち情報】 -9月以降の成績が落ちてしまった場合の対処法

受験お役立ち情報


私は子供の頃高校野球が大好きでした。
特に夏の大会は負ければ終わりという後のない状況なので、少し緊張しながら観戦することが多かったように思います。

小学生時代を神戸で過ごした私は、毎年甲子園に行くのが楽しみでした。
今覚えているのは試合内容ではなく、銀傘の下で口にした「カチ割り氷(単なる氷水です)」の冷たさと、アルプス席の熱い応援だったりします。

当時から夏は暑かったのですが、今の暑さは以前とは比べ物にならないと思います。
今の球児たちは本当に凄いと思うと同時に、体調面に関しては少し心配です。

学校が休みの期間しか大会を開けないという考え方は理解できますが、現代社会ではもう少し発想に柔軟性があってもよい気がします。

選手の体調面に配慮するならば、酷暑の中での試合は避けたほうが無難でしょう。
時期をずらす、ナイター開催・ドーム球場で空調のきいたところでやる、あるいは北国で開催する等が対策として考えられます。
しかし現状ではどれも難しいでしょう。

それと、最近問題になっているのが投手の球数や投球間隔です。
投球は体に大きな負担をかけるようで、特に肩の毛細血管の損傷は避けられないらしいです。
ですからある程度の球数を投げたあとは、回復のための時間が必要なので、アメリカでは連投は禁じられていると聞きます。

日本でも少年野球やリトルリーグ等では球数やイニングの制限があります。
高校生はまだ発育途上ですから、球数制限を実施してもよいのかもしれません。

さすがに私も小6の時は試合を見ませんでしたが、頑張っている彼らに負けない位、自分も勉強しようという気持ちになることはできました。
自分の好きなものに対する思いを、モチベーションに変えることができた例だと思います。

好きなものに熱中できるタイプの受験生は、そのエネルギーが「算数」に向けば、爆発的にできるようになることが多いです。
そのきっかけが夏休みが終わるまでに来れば、受験に間に合う可能性が高い気がします。

それと、高校球児も受験生も暑さ対策は万全にしなければなりません。
水分補給はくれぐれもお忘れなく。

さて、今回の「受験お役立ち情報」は不幸にも「9月以降の成績が落ちてしまった場合の対処法」について書きたいと思います。

9月以降成績が下降する例をかなり多く見てきました。
ほとんどの皆さんが「夏休みにあんなに頑張ったのになぜ」という疑問を持たれます。
その原因について巷で言われているものを取り上げ、私なりの対処法を示したいと思います。

◎頑張ったのは自分だけではない 皆頑張っている

模試の成績は偏差値を基ににすることがほとんどでしょう。
また、難関校を志望する受験生にとっては順位が大切かもしれません。
どちらにせよ、その試験を受けた全受験生の中で「どのポジションにいるか」というのが成績です。

ですから本人が頑張ってできるようになったとしても、まわりがもっとできるようになれば成績は下がります。
もしかしたらまわりに比べ努力がたりなかったのかもしれません。

さらに言えば、秋以降は今までその模試を受けていなかった猛者が大挙して押し寄せている可能性があります。
彼ら(彼女ら)が上位を独占すれば、元もとの受験生は全員成績が下がることになります。

このように見ていくと本人の頑張りとはあまり関係なく成績が下がるということがあり得るということがわかりました。
ですから夏休みに頑張った受験生にたいしては、その頑張りそのものを褒めてあげてください。
秋の成績に関しては、我々のような専門家がしっかりと分析しその後の対応を決めていくための材料と割り切っていただけると助かります。

◎夏休みに頑張りすぎた

これもよくあるケースです。
問題となるのは主にオーバーワークと消化不良です。

オーバーワークで真っ先に頭に浮かぶのが睡眠を削って勉強することです。
これだけは絶対にやめてください。
小学生はまだ成長途上ですから脳も完成していません。
この大切な時期に睡眠不足が重なると脳の発達に悪影響がでるそうです。
そして、学習の効率も上がりませんから、睡眠不足は百害あって一利なしです。
最低でも7~8時間の睡眠は確保するようにしてください。

また、体力的に限界を越えてしまうケースもあります。
秋以降体調を崩してしまうのです。
これが何カ月も尾を引くようだと、かなり厳しい受験になってしまいます。
体調を崩してしまうほどの頑張りは危険を伴うので、保護者がセーブしてあげてください。

消化不良は、通塾している受験生が課題を全部こなそうとして陥ることが多いです。
夏休みはどうしてもやることが多くなりがちです。
その全部をやろうとする真面目な生徒さんほど、なんとか「こなそう」と頑張ってしまいます。
ただ、この「こなす」だけの学習はかなり危険で、下手をすると「やっつけ仕事」になってしまうかもしれません。

そして、中途半端な勉強は秋以降のワンランク難易度が増した模試に通用するはずもなく、散々な結果に終わるケースが多いです。

こういった受験生が入試で結果を出すためには早急に対策を講じる必要があります。
①現状把握
②交通整理
③優先順位の決定
④塾の課題の取捨選択
⑤普段の学習と志望校対策のバランス調整

上のような流れで、今後何をどのようにやっていけばよいかを示し、引っ張っていけるのが我々の強みです。

◎学校が始まりリズムを崩す

小学生はちょっとしたことで生活のリズムが崩れることがあります。
人生初と思われる勉強漬けの日々から学校に行く生活戻ったことで調子が狂ってしまう受験生もいることでしょう。
また、運動会も体力・気力を消耗しますから注意が必要です。
また、近年は9月も真夏並みの暑さであることが多くそういったこともリズムを狂わす原因になるかもしれません。

考え方としては「9月は調子を落としても良い」というのが正解だと思います。
実際、調子は落ちればその後は上がるものですから、冬にかけての好材料になります。
大切なのは気持ちの持ち方で、
「夏に頑張ったのにすぐに調子が落ちたからもうダメだ」
ではなく、
「これから先、どんどん調子を上げていくぞ」
という前向きな気持ちになることが大切です。

◎根本的な勉強の仕方が悪かった

今回最もまずいのがこれです。
ただ、成績の悪化という結果により、問題が表面化したことは悪くありません。
ピンチをチャンスに変える絶好の機会なのです。

時期的にはかなり切羽詰まっているといえます。
何せ、根本から変えなければいけないからです。

「根本的な勉強の仕方が悪い」というのはどういうことかというと、「算数」の場合、「理解を伴わないパターンを丸暗記しただけの学習」が典型的な例でしょう。
あるいは「計算力だけでゴリ押し」というのも当てはまるでしょう。

要するにこのままそれを続けていけば志望校合格がかなわないような勉強の仕方のことです。

ただ、「成績の悪化」の原因が「勉強の仕方の悪さ」に結び付けられなければ意味がありません。
この判断はなかなか難しく、専門家でないと無理かもしれません。

一つだけ確認していただくとしたら「粘り」を見ていただきたいと思います。
「書き出し」や「実験」、「図・表・グラフ等の活用」などのあとが見られれば、根本的な姿勢は悪くないと思います。
そんな形跡は一切なく、序盤のよくある問題のみ正解しているようなときは要注意です。

根本的な勉強の仕方が悪い場合は志望校に合格できるようにモデルチェンジしなければなりませんから、そういった場合のお手伝いも我々の出番なのかもしれません。

頑張っているのに結果がでないと辛いですよね。
ただ、成績の悪化は何かを変えるきっかけになります。
是非このピンチをチャンスに変えて、受験の流れを良い方向にもっていってください。

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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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