VOL.26比と割合
振り返ると、今年の夏は過ごしやすかったですね。東京では雨の日が21日続いたみたいです。
これも一種の異常気象なのでしょうか?
異常気象とは「過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候 」らしいのですが、その定義に当てはめると異常気象と言える気がします。
ところが、今後もこのような気象を毎年のように経験すると、それは「異常」ではなく「普通の気象」になってしまいます。
そんな未来がやってくるのでしょうか?
こんなことを考えていると、算数にも似たようなことがあると思いました。
「難しい問題」は通常ほとんど解けず、たまにしか正解できません。
「異常気象」のようなものです。
ところが、完全に分かってしまえばそれは「簡単な問題」に変わります。
「普通の気象」ですから、正解して当たり前ですね。
ところが、以前「難しかった問題」を、「簡単な問題」と感じるのには抵抗のある人が多いのも事実です。
算数の場合はある程度楽観的なほうが結果が出やすい傾向があるので、分かった問題があったら「簡単だ!次から解けるぞ!!」と声に出してみましょう。
不思議と解けそうな気になりますよ。
今週のテーマは比と割合です。
まずは、ワンポイントアドバイスから。
比を求める | それぞれの割合(分数)が等しくなるケースです。等しいものを分子の最小公倍数とすればスムーズに解けます。また、逆比を利用すれこともできます。 |
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食塩水 | 2つの食塩水を混ぜる場合は「てんびん図」を使うのが有力です。「面積図」でも同じことですが、「てんびん図」のほうが明解でしょう。混ぜる割合が変わるケースは「てんびんの目盛り」の比を揃えれば解決に向かいます。食塩の重さを追っていくときは、わかりやすく書くことをこころがけましょう。 |
比のかけ算・わり算 | 比の便利さが良くわかる分野です。普通にかけ算やわり算をしてかまいません。その結果も「比」になるわけです。 |
比の扱い | まずは線分図を書いてみましょう。比であらわしているどこか一部分の数字が決まるようになっているはずです。それを探すのを楽しむ感覚で取り組みましょう。 |
「比」は受験算数の中で相当重要な位置を占めています。
「割合」はどちらかと言うとつまずきやすい分野なのですが、「比」はそれをマスターすると算数全般に好影響が出ると思われる分野です。
「比」を使うと数字が小さくなり簡単に解けることが多いからです。
算数はその場で計算をして解かなければいけないので「実技科目」としての一面があります。
その際大きな敵となるもののひとつが「不安」です。
受験生は試験会場で様々な「不安」に打ち勝たなければなりません。
特に計算ミスの「不安」は絶えずつきまとうのですが、「比」がこれを緩和してくれるのです。
また、「比」は「相似」とワンセットのようなところもありますから、「図形」についても好影響があると考えられます。
「比」こそ算数における「最強ツール」といえるでしょう。
「比を使える場合は比を使う」ということを徹底するだけで得点力がアップすること請け合いです。
中学受験・算数の問題などに関する疑問、お困りごとや
金田先生に聞いてみたいことなど、なんでもお気軽におたずねください。
今週の1題比の文章題
難易度★★★☆☆
A、B、Cの3人がそれぞれおはじきを持っていて、その個数の比は4:3:2です。
最初にAがBに持っているおはじきの半分を渡し、次にBがCに何個かを渡し、
最後にCがAに持っているおはじきの 522 を渡したところ、
3人のうちの2人の個数が等しくなり、一番多い人の個数は他の2人よりも9個多くなりました。
(1)おはじきが一番多くなった人の個数は、最初にBが持っていた個数よりも何個多いですか。
(2)最初にCが持っていた個数は何個ですか。
解答が表示されます