VOL.76【得点力アップ講座】(1)いつもと何か違う!?

場合の数


季節は夏から秋へと移ります。季節の変わり目は体調を崩しやすいので注意してください。
昨年の同時期、このブログでは「得点力アップ」 を秋のテーマとして掲げました。
その具体的な方法はは以下の4つです。

①計算ミスをしない。
②問題文をよく読み、正確に答える。
③検算、吟味を適切に行う。
④時間配分を誤らない。

今後テストを受ける際はこの4つを意識し、なるべく多くの点数を取れるように頑張ってください。
得点力アップは本当に大切なので、今年は何回かに分けて、「得点力アップ講座」として昨年とは異なる切り口で書いていこうと思います。

◎【得点力アップ講座】(1)いつもと何か違う!?
算数を学ぶときは大抵の場合、例題に対する模範解答があり、それを理解した上で記憶していく、ということを繰り返します。
基本を学ぶテキストの例題は、シンプルなものから始まり、徐々に複雑になっていき、ある程度のところまでいったら次のテーマに移るという構成になっていることが多いでしょう。
具体的な例を挙げると

①3で割っても5で割っても1余る2桁の整数で最小のものは?
… 16
②3で割ると2あまり、5で割ると4あまる2桁の整数で最小のものは?
… 14
③3で割ると2あまり、5で割ると3あまる2桁の整数で最小のものは?
… 23

とだんだんと難易度が増していくというわけです。
これ以外に「2桁の整数」の部分が「500に最も近い整数」になったり、3つの数で割ったりする問題が「基本問題」として扱われているでしょう。
そして、この範囲からはみ出したような問題は「応用問題」あるいは「発展問題」という位置づけになります。

さて、ここで考えなければならないのは、「基本問題」については考え方も含め全て頭に入れるとして、『「応用問題」「発展問題」はどこまで頭に入れておけば良いのか?』ということです。
昨今の風潮は「過去に1度でも出題された問題に関しては全て頭に入れる」というものになっている気がしますが、果たしてそれで良いのでしょうか?
算数の問題を解く場合、解く人の個性が現れます。
私はその「個性」は尊重したいので、生徒に対して「自分だけの算数の世界を作ってください」とアドバイスしています。
私の使命は、生徒の皆さんが「算数の世界」を作るのをお手伝いすることだと思っています。
そして、「算数の世界」のデザイナーでありたいと考えています。
いきなり「算数の世界のデザイン」だとよくわからないかもしれないので「車のデザイン」に置き換えてみます。
私が「車のデザイナー」で生徒が「見習いデザイナー」です。
「私がかっこいい車をデザインし、それを真似て生徒も車をデザインする。そのままで良い部分はそのまま残し、改善の余地がある部分はデザインし直してもらう。また、生徒自身の好みは生かしておく。このようにしてデザインされた車は、最終的には生徒のオリジナルデザインとなる。」

わかりやすくなったかどうかは不明ですが、話を「算数」に戻します。
「算数の世界」にはそれぞれ個性があるわけですが、これを決定する要因は何なのでしょうか。
私は「知識で済ませる範囲とその場で考える範囲のバランス」が個性を決定していると考えています。
知識を増やせば知っているで済ますことができる可能性が増えるので、できれば沢山覚えたいのですが、あまりにも量が増えるとその分負担が増えてしまいます。
さらに痛いのが、知っている(記憶)で済ませる範囲が広くなればなるほど、自分の頭で考える機会が失われてしまいます。

私の考え方はこうです。
算数は自分の頭で考えることが基本ですが、そのためには考えるための「材料」となる知識はどうしても必要です。
知識は本当に必要なエッセンスを自分のものにし、余計なものはそぎ落として頭に入れておきます。
このようにすれば記憶の負担も軽くなるので、知識の範囲を広げることが可能となります。
広げた部分を過去にこのブログでは「高級な知識」と呼びました。

重要なのは普段の学習で、この知識をフルに活用することを意識しながら問題を解くことが大切です。
様々な問題を解くことによって、知識を使える範囲を広くしていくイメージです。
このような練習をする際は頭をフル回転しているはずですから、自然と「思考力」が鍛えられると考えられます。

これらのことを生徒さんに実践してもらうわけですが、我々がお手伝いできるのは

①知識にすべきかどうかの線引き
②練習用の“良問”の提供
③本当に頭を使っているかどうかの確認

といったところです。

では、最初の方の「過去に1度でも出題された問題に関しては全て頭に入れる」べきかどうかですが、以下がその答です。

<答え>
解答に必要最低限のエッセンスは頭に入れる。
それ以外の細かいところは無理に記憶する必要はない。

最後に、今まで書いてきたことと関連する「得点力アップ」について書きます。
必要最低限の知識をしっかり頭に入れていれば、多くの問題を知識をベースに解くことが可能になります。
もちろんその場で考えなければいけないこともそれなりにありますが、その練習も十分に確保できるはずです。
気をつけなければいけないのは、頭に入っている基本問題と少し違っている場合です。
こういう時は落ち着いて基本問題との違いがどのような影響を与えるか調べてみましょう。
手を動かして頭にスイッチを入れれば、色々なことが見えてくると思います。

①基本問題と同じ → そのまま知識で押し切ることが可能。
②何か違う → まずは書いて調べる。
基本の「発展型」「複合型」「飛躍型」のどれにあたるのかを見抜き、解法の筋道をたてる。

このようにして、自力で道を切り開いていくような取り組み方をしていれば「算数の力」がつきます。
「算数の力」がつけば解ける問題の範囲が広がりますから、必然的に得点力アップが見込めます。
「いつもと何か違う」と感じたら、集中して取り組んでください。
「思考力」を伸ばすチャンスであり、得点力の大幅アップが見込めますよ!

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今週の1題場合の数

難易度★★★★☆

からまでの数字がかかれた10枚のカードがあります。
まず10枚の中からN枚のカードを選びます。
次に、その選んだカードの中から2枚を並べて、2桁の整数を作れるだけ作ります。
最後に作った整数全ての和を求め、それを個数で割って平均を出し、その値をMとします。
ただしのカードとのカードは両方ともとしてもとしても使うことができます。
例えば、N=2のとき、の2枚を選ぶと、
2桁の整数は「12」と「21」の2つを作ることができて、
(12+21)÷2=161 2 
より
M=161 2 
となります。
またを選ぶと「60」と「90」の2つを作ることができて、
(60+90)÷2=75
より
M=75
となります。

(1)N=3のときの、Mの最大値を求めて下さい。

(2)N=5のとき、M=5813 23 となりました。
このようになる5枚のカードの選び方は何通りありますか。

クリックすると
解答が表示されます
<答>(1)837 8   (2)8通り
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プロフィール

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執筆

金田雅昭 講師
【名門会家庭教師センター】

受験算数指導のエキスパート講師、男女御三家や早慶附属中など難関校への合格実績多数。

合格実績

灘中、開成中、桜蔭中、慶應義塾中等部、女子学院中、麻布中、栄光学園中、聖光学院中 他

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